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2017年7月29日 (土)

思いはるかな甲子園/部室検査

 思いはるかな甲子園

■ 部室検査 ■  数日後。  部室に入ってくる山中主将。 「お! ずいぶん部室がきれいになっているな。ごみ一つ落ちていないじゃないか」 「そりゃ、梓ちゃんに汚い所を見られたくありませんからね。梓ちゃんにも部室に入 ってもらえるように、一所懸命きれいにしました」  郷田が答える。どうやら率先して部室の清掃を言い出した本人のようだ。 「ほう、どうりでヌード写真ポスターもかたずけられているわけか」  ポスターを剥がした後が壁に残っているのを見て言った。 「可愛い女の子を迎えるためには、清潔一番ですよ。清純なイメージの梓ちゃんには そぐわないとの全員一致の意見で、すべてのポスターからロッカーの中の雑誌に至る まで、すべて処分しました。もちろん机や椅子もぴかぴかに磨いて、梓ちゃんが腰掛 けても制服が汚れないようにしました」  女の子を口説く事にかけては野球部一の軟派男の郷田だ。身ぎれいにしていなくち ゃ女の子を誘う事はできないことを良く知っている。 「はん……そういうわけか。まあ、よしとしよう」  昼休み。一年A組の教室。  並んで弁当を広げている梓と絵利香。  そして何故か、山中主将が尋ねてきている。 「……というわけで、順平と一緒に練習試合の相手校を探して欲しいんだ」  山中主将は、何かにつけて直々に梓に頼み込んでいた。順平に話しをするのはいつ も梓の後である。 「いいですよ」 「ありがたい」  そこへ血相変えた野球部員の木田が飛び込んでくる。 「キャプテン! やっぱり、ここにいたんですか」 「何だ、あわてて」 「風紀委員会による、一斉抜き打ち部室検査ですよ」 「抜き打ち部室検査だとお」 「はい、今野球部の部室をチェックしています。それでキャプテンに部室まで来てい ただきたいと」 「ったくう……正子の野郎、風紀委員長になったのをいいことに、権限を笠に着やが って……しかも校長に取りいって生徒会規則の第23条・第3項とかに部室使用許可 の取消しに関する条項を加えやがった」 「それって、クラブ部室に風紀違反となるようなものを持ち込んだり、不正使用した りした場合には、風紀委員長の意見具申をもとに、校長がその使用を禁ずることがで きる。ってやつでしょう」  木田が確認する。 「その通りだ。この間それで柔道部が二週間の使用不許可の決定を下されたよ」 「なんですか? その部室検査って」  梓が尋ねると、 「いや、梓ちゃんが心配する事はないよ。ゆっくり、ごはんを食べていてくれ」  といって、足早に教室を出ていった。  野球部部室前。  腕に腕章を付けた数人の風紀委員が扉の前にたむろしている。  山中主将が駆けつける。 「山中君。遅いわよ」  風紀委員長の神谷正子が口を開いた。 「また、あくどいことをしているな」 「あら、あくどいだなんて変な言いがかりはよしてよね。私達は学校の風紀を守るた めに日夜努力しているのだから。感謝されることはあっても、悪態をつかれる筋合い はないわ」 「何が感謝されるだ。だれもおまえになんか感謝しているものなんか一人もいないぞ」 「あらそうかしら。女子生徒の間では、これでも尊敬されているほうなんだけど」  風紀を乱すのは圧倒的に男子が多い。それを取り締まるのだから、女子から頼りに されるのは当然と言えた。 「はん、勝手にほざいてろ。いつか天罰がくだるぞ」  部室の中から数人の風紀委員が出てくる。 「委員長。さしあたって風紀を乱すようなものは、何一つ見つかりませんでした」 「なんですって! 何一つ?」 「はい。ポルノ雑誌の類からタバコ類にいたるまで、一切です」 「そんなばかな! ちゃんと見たの」 「隅から隅まで確認しましたが、何一つ発見できません」 「どういうことよ」 「わかりません」  木田が山中主将に耳打ちしている。 「先日、大掃除したかいがありましたね」 「ああ……大正解だ。たまには郷田も良い事をするな」  神谷、爪を噛むしぐさで悔しがっている。 「いいわ。次のクラブにいくわ」 「おい、たったそれだけかい。他人の部室を掻き回しておいて、他にもっと気のきい たセリフはないのかよ。しかもこの昼飯どきにわざわざ」 「お騒がせ致しました! 引続き部室をお使いください。今後ともこのようにお願い します」 「当り前だ。俺達はいつも潔白だ。なあ」  山中主将が同意を求めると、 「はい、そうです」  木田が、きっぱりと答えた。 「失礼します」  きびすを返すように去っていく神谷とその配下の風紀委員達。  それとすれ違いざまにやってくる梓と絵利香。 「キャプテン、何かあったのですか? あの人達が、風紀委員ですか?」  心配するなと言われたが、やっぱり気になって部室を訪れたのである。 「ああ、なんでもない。それもこれも、君のお蔭だよ」 「え? ボクが何かしましたか」 「いやいや、君がいるだけで充分なんだよ。我々の救いの女神さまだ」 「なんかわかりませんけど……」 「いいんだ、深く考えなくても」  きょとんとしている梓。

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