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2018年3月28日 (水)

銀河戦記/鳴動編 外伝 少年達の挽歌 後編

銀河戦記/鳴動編 外伝 少年達の挽歌

少年達の挽歌 後編  トリスタニア共和国同盟へと渡ったジュビロ・カービン。  国際連絡船の貨物に紛れ込んで、見事に首都星トランターへの密航に成功し、自由な国 の明るい日差しの土地への降り立ったのである。 「まずは仲間を集めることにしよう」  何事にも一人より二人、二人より三人と多くの仲間が増えれば、より大きな仕事ができ る。それがネット犯罪という悪行であればあるほど。  ジュビロにとって、トランターでの暮らしは、アルデランに比べれば天国のようであっ た。  腹が減ったり衣服が欲しくなれば、仲間を誘って徒党を組んで街へ繰り出し、商店を襲 って食料などを強奪したり、道行く人々を取り囲んでは金品を巻き上げていた。すべての 民が困窮していたアルデランと違って、ここトランターでは生きていくのに必要なものが すべて揃っていた。  どんなに発展した街とて、やはり汚点とも言うべき暗い側面があるものだ。犯罪者や事 業に失敗して多額の借金を背負い込んで流浪する者、そんな人々が自然と寄り集まってス ラム街というものが形成されていた。  治安が悪く、毎日のようにひったくりや強盗果ては殺人事件まで、あらゆる犯罪が存在 するのもまた共和国同盟の性である。  ジュビロ達が暮らしているのはそんなスラム街だった。  清掃の手も行き届かないゴミの散乱したとある朽ち果てた廃ビルの地下室に集う悪餓鬼 達。携帯端末の画面を見つめながら、今日もネット犯罪に手を染めていた。  チームリーダーとなっていたジュビロが呟く。 「ようし、軍部のネットサーバーに繋がったぞ」 「さすがジュビロだな」 「そうだよ。ジュビロの手に掛かればアクセスできないネットなんてないからね」 「で、何から調べてみる?」 「そうだな……。どうせなら軍部の最高機密を知りたいな」 「最高機密ねえ……。やっぱり新造戦艦じゃないの? それも最新鋭の」 「よし、それでいこう」 「となれば、工廠省の軍事コンピューターだね」 「それってガードが固いんじゃない」 「ああ、軍部でも最高レベルのセキュリティーで守られているよ」 「でも、ジュビロがいれば簡単に破れるよね」 「当たり前だ。ネットに繋がっている限り、アクセスできないものはない」  と言いながら端末を操作すると、瞬く間に軍の最新鋭戦闘艦の資料、模造品と設計図が 映し出された。 「これが最新鋭?」 「ああ。戦艦の形式は、ハイドライド型高速戦艦」 「へえ、高速戦艦か……」 「主砲は、超伝導技術を利用した原子レーザー砲だ」 「原子レーザー砲か……」 「火力、速力、すべてにおいて現行の戦艦を凌駕しているよ」 「これでバーナード星系連邦との戦いも楽になるんじゃない?」 「馬鹿言えよ。こいつはまだまだ設計段階で、全体のほんの一部でしかないんだ。すべて の設計が終わって、竣工するまでは二十年から先の話だよ」 「なんだよ。そんなに掛かるのかよ」 「あたりまえだ。戦艦の設計には、何百人という技術者が必要なんだ。エンジンの設計者、 火砲の設計者、艦体構造の設計者、艦を動かすシステムエンジニアなど、大勢の人間が関 わってくる」 「戦艦一隻開発するのも大変なんだな」 「そういうこと。こちらが新戦艦を開発しても、相手国だって黙って見ていないからね。 さらに上を行く性能の戦艦を投入してくる。開発競争は熾烈さ。相手国にスパイを送り込 んだり、ネットに侵入してその開発データを盗み取ることも、頻繁に行われているさ」 「俺達みたいにね」 「なあ……。このデータを持って、どこかの機関に売り込んだら金になるかな? 連邦軍 のスパイとか」 「おい。抹殺されたいのか。外部に持ち出せば必ず足が付くに決まっているじゃないか」 「そんなもんかな」 「軍部だって馬鹿じゃないよ」  一方のスティール・メイスンは、バーナード星系連邦首都星ジラードへの密航に成功し たものの、行く当てもなく街の中をさ迷っていたところを補導されてしまった。  すべての男子が軍人への道を進むバーナード星系連邦とて、戦いをどうしても肯定でき ない平和主義の人民がいても不思議ではないだろう。  そのような人物は、施設に強制収容されて洗脳教育を受けることになる。  連邦の男子はすべて軍人であり、軍人でなければ連邦人民ではないのである。  補導されたスティールであるが、銀河帝国からの密航者ということがわかって、特別収 容施設へと入れられることとなった。  銀河帝国から密航してくる人民が相当な数に達していたのである。彼らを一同にバー ナード星系連邦の人民としての再教育が行われるのである。  とはいえ、まだ少年であるスティールには特別な再教育は必要ないだろうという判断さ れて、一般の兵士教育機関である幼年学校への編入手続きがなされて、連邦人民の一人と して同じ年頃の子供達と机を並べることとなった。  毎日続く軍事教育の中で、スティールはその才能を花咲かせ、めきめきと頭角を現し始 める。  一般的には幼年学校を卒業して、最下級の二等兵として軍務に付くのが大半だが、成績 優秀なスティールは、上級の士官学校への推薦入学、さらには幹部候補養成学校へと進学 した。  そして若干二十歳で軍務に就任したとき、すでに大尉に昇進し、一個部隊を率いる部隊 司令官の副官として、艦隊勤務に就いていた。

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