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2018年3月 5日 (月)

梓の非日常/終章・生命科学研究所 火災発生

梓の非日常/終章・生命科学研究所

(九)火災発生  さらに数週間が過ぎ去っていた。  定期的に研究所を訪れては、自分の意識の内に秘めるイメージの本体ともいうべき 長岡浩二と面会していた。  すでに事故から三年以上も経ち、梓の記憶の片隅に埋もれてしまいがちな浩二とい う意識も、梓として暮らすうちにすっかり他人という感じになっている。  あたしは浩二ではない、正真正銘の真条寺梓よ。  その意識は確たるものになっていた。  真条寺梓としてのはっきりとした記憶があるのだから当然だろう。  それでもなお、浩二に固執するのは、その意識体を移植されたことと、命を救って くれた恩人であるという理由である。 「できれば助けてあげたい」  そのためにはどんな助力もしてあげよう。  そう思うのは当然であろう。  その頃、研究所の外では、自動二輪に跨り、今日も日参している慎二がいた。 「なにが悲しゅうて、でば亀みたいなこと……」  言いつつ研究所の玄関を見つめる慎二。  研究所には入れないから、じっと出てくるのを待つしかなかった。  それにしても……。  慎二は考えあぐんでいた。  もちろん長岡浩二、その人のことである。  梓にとっては命の恩人、そして慎二自身の憧れの人だった相手だ。  もし生き返ることがあったとしたら、慎二には敵いようがないのは必然だった。  これまで研究員が一人で細々と研究していたことも、真条寺家の総力をあげれば、 蘇生も可能になるかも知れない。 「梓はどうするつもりかな……」  新たなるライバルの出現の予感に頭を抱えていた。  もう一人の絵利香は、自室にて机に向かって勉強中であった。  ふと、窓辺に視線を移して思いをはせる。 「今日も浩二君とこに行っている……。命の恩人ということで、気になることは判る けどね。それよりも脳意識を移植されたことで、神経質になっているみたい。わたし の目から見ても、正真正銘の梓ちゃんであることに変わらないのにね」  研究室。  冷凍睡眠カプセルに眠る浩二を見つめる梓。 「絵利香がいうように、いくら意識を移植されたとはいえ、この人とは赤の他人に他 ならないけど……。でも放ってはおけないのよね……どうしても他人には思えない」  そんな梓を物陰から見つめている怪しげな人物がいた。  なにやら灯油缶に入った液体を床に流していたが、やおら紙切れにライターで火を 着けると床に放り投げた。  するとボーッという音と共に液体が燃え上がった。そしてまたたくまに床全体を炎 が包む。  炎は天井にまで舞い上がり、火災報知機を作動させた。  室内に鳴り響く警報音。 「なに?」  そのけたたましい警報音に振り向く梓。  入ってきたドア付近が炎に包まれていた。  多種多様な化学物質の存在する研究室。引火性のある薬品が次々と燃え上がってい た。 「こ、これは!」  驚愕の梓。  その顔は燃え上がる炎に照らされて、真っ赤に紅潮していた。

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