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2018年6月 2日 (土)

続 梓の非日常・第四章 峠バトルとセーターと 峠バトル

続 梓の非日常・第四章・峠バトルとセーターと

(五)峠バトル  ほどなく頂上に上り詰める。  そこには先日のように多くの自動二輪が所狭しと並べられ族がたむろしていた。  前回は女性ばかりだったが、今日は男達も混じっている。用心棒というところだろ うか。  閉業中のガーデンハウスを無法占拠していた。 「真条寺梓だな」 「ああ、そうよ」 「中へ入りな」  異様な視線を浴びながら中へ入る。  ガーデンハウスの一番奥に、そのリーダーはいた。  ロングの髪をヘアバンドでおさえ、レザースーツを着込んでいた。 「逃げないでよくここまで来たね」 「人質を捕られているからね。どこにいるの?」  リーダーが合図すると、調理場らしき所から縛られてお蘭が引き連れられて出てき た。 「梓さま!」  梓の姿を見て歓喜するお蘭。 「大丈夫?」 「は、はい」  怪我とかはしていないようだった。 「あなた達に従ってここまでやってきたのよ。蘭子さんを解放しなさいよ」 「いいだろう。おい、縄を解いて自由にしてやれ」  お蘭を引き連れていた者が、その縄を解いた。  「梓さま!」  すぐさま梓の元に駆け寄るお蘭。 「あ、ありがとうございます。きっと助けに来てくれると信じていました」  あの廃ビル騒動の際に、罠だと知りつつも単独でお竜を助けにきた梓のことだ。自 分のことも見捨てないとじっと待ち続けていたようであった。 「で、どうすればいいの」 「喧嘩じゃ、そこにいる鬼の沢渡に勝てるわけがないからな」 「ありゃ? この俺を知ってるのか?」 「ああ、川越から広がる東上線・新宿線・埼京線などの鉄道沿線の不良達の間では知 らない奴はいないほど、恐れられているからな。最近川越を縄張りにしているスケ番 グループのリーダーの用心棒になったらしいこともな」 「用心棒じゃねえやい!」  ここでも誤解されていきまく慎二だった。  くすくすと笑う梓。 「腕づくじゃないとすれば何をするの?」 「あたし達は、この正丸峠を本拠とする走り屋だよ。もちろん勝負は街道レース」 「レース? 言っとくけどあたしはバイクにも四輪にも乗れないよ」 「知ってるよ。だから特別ルールでタンデム乗車によるタイムレースを行う。そこの 沢渡が運転して後ろにあんたが乗る。ここから出発して、今登ってきた来た道を駆け 下りて正丸入り口に先に到達した方が勝ちだ。もちろん正丸入り口で道路封鎖してい るから対向車を気にすることなくレースに専念できる。どうだ?」  街道レースバトルの申し込みであった。  断るわけにはいかないだろう。  慎二はどうかと振り向くと、 「俺なら受けて起つぜ。梓ちゃん次第だ」  親指を立てるようにして、OKサインを送っている。 「いいわ。受けましょう」 「決まりだな」  ガーデンハウスの前に出てくる梓と慎二。そしてリーダーを含む一団。  スタートラインに自動二輪を並べ、エンジンを始動させる慎二とリーダー。  慎二の自動二輪の音は重低音ながらも静かなものだったが、一方のリーダーの自動 二輪は、耳をつんざく様な甲高いエンジン音が響いていた。 「奴のは2サイクルで、しかもレース用にチューンナップされてるからな。だからあ んな音がするんだ。ほい、ヘルメット」 「そうなんだ」  ヘルメットを受け取り自動二輪に跨った。 「ぴったり俺の背中に張り付いていてくれ、特にコーナーで曲がるときに、遠心力に 振られて身体が外側に傾いちゃうけど、それだと曲がりきれなくなるんだ。俺が車体 を傾けたら、その傾きに合わせるように身体も傾ける。タンデムでは、後ろに座る者 もバランス取りをして、コーナーを曲がりやすく協力する必要がある。とにかく俺の 身体の動きに合わせてくれればいいよ」 「わかった」 「まあ、事故って死ぬときは一緒だよ」 「そうだね……」  死ぬときは一緒だよ、という言葉に微妙な感覚を覚える梓だった。  まあ、こいつと一緒ならいいか。  本気でそう考えていた。 「用意はいいかい?」  リーダーの方から声が掛かった。 「ああ、いつでもいいよ」 「ちょっと待ってくれ」  突然割り込んできた若者がいた。  自動販売機のそばで温かいコーヒーを飲んでいたようだが、 「俺達に立会人をさせてくれないか?」  と、そばの車を指さした。  後から追従してバトルを見届けようということらしい。 「お、おまえは冬山渉!」  トヨタAE86レビンを駆って、正丸峠をホームコースとする走り屋である。 「なんでおまえがいる?」 「ああ、実はこいつとバトルの最中だったんだ」  指さす先には、同じくAE86パンダトレノの傍に立つしょぼくれた若者。  車のサイドには、白地に黒文字で「梶原豆腐店」と書かれている。 「おまえは、秋名のハチロクかあ!」 「どうも……」  暴走族達が集まって協議している。 「い、いいだろう。邪魔しなければな」  リーダーが結論を出す。 「分かってるさ。では、拓海君は後からついてきてくれ」 「わかった……」  こうして、バイクのバトルをする者と、後追いの立ち合い人の車が正丸峠を走るこ とになった。  スタートマンが、両者のコース真ん中に立って手を挙げた。 「ようい!」  息を呑む両者。  エンジンを吹かせながら、スタートマンが手を振り下ろす瞬間を待つ。 「ゴー!」  その手が振り下ろされると同時に発進、スタートマンの両脇を抜けて峠道を駆け下 りていく。  すさまじい加速で、慎二ペアを引き離していくリーダーペアだった。  走り屋としてこの峠を知り尽くしているだろう、一方の慎二運転する後部座席には、 二輪に跨ることなどほとんどないお嬢さまの梓である。勝負は最初から見えているだ ろう。  コーナーを曲がるたびに外側に振り飛ばされそうだった。必死に慎二にしがみ付く 梓。  前を走るリーダーペアは、極端に身体を倒し、膝を地面に擦り付けるようにして豪 快に曲がっていた。 「そうか……。あんな風にしてカーブを回るのか……」  真似したくても、梓は城東初雁高校の女子制服のままである。できるわけがない。  とにかく慎二の動きに合わせて、コーナーにくれば身体を傾ける。それを忠実に真 似するだけである。  リーダーペアに、どんどん差を広げられていった。

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