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2018年8月28日 (火)

銀河戦記/鳴動編 第二十一章 タルシエン要塞攻防戦 III

第二十一章 タルシエン要塞攻防戦

                III  その一時間前のサラマンダーでは、ウィンザー少佐が作戦始動を発した。 「大佐、時間になりました。艦隊を前進させてください」 「わかった。パティー、全艦微速前進だ」 「はい。全艦微速前進!」  ゆっくりと前進を開始する第十七艦隊。 「本隊の目的はわざと敵に位置を知らしめすことで、別働隊の動きを隠蔽することで す」  時折、時刻を確認しているパトリシア。  寸秒刻みでの綿密なる計画が動き出したのだ。一秒たりとも時間を間違えてはなら なかった。 「ミサイル巡洋艦を前に出しましょう。ミサイルによる遠距離攻撃を行います。位置 に着いたら全艦発射準備」 「了解」  オペレーターが指令を伝達すると、ゆっくりとミサイル巡航艦が前面に移動を始め た。  艦隊の再配置が完了した頃、敵艦隊が動き出したとの報が入った。  正面スクリーンに投影された要塞を背景にして、敵第十七機動部隊が向かってくる。 「誘いの隙に乗ってきました」  フランソワが嬉しそうに言った。 「輸送艦ノースカロライナとサザンクロスに伝達。ハッチを解放し、係留を解いて積 み荷を降ろしてください」  サラマンダーの両翼に並走していた二隻の輸送艦からゆっくりと積み荷が降ろされ ていく。それは駆逐艦なみの大きさをもつ次元誘導ミサイルだった。チェスター大佐 が大事に護衛してきた代物。  アレックスが少佐となり、独立遊撃部隊の司令官に任命された時、フリードに開発 生産を依頼していた、本作戦の成功の鍵を握る秘密兵器。  極超短距離ワープミサイルだった。  戦艦三十隻分ものテクノロジーの詰まった、一飛び一光年を飛ぶことのできる戦艦 で、ほんの数メートル先にワープするという芸当のできる究極のミサイルだ。 「別働隊から連絡はありませんか?」 「ありません」 「そう……では、作戦は予定通り進行しているということ」  作戦指揮を任されているパトリシア少佐が進言した。 「大佐。次元誘導ミサイル一号機、発射準備です。反物質転換炉や核融合炉などの重 要施設は攻撃目標からはずします」 「わかった。ノースカロライナに伝達。次元誘導ミサイル一号機、発射準備」 「次元誘導ミサイル一号機、目標は要塞上部、レクレーション施設」  艦橋正面のパネルスクリーンに、ノースカロライナの下部ハッチから懸架された、 次元誘導ミサイルが大写しされ、表示された各種のデータが目まぐるしく変化してい る。戦艦三十隻分のテクノロジーが満載された超大型次元誘導ミサイルだ。要塞攻略 の成否の鍵を握る貴重な一発である、発射ミスは許されない。  そして攻撃目標を正確に表示する要塞詳細図面は、連邦の軍事機密をハッカーして 得られたものである。要塞のシステムコンピューターは、完全独立してアクセス不能 ではあるが、要塞を造成した連邦軍事工場のコンピューターに残っていたというわけ である。 「次元誘導ミサイルの最終ロックを解きます」 「慣性誘導装置作動確認。燃料系統異常なし。極超短距離ワープドライブ航法装置へ データ入力」 「攻撃目標、ベクトル座標(α456・β32・γ167)、距離百十三万二千三百五キロ メートル」 「発射カウントダウンを六十秒にセット。三十秒前までは五秒ごとにカウント。その 後は一秒カウント」 「了解。カウントを六十秒にセットしました。三十秒前まで五秒カウント、その後は 一秒カウント」 「ミサイル巡航艦に伝達。次元誘導ミサイル発射十秒前に、全艦ミサイル一斉発射」 「ミサイル巡航艦、全艦発射体制に入りました」 「よし、カウントダウン開始」 「カウントダウン開始します。六十秒前」 「五十五秒前、五十秒前……」 「次元ミサイル、ロケットブースター燃料バルブ解放」 「三十秒前、二十九……二十」 「次元誘導ミサイル、燃料加圧ポンプ正常に作動中」 「十九、十八……十」 「巡航艦、全艦ミサイル発射」  先行するミサイル巡航艦隊から一斉発射されるミサイル群。 「次元誘導ミサイル、最終セーフティロック解除。発射準備完了」 「九・八・七・六・五・四・三・二・一」 「次元誘導ミサイル、発射!」  すさまじい勢いで後方に噴射ガスを吐き出しながら、ゆっくりと加速を始める次元 誘導ミサイル。 「ロケットブースター正常に燃焼・加速中」  加速を続けながら要塞に向って突き進んでいる。 「敵艦隊、さらに接近!」 「後退します。敵艦隊との間合いを保ってください」 「全艦、後退しろ!」  カインズの下令に応じて、ゆっくりと後退をはじめる艦隊。 「それにしても、弾頭は通常弾ですよね。核融合弾を搭載すれば一発で要塞を破壊で きるのに。せっかくの次元誘導ミサイルなのに……何かもったいない気がします」 「要塞を破壊するのが目的ではありませんから。破壊は許されていません」 「判ってはいますけどね」
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