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2017年9月24日 (日)

梓の非日常/第一章 病院にて

梓の非日常/第一章 生まれ変わり
(三)病院にて  生命科学研究所付属芳野台病院。  病室のドアが立ち並ぶ廊下の一角。医者と三十代くらいの女性が何やら真剣な表情 で話しあっている。そのそばの病室に掲げられた名前には、真条寺梓の名前が記され ている。  病室の中、ベッドに横たわる梓。静かな寝息をたてて眠っている。  窓は開け放たれ、さわやかなそよ風が、ベッドのそばで花束をほどいて花瓶に差し ている二十代の女性の髪をたなびかせている。  ドアが開いて廊下で話し合っていた医者と女性が入って来る。 『麗香さん。梓の様子はどう?』  病室のドアを閉めながら英語で尋ねる女性。 『はい。相変わらず眠ったままです、渚さま』  麗香と呼ばれた若い女性も英語で答えている。 『そう……』  渚と呼ばれた女性は、ベッドで眠る梓の母親であった。  医者が眠っている梓のまぶたを開き、懐中電灯の光を当てて瞳孔反応を確かめてい る。 「瞳孔は正常に反応しています。そろそろ目覚めてもいい頃です」  医者が日本語で説明している。  その時だった。 『う、ううん』  梓が小さく呟いたのだった。 『先生!』 「今の懐中電灯の光で、意識が呼び覚まされましたかな。お嬢さんにちょっと呼び掛 けて頂けますか」 『は、はい』  英語と日本語が交錯する。  三人の人物達はそれぞれ両言語を理解しており、使い慣れた方の言語で話している ようだ。  医者に言われて、二人の女性が梓の耳元に近づいた。 『梓! 梓、目を覚まして』 『お嬢さま! 目を覚ましてください』  二人の女性に呼び掛けられて、ゆっくりと目を開ける梓。しかし意識朦朧なのか目 を開いたままの状態が長く続く。 『梓、わたしの声が聞こえる?』 『お……かあ……さん……』  喉の奥から絞り出すようにとぎれとぎれに声を出す梓。 『あ、梓!』  自分のことを呼ばれて歓喜する母親。  しかしその言葉を最後に再び意識をなくして眠りにつく梓。 「また、眠ったようですね」 『先生……今さっき梓は、私のことを見て、はっきりと『おかあさん』と呼びまし た』 『はい。確かに私も聞きました』 「そうですね。もう大丈夫でしょう。完全に意識を取り戻すにはもうしばらくかかる と思いますが」  数日後。  病室のベッドの上に梓が起き上がっている。 『ここは、どこだろう……』  布団を跳ね上げてベッドの縁に腰掛ける。ネグリジェ姿の自分に気づく梓。 『な、なんだこれは。なんでこんなもん着てるんだ、俺は』  さらに胸の膨らみに気がついて、胸元を覗く梓。 『こ、これは……まさか』  さらに股間に手を当てて確認する梓。  絶句している梓。 『お、女じゃんか。なんでこの俺が、女になってんだ』  その時ドアが開いて女性が入って来る。梓の母親である。 『あ、梓。目が覚めたのね』  やさしい表情で話し掛ける女性に、どこかで見たような気がするのに思い出せない。 そんな感情を覚える梓。しかも相手が話し掛けてくる言葉は英語だと思われる。それ が、何故か理解できるのはなぜだろう。 『あの、あなたは?』  そして自分の口から出来てきた言葉は、まさしく英語。そういえば、先程の独り言 も気づいてみれば、英語だったのだ。どうやらこの梓という人物は、日常会話として 完璧に英語に慣れ親しんでいる環境にあるらしかった。だから自然な英語を話せるし、 理解もできるということ。 『ん……そっか。まだ記憶が混乱しているのね。私は、あなたの母親ですよ』 『おかあさん……?』 『そうよ。あなたは、ずっと仮死脳死状態でずっと眠っていたの。だから意識を取り 戻しても記憶障害が残るかもしれないと、お医者さまはおっしゃってたわ』 『記憶障害?』 『でもね。あなたが意識をはじめて取り戻した時、私を見つめておかあさんって呼ん でくれたから。私は心配してないわ。きっと記憶を取り戻せると信じてる。だから、 あなたも心配しないでゆっくり養生してね』  といいながらやさしく微笑みかける母親であった。 『あ、そうそう。ネグリジェ、新しいのに着替えましょう。汗をかいて気持ち悪いで しょう』  といってロッカータンスから替えのネグリジェとショーツを取り出してきた。 『さ、ベッドの縁に腰掛けてみて』  いわれるままにする梓。  ……この身体のまま、人前で着替えるのって恥ずかしいな……  しかし相手は、この身体の産みの親。なにを恥ずかしがることがあるだろうか。  着替えを終えて、渚は脱いだ衣類を鞄に収めている。おそらく持ち帰って洗濯する のであろう。 『午後からは麗香さんがくるから。あ、念のために言っておくと、麗香さんというの は、あなた専属のお世話係りですから』  渚が病室から出ていった。

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