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2018年5月 8日 (火)

続 梓の非日常/第三章 スパイ潜入 黒服の報告

続 梓の非日常/第三章・スパイ潜入

(二)黒服の報告 「つまりは将来的なエネルギー源を、梓に押さえられる可能性があるということじゃ ない」 「その可能性は十二分にあるでしょうが、実際の採掘には、鉱床のある排他的経済水 域を包括する国家の主権が絡みますので、なかなか難しいでしょうが」 「ところで米国海軍の保護下にあると言ったけど、まさか実際は海軍所属の潜水艦と いうことじゃないでしょうね?」 「そ、それは……」 「その顔は何か知っているわね?」 「い、いや。これはお嬢さまといえども打ち明けるわけには参りません」 「そう……。なら、いいわ。ただし、明日から別の職を探すことね。わたしに逆らっ た者がどうなったか知らないはずないわよね」  高飛車な態度で言い渡す葵だった。気に入らないことがあれば、実力をもって行使 する。いかにも自分本位で他人の迷惑を一切考えない。  実際には使用人の採用権などを握っているのは母親の靜であるが、葵の機嫌をそこ ねたら最期、村八分にされるか下駄番にされるかして、居ずらくなってしまう。かと いって転職しようとしてもことごとく就職を断られるだろう。神条寺家の影響力は全 国津々浦々の企業に浸透しており、当家を退職した者を雇ったことが知られれば敵対 勢力とみなされて、取引企業からの一切の断絶、企業生命を絶たれてしまう。結局神 条寺家を出た者に待っているのは、世渡りの厳しい現実であり、せいぜいパートかア ルバイトしかないか、神条寺家の範疇にない小さな個人経営の企業に就職するよりな い。妻子ある者なら給与の激減で食べていくことすらできない状態に陥ってしまうで あろう。  ゆえに何があろうと、何を言われようとぐっと堪えて腹の中にしまって、媚びへつ らい頭を下げていいなりになるしかないのである。 「判りました。ですが、絶対他言無用にお願いします」 「早く聞かせなさい!」  びくつきながらも、自分の知り得た真条寺家の内情を話す黒服だった。  原子力潜水艦が、真条寺財閥資産運用会社「AREC」の所有ながらも太平洋艦隊 にも所属していること、戦略核兵器を搭載しているとかの噂も流れていること。 「核兵器?」 「未確認ですが、国家最高機密である原子力潜水艦を民間が建造所有できるはずもな く、当然海軍の協力の下に建造が行われたものと推定されております。また対艦誘導 ミサイルの発射が確認されて艤装が施されているのが事実となっております。当然と して、その艦の大きさから核弾頭すらも搭載されているだろうとの判断です」 「戦争でもするつもりなの? 真条寺家は」 「兵器は使うために存在するものです。その時……その時がくればですが、当然使う でしょう」 「その時は、第三次世界大戦になっているわね」 「その通りです」 「まったく……現在世界に冠たる経済大国の地位と、世界一の軍隊を誇るアメリカ国 家を味方につけている真条寺家。かたや敗戦国で核兵器はおろか空母一隻も持たずに 戦争放棄を唱えている平和統治政府日本国の下の神条寺家。戦争となって敵対すれば、 あっという間に滅ぼされるわね」 「その通りです」 「どうりでお母様が梓を陥れようとやっきになっている理由が判ったわ」 「どういう意味ですか?」 「あなた、本当は知っているのでしょう? 梓がハワイに遊びに行くのを知って、整 備員を買収して航空機に細工をしたのをね。あまつさえ、南米の某国軍隊を買収して 駆逐艦部隊をさしむけたことも。さらには生命研究所の地下施設火災事件、すべてお 母様の仕業。みんなひた隠しにしているけれど、わたしはちゃんと知っているのよ」 「どうしてそれを?」 「窮すれば通ずるよ。ひた隠しにしようとすればするほど、杓子から水がこぼれるよ うに、情報は漏れるものよ」 「はあ……」  ものの例え方がいまいち納得できないがだまって頷くような素振りをする黒服だっ た。 「わたしは影に回って陰謀を巡らすようなお母様には反対です。正々堂々と戦って組 み敷かせなければ意味がないのよ。陰謀によって相手を倒して手に入れたものは、再 び陰謀によって奪われるものよ」  ほう……。  珍しくまともなことを言っているな。  そう思う黒服だった。  思い起こしてみると、幼少の頃から勝気で、言うことを聞かないと癇癪を起こして しまうお嬢さまだったが、曲がったことは大嫌いだった。まっすぐ前を見て物を言い、 間違っていることは間違っているとはっきりと言う。善悪の区別のできる娘だった。 「お母様には、何を言っても無駄だわ。わたしは、わたしのやり方で梓をこの前に跪 かせてあげるわ。あなたもお母様のいいなりになってないで、わたしについてきなさ い」  意外な言葉だった。  母親に敵対するような言葉を吐き、一人でも多くの味方をつけるためのことなのか も知れない。  葵に対しての意識を考え改めさせることばだった。 「判りました。お嬢さまのおっしゃるとおりに」  と頭を下げる黒服だった。

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