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2018年6月18日 (月)

続 梓の非日常/第五章・別荘にて 大停電

続 梓の非日常/第五章・別荘にて

(六)大停電  その夜、軽井沢一帯は激しい雷雨に見舞われた。  折りしも遊びに来ていたクラスメート達にとっては、はじめて経験する豪雨だった。  梓たちは、リビングでくつろいでいたが、窓に打ち付ける大きな雨音に打ち消されて、 会話の声も届かない。  そして突然の停電。  一瞬真っ暗闇となったが、すぐにバッテリーによる非常灯に切り替わった。 「停電ね」  非常灯の薄暗い部屋の中、成り行きを見守るしかない一同。 「大丈夫よ。もうじき自家発電機が動きだすわ」 「自家発電機があるのか」 「落雷による停電は日常茶飯事みたいなもの。しかも一度停電すると、二三日は復旧しな いこともある。だから自家発電機が必要なのさ」  だが、五分経っても停電は復旧しなかった。  別荘内をメイド達が火の灯ったローソク片手に、行き来している。別に驚いた風でもな く、いつものことといった表情であった。 「どうしたのかしら?」  その時、電話が鳴った。 「停電なのに、電話機が使えるのか」 「バッテリーが内臓されていますし、回線が切断されていなければ通じます。でも、これ は内線みたいですね」  おもむろに麗華が送受機を取る。 「機械室からです」  梓邸の地下には、機械室が設置されていた。  停電時の給電を担う自家発電装置、調理室や各部屋のシャワー・風呂そして冷暖装置に 温水を供給するボイラー室などがあり、それぞれに国家資格を持った技術者が待機してい る。 「電機技師が、まだ帰ってきていない?」  内線による連絡によると、電機技師が街へ用事で出掛けたものの、途中の道ががけ崩れ にあって帰れなくなったというものだった。  電気技術者がいなければ、自家発電装置の始動もままならなかった。 「がけ崩れ?」 「はい、電話回線も切断されたらしく不通です。衛星電話から連絡がありました」 「つまりこの別荘は孤立してしまったということ?」 「そういうことになりますね」 「じゃあ、自家発電は無理?」 「電機技師による通電試験を行わないと危険ですから……。無理です」 「しようがないなあ……」  バッテリー供給による非常灯も次第に暗くなって、やがて真の闇夜がやってくる。  この別荘は都会から遠く隔たれた森深い山間部の中にある。  隣の別荘は何キロも離れていて遠く、周囲には街灯一つなし。例えあったとしても停電 では同じことである。  雷雨はさらに激しさを増し、嵐の様相を呈してきていた。  テラス窓の前に佇んで、外の様子を伺っている相沢愛子。 「しかしこんな夜には幽霊がでてもおかしくないかもね」  と、梓が呟くように応えた。 「出るわよ」 「え?」  喉の奥底から搾り出すように声を出す梓。 「実は、この別荘が立つ前は……」 「いや! 聞きたくないわ」  絵利香が耳を塞いだ。 「あはは、絵利香は、幽霊とかオカルトとかいった話しが苦手なのよね」 「百物語をしようよ」  慎二が提案した。  すると、 「うん。やろうやろう」  と、賛同の声があがった。  青くなる絵利香。  メイドに人数分のローソクを用意させて、じぶんのテーブルの前に立てた。  ローソクの揺れる炎に照らされて、各自の表情が不気味に変化する。 「それじゃあ、あたしからね」  梓が一番乗りした。

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