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2017年11月 6日 (月)

銀河戦記/第六章 カラカス基地攻略戦 VIII

第六章 カラカス基地攻略戦

                  VIII  散開した部隊の直中を中央突破する敵艦隊。  その光景を眺めるサラマンダー艦橋のオペレーター達。 「敵は撤退を始めたようです」 「予定通りですね。撤退する艦隊を追い詰めて、必死の反撃を誘うことはありません。 こちらの被害を最小限に食い止めつつ、射程内の敵だけを確実に撃ち落とせばいいの です」  撤退中の敵艦隊といえど数に圧倒的な差があるため、油断していれば部隊全滅の危 険もある。慎重に防御体制をとりつつ、確実に目前に迫る敵艦隊を落としていく。  数時間後、戦闘は終了した。 「レーダーに敵の艦影姿なし。敵艦隊、完全に撤退したもよう」 「上空の部隊に連絡をとってくれ」  正面のパネルスクリーンにゴードン以下の各編隊長が映しだされた。 「ゴードン、済まないが。そのまま哨戒の任務についてくれ。指揮はまかせる」 「了解した。ただちに哨戒任務に入る」 「ジェシカは被災した艦艇の救援活動だ。一人でも多くの負傷者を助けだしてくれ」 「わかりました」 「パトリシア、本隊及びカインズ隊は基地に降下して、基地の施設内で抵抗する残存 兵士の掃討と艦艇の燃料補給だ。それが済み次第本隊をゴードンと交替させる」  さらに数時間後、施設内の残存兵士の掃討も済み、アレックスは配下の者達を集め て、今回の作戦の結果報告と今後の対策などを検討することにした。 「さて、とにかく被害報告を聞こうか」 「はい。味方の損害は七隻が大破して航行不能、三十六隻が中破するも修理可能で す」 「死傷者は?」 「十八名が死亡。重傷五十六名。そして行方不明が三名です」 「そうか……」  たとえ作戦に勝利したとしても戦死の報告を聞くことは悲痛の念にたえない。  一人の戦死者も出さずに戦いを勝ち抜くことは有り得ないことである。それが殺し 合いの戦争である限り。敵味方双方とも、味方の屍を乗り越えてより多くの敵兵士を 殺戮して明日の戦勝を目指すのである。戦争に勝つためには、味方が五十万人戦死し たならば、敵を百万人殺せばいいのである。敵の反攻を許さぬためには、撤退する艦 隊とて徹底的に叩いて撲滅掃討するのが常道である。  この点において、敵艦隊の撤退を許したアレックスの行動は手緩いといえる。威嚇 だけでなく軌道ビーム砲を使って全滅させれば、捲土重来の機会を与えることもなく、 敵の兵力一個艦隊を確実に削ぎ落とせたのである。しかしアレックスはそうはしなか った。それは軌道ビーム砲の射程内には味方の部隊もいるのだ。パトリシア、レイチ ェル、ゴードン、カインズ、その他大勢のアレックスの忠実で有能な部下達がいる。 誤射や流れ弾、敵艦の誘爆に巻き込まれることもある。アレックスはそれを危惧した のである。敵艦隊の撲滅よりも部下が生存する方を選んだのである。 「今回の戦闘では、百数十隻の敵艦艇を撃破した模様です」 「撃破率でみますと、七対百数十という好成績で、かつ補給基地を奪取したのですか ら、我が部隊の圧倒的勝利といえますね」 「ところで基地には約三百隻の敵艦艇が残されていますが、いかがなされますか」 「搾取した艦艇の処遇は、その司令官に一任されている。もちろん我が部隊に編入す るさ。敵艦の運航システムを同盟のそれと入れ替えてな」 「運航システムの入れ替えとなると、システム管理部のレイティ・コズミック少尉が 責任者として最適でしょう」 「そうだな。カインズ大尉、配下の者を使ってレイティと共に作業に入ってくれ」 「わかりました」 「それから、それを実際に運用する乗員も必要だ。パトリシアは、早速本部に連絡し て至急人員の補充を要請してくれ」 「はい」 「レイチェルは、三百隻の艦艇を編入するにあたっての部隊再編成と人員配置を検討 してくれたまえ。本隊として二百隻、残る三百隻を二分して、ゴードンとカインズに それぞれ百五十隻ずつの分隊として編成させる。その際、高速艦艇を優先的にゴード ンの分隊に振り分けてくれ」 「それはどうしてですか」 「ゴードンには機動遊撃部隊としての任務を考えている」 「機動遊撃部隊?」 「本隊に対峙する敵部隊の側面や背後に高速で回りこんで攻撃を加える役目というと ころかな」 「ほう……俺にぴったりの役目じゃないか。アレックスもやっと俺の性格を理解でき るようになったか」  一同の視線がゴードンに向いた。同僚とはいえ上官であるアレックスに対する言葉 使いが問題なのであった。勤務時間以外では私語や馴れ合いも許しているアレックス ではあっても、今は会議ルームであり公務執行中である。上下関係は厳守されなけれ ばならない。  パトリシアがわざと軽い咳をしてゴードンに注意を促した。すぐに気がついたゴー ドンは、改めて言葉を直して答えた。 「失礼しました、司令官殿。喜んでその任務お引き受けいたしますが、カインズ大尉 には何を?」  両大尉にそれぞれ同数の分隊の指揮を任せているのであるから、ゴードンが機動遊 撃部隊なら、カインズにも別の任務を与えられていいだろう。誰しもが考えることで あった。 「カインズには、当面このカラカス基地の防衛指揮官をやってもらうことにする。第 八艦隊が守るクリーグ基地、第十七艦隊の守るシャイニング基地、両基地と比べても 遜色のない設備と資源を有した戦略重要拠点である。それを若干の部隊だけで守らね ばならない。軌道衛星砲があるとはいえ、油断すれば我々が攻略した二の舞を踏む結 果ともなりえない。要は部隊と衛星砲の運用次第で、それを完璧にこなせるのはカイ ンズをおいて他にいない」 「かしこまりました」

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