最近のトラックバック

2021年3月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
無料ブログはココログ

他のアカウント

« 夢鏡の虚像 其の質 | トップページ | 夢鏡の虚像 其の玖 »

2017年6月22日 (木)

夢鏡の虚像 其の捌

 ここで思わずため息をつく蘭子であった。
 陰陽師の家系である彼女だから納得できる内容ではあるが、一般人が読めばとても信じられないことであろう。まさに怪奇的な内容が記されていた。
 しかし疑念が一つ残った。
 この封魔法を使用すれば、夢鏡魔人を再び鏡の中へ封印することができるかも知れないが、全く同じ手が通用するかというと、魔人も馬鹿ではあるまい。必ず対抗手段を打ってくるであろう。
 悩んでいると、
「あ、続きがあるじゃない」
 書物には、まだページが残っていた。
「また、お婆ちゃんに叱られるところね。『おまえは間が抜けているぞ』はい、はい。気をつけます」
 先を読み続けることにする。
 ページをめくると、まず附録と書かれてある。さらにページをめくる。
「夢鏡魔人退滅法」
 という文字が飛び込んでくる。
「退滅法か……」
 おそらくここから先に、同梱の二枚の鏡を使って魔人を退治する方法が記されているのであろう。文字の字体がそれまでと全く異なっているところを見ると、封魔法を読んだ後世の子孫が退滅法を編み出して、その内容を書き記し附録として付け足したのだろう。
 再びその内容を現代文に直してみよう。

 ■夢鏡魔人退滅法■

 序の文。
 ご先祖様の書き残した【夢鏡魔人封魔法】を拝読し、なるほど素晴らしい呪法を完成してくれたと感謝した。
 実際にも我が世代においても、鏡を媒体とする虚空の世界に住む夢鏡魔人ほどでないにしても、亜流の夢魔人ともいうべき妖魔が徘徊し、人々を大いに苦しめているのだ。この妖魔は鏡を媒体としない実体のある魔人で、人の夢の中に入り込んで悪夢を見せ、苦しむ際に生じる負の精神波を活力源としているらしい。人を殺しはしないが、ほとんど廃人となってしまう。そして次なる獲物を見つけて乗り移るその際に、一時的に実体化する。その時が、退治する絶好の機会であるが、いつ乗り移るかが判断できない。それよりもまず、魔人に取り憑かれて悪夢を見られているのか、ただ単に自身の過去の古傷を思い出し悪夢として苦しんでいるのか、識別することが困難だ。
 仮に取り憑かれている人を見つけて魔人をその身体に一時的に封印できたとしても、相手は夢の中の虚像と化している。ご先祖様も述べておられるように虚像は絶対に倒せない。
 そこで何か策はないかと書物をあさり、ついに封魔法が書かれたこの書物を見い出した。これを参考にすれば、夢魔人を退治することはできなくても、鏡やこれに替わる何物かに封印することができるだろう。
 即座に実行に移すことにしたのだが、夢魔人は送り込んだ式神によって、あっさりと倒されてしまったのである。意外な出来事を推察するにあたり、夢鏡魔人は鏡の中の世界に生きているのに対し、夢魔人はこちらの世界に生きているという違いのせいかも知れない。
(注・これは相対性理論や量子理論の質量とエネルギー変換を考えると判りやすい。夢鏡魔人が完全なる虚像であるのに対し、夢魔人は実体があって夢の中に入る際に、その質量をエネルギー化しているのである。ゆえにそのエネルギーをゼロにしてしまえば、実体も存在しえなくなって消滅してしまうのである)

ポチッとよろしく!

« 夢鏡の虚像 其の質 | トップページ | 夢鏡の虚像 其の玖 »

妖奇退魔夜行」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 夢鏡の虚像 其の質 | トップページ | 夢鏡の虚像 其の玖 »