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2017年9月 2日 (土)

妖奇退魔夜行/血の契約 其の伍

陰陽退魔士・逢坂蘭子/血の契約 其の伍

 放課後となった。
 取り巻き連中からやっと解放された順子が夜道を歩いている。
 と、突然行く手を遮られた。
 あの不良グループであった。
「顔貸せや!」
 いつもより迫力のある言葉である。
 以前ならば怯えながら付いて行った順子であるが、今日は様子が違っていた。
「お断りします」
 きっぱりと答えた。
 美しくなったという気概が心まで変えてしまったようだ。
「こいつ生意気やで」
 一人が順子の胸ぐらを掴んだ。
「離してくれませんか」
 と言いながら片手で、胸ぐらを掴んでいるその手を捻り上げるようにして、簡単に振り解いてしまう順子。
 立場が逆転。
 手を捻り上げられてもがき苦しみながらも、スカートのポケットから何かを取り出した。
 剃刀である。
 指先に挟んで順子の頬を切り裂いた。
 順子の頬から血が滴り落ちる。
 かなり深手のようだった。
 しかし……。
 見る間に傷口が塞がっていき、元通りの傷一つない肌に戻ってしまったのである。
 これにはグループ全員が驚かされたようだった。

 次の瞬間。
 順子が左手で少女の首筋を掴んで、いとも簡単に持ち上げた。
 その足が地面から離れて宙に浮く。
 さらに順子の爪がその首筋に食い込んで鮮血が流れ始める。
 と、苦しみもがく少女に異変が起こり始めた。
 老いさらばえ、次第にミイラ状になってゆくのだった。
 やがてすっかりミイラ化した少女を地面に転がして、グループの方に向き直る。
 その瞳は異様なまでに輝いて、身体からオーラが発散されていた。
 グループ全員が怯えて後ずさりを始める。
「化け物!」
 そして蜘蛛の子を散らすように逃げ出してしまった。
 入れ替わるように姿を現したのが蘭子だった。
「正体を現したな」
「蘭子!」
「順子。それとも妖魔と呼ぶべきかな」
 正体を見透かされても、落ち着いた表情で答える順子。
「どちらでもない。私は私だ。まあ好きなように呼ぶが良い」
「順子の身体を乗っ取って、この世に仇なすつもりか?」
「乗っ取ったつもりはないが、契約に従って借り受けているだけだ」
「血の契約か?」
「そうだ」
「どうせ、おまえに都合の良い契約だろう」
「彼女は美しくなりたいと願った。だから叶えてやっただけだ」
「しかしそれには代償として、別の女性の命を奪うことを、ちゃんと説明したか?」
「説明の必要などないだろう。彼女にとっては自分さえ美しくなればそれで良いこと。眠っている間に起こることを説明してどうなる。目が覚めれば何も覚えていないのだからな」
「妖魔らしい考え方だな」
「お褒めの言葉と受け取っておこう」
 その時、蘭子の背後から白虎がのそりと現れた。
「白虎ですか?」
「戦ってみるか?」
「いや、よしておきましょう。今夜は顔見せということにしましょう」
 というなり、闇の中に消え去った。
 その消えた空間を見つめたまま動かない蘭子。
 白虎が猫がじゃれるつくように、蘭子の足元に擦り寄ってくる。
「え? どうしてみすみす見逃したかですって?」
 蘭子と白虎とは、言葉によらない意思疎通ができた。
 応えるように小さく唸る白虎。
「それは、あいつは妖魔であると同時に、クラスメートの順子でもあるからよ。妖魔として倒せば、順子も死に追いやることになる。順子には傷つけずに、妖魔だけを倒す方策を探さない限り手が出せないのよ」
 とはいえ、それがほとんど不可能であろうことは十分承知していた。
 血の契約によって結ばれた両者を引き離すことはできない。
 いよいよとなれば、妖魔もろとも順子を葬り去るしかないのである。
 白虎は納得したように吠えた。

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