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2018年1月25日 (木)

銀河戦記/第十一章・スハルト星系遭遇会戦 IX

第十一章・スハルト星系遭遇会戦 

                 IX  およそ三時間後。  戦闘は圧倒的勝利で終わった。 「長い道のりだった割には簡単に終わってしまいましたね」 「敵の背後から急襲できたし、相手はまったく油断していたみたいだからな」 「搾取した艦艇ですが、いかがなされますか?」 「そうだな……」  と考え込んでいるアレックス。  今回の戦闘でも五百隻ほどの艦艇が白旗降参し、これを拿捕することができたのだ った。これまでは拿捕した艦艇は、そのまますべて部隊に編入し、艦隊を増強してき た。 「いや、今回は止めておこう。捕虜を収容したら全艦撃沈処理する」 「え? いいのですか?」 「戦闘の前にも言っただろう。罠かも知れないと」 「え、ええ。確かにおっしゃいましたが」 「あまりにも事が簡単に運び過ぎた。これがブービートラップではないという保証は ないじゃないか」 「でもシステムの総入れ替えをすれば」 「システムだけじゃない。艦内のどこかに探査できないように施された爆薬などが仕 掛けられていたらどうする? あるいは艦隊の位置を逐一知らせる発信器でもいい」 「まさか……」 「考えてもみろ。我々の帰還コース、同盟軍の勢力圏内で行動しているにも関わらず ろくな索敵もせず、まったくの無防備状態でいる艦隊がいると思うか? まるで襲っ てください、拿捕してくださいとばかりに、目の前に置いてあった感じだ。おそらく 拿捕した艦艇を編入してきた私のこれまでを考えて、罠を仕掛けてきたと考えても道 理だと思うが、どうだ?」 「そう言われればおかしな点が多いですね」  その頃、バーナード星系連邦タルシエン要塞基地。  司令官室を行ったりきたりしながら、いらいらしているスピルランス少将。 「信号が跡絶えました。全艦撃沈されたもようです」  静かに報告をするのは、深緑の瞳を持ったスティール・メイスン大佐だ。 「降伏し拿捕された艦もか?」 「はい。すべての艦艇です」 「そんな馬鹿な……。そんなことはあるはずがない……」 「どうやら閣下の思惑が外れたようですね。二千隻の艦艇が宇宙の藻屑と消え去り、 六万余人の将兵が無駄死にし捕虜になったわけです」 「言うな!」 「ランドールという男、なかなかしたたかな相手です。これまでの経緯なら拿捕した 艦艇を自らの艦隊に加えて、兵力を増強してきましたのに、今回に限っては閣下が仕 掛けた罠に気づいて艦を残らず撃沈させるとは」 「ええい。言うなというに。出ていけ!」 「はっ!」  うやうやしく頭を下げて退出するスティール、そして扉を閉めると同時にため息を ついて嘆くのだった。 「自軍の艦艇や将兵達をただの駒のように扱ったあげく、ただ作戦が失敗したことを 悔やんでいるだけとは……。無駄に死んでいった将兵のことなんか少しも気にもとめ ていない。あれじゃあ、死んだものが浮かばれない」

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