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2018年6月16日 (土)

続 梓の非日常/第五章・別荘にて 乗馬クラブ

続 梓の非日常/第五章・別荘にて

(五)乗馬クラブ  翌日のこと。  梓付きのメイド達四人を前に訓示をたれている麗香。 「今日と明日の午後、昼食後から夕食前を自由時間にします」 「本当ですか?」  満面に笑顔を見せて飛び上がるように喜ぶメイドたち。 「お嬢さまの御厚意です。お嬢さまのおやさしい心使いを忘れないように、真条寺家のメ イドとしての規律を守って、羽目を外さずに行動しなさい」 「はーい!」 「あなた達が遊んでいる間にも、別荘勤務のメイド達が汗水流して働いていることを忘れ ないでください」  真条寺家のメイドには二種類の職種があった。  麗華や明美達が梓専属のメイドとして働いているように、主人の身の回りのお世話をす る職種。  部屋の掃除や給仕・洗濯といった屋敷内での日常業務を担っている、屋敷付きの職種と である。  屋敷付きのメイドは、夜勤を含めて三交代で勤務時間がはっきりしている。基本的に週 休二日制で、長期休暇もある。ごく普通のサラリーマンと何ら変わりはない。肉体労働で はあるがきちんと休みがあるので疲労が溜まることはない。  一方の専属メイドは、仕えている主人に常に付き添って行動するために、勤務時間が明 確に決められていない。夜討ち朝駆けだったり、いきなり海外へ渡航しちゃうこともある。 主人との軋轢もあって、精神的ストレスに責め苛むこともしばしばである。それも主人次 第ということで、梓のような心優しい人間に当たれば悪いことなしである。ちゃっかりと 旅行気分を味わえたりするわけである。  屋敷付きメイド主任の神楽坂静香に声を掛ける麗華。 「静香さん。お手数かけますね」 「いいえ。お気になさらなくて結構ですわ。あの娘達がお嬢さまのお世話をしながら、ど んなに大変な思いをしているかわかりますから。厳格な礼儀作法を守りながら、常日頃か ら気配りを絶やさずにお嬢さまの身の回りのお世話をする。別荘勤務が忙しいのは、お客 様がいらした時だけですけど、あの娘達は毎日ですからね」 「ありがとう。そう言って頂くと助かります」  数時間後。  とある牧場の乗馬クラブに梓と絵利香の姿があった。  乗馬に興ずる梓と絵利香。  馬の動きに合わせて見事な手綱捌きをみせていた。  アメリカ仕込みの腕前は本物だった。  牧場を軽やかに闊歩しながら、存分に乗馬を楽しむ二人だった。  それにしてもいつも梓にべったりの慎二の姿が見えないのが不思議だった。  その頃、慎二はメイド達と一緒に行動していた。  牧場の付帯設備である購買部の土産物屋の中をうろついていた。 「慎二さん。今日はお嬢様と一緒じゃないんですか?」  美鈴が首を傾げるように尋ねる。 「ほんとですよ。いつも一緒なのに」 「そうそう」  明美とかほりも同意見のようだ。 「まさか、乗馬が苦手だとか……」  恵美子に至っては、疑心暗鬼な表情。 「みなさん、そんなに責めちゃだめでしょ」  土産を手に品定めしていた美智子がたしなめた。 「まあ、いいさ。ほんとのことだからな」 「ええ? ほんとうなのですか?」 「ああ、以前馬に乗ろうとして蹴られた。それでも強引に乗ったら、急に駆け出して振り 落とされて腰を痛めたよ」 「暴れ馬だったんですか?」 「観光牧場のおとなしい馬だよ。どうも俺は馬が合わないようだ。喧嘩ばかりしているか ら、殺気を感じているのかもな」 「今の慎二様からは想像もできませんけど……」 「あ、ははは。梓ちゃんの前ではいい子ぶっているだけだよ。本性は荒くれ者さ」  確かに【鬼の沢渡】と呼ばれ恐れられていた頃に比べれば、まるで天使のような人格と 言えるだろう。  梓と出会って人格的に成長したというべきか。 「慎二さん。このソフトクリームおいしいですよ」  店頭販売していたソフトクリームを頬張りながら勧めている美鈴。 「そうか? そいじゃ、俺もひとつ」  といって、同じものを買って食べ始める慎二。 「うん。うまい!」 「でしょ」 「絞りたてのミルクから作るから、味が濃厚なのよね」 「牛乳もそうだけど、一般の市販の乳製品ってのは高温加熱殺菌するから、成分が変質し てしまってどうしても味が落ちてしまうんだよね」 「ここで売っているのは、低温で長時間殺菌しているらしいよ。だから味も濃厚なのね」  ところで美智子たちにとって慎二は、主人の親友であり客人である。丁重に挨拶を交わ し、言葉使いを選ばなければならない立場のはずであった。  にも関わらず慣れ親しい会話を続けているのには、慎二の人柄によるところが大きいだ ろう。決して客人という態度を表さずに、常日頃から友人とでも接しているようであった。  梓もまた、メイド達と慎二との係わり合いを微笑ましいものとして、注意することはな かった。だいたいからして梓自身、慎二を客人と思っていないからだ。  このひととき、自由時間を楽しんでいた。

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