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2017年7月 5日 (水)

夢見の腕輪 其の弐

 大阪府立阿倍野女子高等学校。
 一年三組の教室に、女子生徒がそれぞれにグループを作り談笑している。
 いつもの朝のひとときだった。
 そこへ一際明るい表情をした京子が入ってきた。
「おはよう! みんな」
「あら、ずい分ご機嫌そうじゃない」
「それがさあ、当たっちゃったんだ」
「当たった?」
「うん、スクラッチカードの宝くじだけど、一万円」
「へえ、一万円か。それでもいいよね」
「昨日、アクセサリー買ったでしょ。皆と別れた後、宝くじ売り場の前を通った時、何となく買ってみたのよ。そしたら大当たり、元を取り戻しちゃった」
「幸運のミサンガだってわけか」
 しばらくミサンガの話題で盛り上がるクラスメイト達だった。
 ただ一人蘭子だけが、京子の手首のミサンガを見つめながら怪訝そうにしていた。

 放課後、もう一度露店商のところへ行ってみようと、昨日の場所に向かったクラスメイト達だったが、その窪地にはあの不思議な露天商の姿はなかった。
「いないわ……」
 残念そうな京子。
「やっぱりインチキなのよ。だから同じ場所には店を開けなくて移動しちゃったんだと思う」
「そうね。宝くじが当たったのも、単なる偶然なのかも」
「そうかしら……。あの人、別にお金を取るつもりはなかったんだから……」
「毎日露店を開いているわけじゃないのかもよ。その日暮らしの気ままな生活で、気が向いたらまたここに戻ってくるかも知れないよ」
 蘭子はグループから離れて、窪地に入って屈み込んで、何かを捜し求めている風だった。
「やはり、妖気のカスがこびりついている……」
 霊感の強い蘭子だから感じられる微かな気配だった。仮に妖魔だったとしたら、跡形も気配を消し去ることができるはずだ。
「中級妖魔というところか……」
「ところで蘭子、そこで何してるの?」
 智子が不思議そうに尋ねる。
 立ち上がって、皆の所へ戻る蘭子。
「何してたの?」
「いえ、何でもないわ」
 とは言ったものの、妖魔がいたということは、誰かが犠牲になるかもしれない。その可能性が一番高いのは京子である。
 横断歩道のある交差点の手前で立ち止まっているクラスメイト達。歩行者信号は赤である。それが青になって渡り始める一行。
 その時だった。
 一台の自動車が、一行の列に猛スピードで突っ込んできたのだ。
「危ない!」
 誰かが悲鳴のような金切り声を出した。
 まさしく京子めがけて突進していた。
 交わしきれない。
 誰しもがそう思ったに違いない。
 奇跡が起こった。
 自動車が急激に右にそれて、横転しながら信号機に激突したのである。
 呆然と立ちすくむ京子。
 一体何が起こったのか、理解できないでいるようだった。

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