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2018年8月

2018年8月31日 (金)

性転換倶楽部/ドラキュラ X (七)欲情

(七)欲情

 しかし、わたしの記憶が戻ったことを考えて、彼はわたしに触れることは一切しな
かった。
 恋人がいたり人妻だったりしたら、取り返しのつかないことになるからである。
 床に就いたとき、となりには艶かしい女性が横たわっている。
 どんなにか欲情に駆られてしようがなかったに違いない。
 警察官としての理性が押しとどめていた。
 手を触れれば、さらに胸を触りたくなる、そして行き着くところは……。
 だから極力接触を避けるのは当然であろう。
 それがどんなに辛いことかは理解に容易い。

 わたしには恋人もいなければ、人妻でもない。
 結ばれるには何ら障害はないのだが、万が一のこともある。
 元の身体に戻ってしまうということも考えられるからだ。
 今の女性の身体は一時的なもの。
 将来どうなることかはまったく判らないことだった。
 だからわたしの方も遠慮していた。

 そんな夫婦のような生活が続いていた。
 ある夜のことだった。
 いつものように身体を少し離して並んで寝床に寝ていた。
「あ、熱い……」
 身体が異様に火照っていた。
 股間がむず痒くてしようがなかった。
 無意識にその秘部を指でなぞるようにいじっていた。
 さらに指を差し入れていく。
 しかしそれでは収まらなかった。
 女性器が受け入れるべきものを欲している。
 そんな感じだった。
 隣に眠る彼の姿が目に入る。
 この性欲に渇いた身体を癒してくれるのは彼しかいない。
「あ、あなた……」
 彼を揺すって起こしに掛かる。
「うん……。なんだ」
 眠たそうに目を開けた。
「お願いです。抱いてください」
 突然の誘いに驚く彼。
 自分自身ですら、そんな言葉が出るとは思わなかった。
「な、なにを言っているんだ」
「愛しているんです。これ以上、他人行儀なままはいやなんです」
「言っている意味が判っているのか」
「わたしをあなたの本当の妻にしてください」
 無意識に言葉となって口から発せられていた。
 いいながら、さらに彼に迫っていくわたし。
「本気なのかい?」
「はい。もう過去は捨てます。一生あなたについて行きます」
 そんなことを言われ迫られては、男なら誰だって落ちる。
「い、いいんだね」
「あなたしかいなんです」
 垣根の取り払われた彼からは、理性は完全に失われたと言っていいだろう。
 わたしの上に覆いかぶさってくる。
 ネグリジェを脱がされ乳房に触れられる。
 もはや遠慮はいらない。
 さらにブラジャーやショーツを脱がされて丸裸にされてしまった。
 彼もパジャマを脱いで被さってくる。
 わたしの両足を開いて割り入ってくる。
「ほんとうにいいんだね」
 最後の確認。
 こっくりと頷くと、ゆっくりと腰を沈めてきた。
 わたしの中に彼が入ってくる。
「あ、ああ。あなた……」
 自分が女性であることを改めて再認識させられた瞬間であった。
 彼のものが根元まですっぽりと食い込んでいた。
 完全に一体化する二つの身体。
「これであたし達、ほんとうの夫婦になったのね」
「ああ……」
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2018年8月30日 (木)

銀河戦記/鳴動編 第二十一章 タルシエン要塞攻防戦 IV

第二十一章 タルシエン要塞攻防戦

                 IV  敵艦隊旗艦艦橋。 「敵艦隊、ミサイルを発射しました」  フレージャー提督が即座に呼応する。 「迎撃ミサイル発射!」  一斉に放たれる迎撃ミサイル群。 「ミサイルの後方に高熱源体! 大型ミサイルです。それも駆逐艦並みの超大型!」  急速接近するミサイルの後方から大型ミサイルが向ってくる。 「迎撃しろ! 粒子ビーム砲!」  ミサイルでは迎撃できないと判断したフレージャーは、破壊力のある粒子ビーム砲 照射を命じた。超大型ならば当然の処置である。  艦隊から一斉に大型ミサイルに向って照射される粒子ビーム砲。  しかしビームはミサイルの前方で捻じ曲げられてかすりもしなかった。 「歪曲場シールドか!」 「まさか! 歪曲場シールドはまだ実験段階です」 「それを完成させているんだよ。敵は!」  次ぎの瞬間、ミサイルが消えた。 「ミサイルが消えました!」 「なんだと! どういうことだ?」  タルシエン要塞の中央コントロール室側でも驚きの声を上げていた。 「ミサイルが消えました!」 「なんだと!」  その途端、爆発音が轟き激しく揺れた。  立っていた者は、その衝撃で吹き飛ばされるように壁や計器類に衝突し、床に倒れ た。 「どうした。何が起きた?」  倒れていた床からゆっくりと立ち上がりながら尋ねる司令。  しかし、それに明確に答えられるものはいなかった。 「ただ今、調査中です!」 「要塞内で爆発!」 「レクレーション施設です!」 「火災発生! 消火班を急行させます」 「どういうことなのだ」 「おそらく先程消失したと思われたミサイルがワープして来たものと思われます」 「なに! こんな至近距離をワープできるのか」 「間違いありません。ミサイルは守備艦隊の目前でワープして、要塞内に再出現しま した」  二点間を瞬時に移動できるワープエンジンだが、一光年飛べる性能はあるものの、 視認できるほどの至近距離へのワープは不可能とされていた。  物体には慣性というものが働くことは誰でも知っている。動いているものは動き続 けようとするし、止まっているものは止まり続けようとする。前者は機関が静止しよ うとする時の制動距離となって現れるし、後者は静止摩擦という力となっている。  早い話が、ジャンボジェット機で滑走路の端から全速力で飛び立ち、すぐさま滑走 路のもう片端に着陸静止することは不可能ということである。おそらくオーバーラン してしまうだろう
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第二十一章 タルシエン要塞攻防戦

                 IV  敵艦隊旗艦艦橋。 「敵艦隊、ミサイルを発射しました」  フレージャー提督が即座に呼応する。 「迎撃ミサイル発射!」  一斉に放たれる迎撃ミサイル群。 「ミサイルの後方に高熱源体! 大型ミサイルです。それも駆逐艦並みの超大型!」  急速接近するミサイルの後方から大型ミサイルが向ってくる。 「迎撃しろ! 粒子ビーム砲!」  ミサイルでは迎撃できないと判断したフレージャーは、破壊力のある粒子ビーム砲 照射を命じた。超大型ならば当然の処置である。  艦隊から一斉に大型ミサイルに向って照射される粒子ビーム砲。  しかしビームはミサイルの前方で捻じ曲げられてかすりもしなかった。 「歪曲場シールドか!」 「まさか! 歪曲場シールドはまだ実験段階です」 「それを完成させているんだよ。敵は!」  次ぎの瞬間、ミサイルが消えた。 「ミサイルが消えました!」 「なんだと! どういうことだ?」  タルシエン要塞の中央コントロール室側でも驚きの声を上げていた。 「ミサイルが消えました!」 「なんだと!」  その途端、爆発音が轟き激しく揺れた。  立っていた者は、その衝撃で吹き飛ばされるように壁や計器類に衝突し、床に倒れ た。 「どうした。何が起きた?」  倒れていた床からゆっくりと立ち上がりながら尋ねる司令。  しかし、それに明確に答えられるものはいなかった。 「ただ今、調査中です!」 「要塞内で爆発!」 「レクレーション施設です!」 「火災発生! 消火班を急行させます」 「どういうことなのだ」 「おそらく先程消失したと思われたミサイルがワープして来たものと思われます」 「なに! こんな至近距離をワープできるのか」 「間違いありません。ミサイルは守備艦隊の目前でワープして、要塞内に再出現しま した」  二点間を瞬時に移動できるワープエンジンだが、一光年飛べる性能はあるものの、 視認できるほどの至近距離へのワープは不可能とされていた。  物体には慣性というものが働くことは誰でも知っている。動いているものは動き続 けようとするし、止まっているものは止まり続けようとする。前者は機関が静止しよ うとする時の制動距離となって現れるし、後者は静止摩擦という力となっている。  早い話が、ジャンボジェット機で滑走路の端から全速力で飛び立ち、すぐさま滑走 路のもう片端に着陸静止することは不可能ということである。おそらくオーバーラン してしまうだろう
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2018年8月29日 (水)

性転換倶楽部/ドラキュラ X (六)新しい生活

(六)新しい生活

 やがて同僚が戻ってくる。
 ノックしながら、
「入っていいかい?」
 と外から尋ねてくる。
 自分の部屋なのに、わたしに気遣っているのである。
「はい。いいですよ」
 ドアが開いて同僚が入ってくる。
「着替え終わったね」
 確認したように言う。
 そりゃまあ、女性なんだから……。
「ところで記憶は戻った?」
 と言われても正直には答えられない。
 首を横に振るしかないじゃないか。
「そ、そうか……」
 折りたたみ式の卓袱台と座布団を取り出してくる。
 向かい合って座る二人。
 もちろんわたしは正座である。
 あぐらなどできるわけがない。
 というよりも無意識に正座してしまった感じ。
「煙草吸ってもいいよね?」
 気を落ち着けるためにも、煙草を吸わないではいられないだろう。
「ええ、どうぞ」
 おもむろに灰皿と百円ライターを卓袱台に置いて、煙草に火を点ける。
 しばらく無言の状態が続いた。
 着替えを終え、化粧も施してすっかり女性になってしまったわたしに見惚れている
感じだった。
 悪い気はしない。
「ねえ、もし君さえ良ければずっとここにいてもいいよ。あ、もちろん記憶が戻るま
でだけど」
 行く宛てのないわたしには、そうしてもらうと助かる。
「ありがとうございます。いつ記憶が戻るか判りませんけど……お世話になります」
「うん。遠慮しなくていいからね」
 やさしい性格なのは知っている。
 下心からではなく真剣にわたしのことを思っているはずだ。
 しかし記憶喪失は嘘偽りである。
 このままずっと一緒に生活をしていくことになりそうである。
 なぜか楽しい気分になるわたしだった。

 その日から奇妙な同居生活がはじまった。
 同居させてもらっている以上、わたしは彼の身の回りの世話をすることにした。
 部屋の掃除、衣類の洗濯。
 そして彼のために食事をすることも。
 通常勤務の朝には、朝食を作ってから眠っている彼をやさしく起こしてあげる。
「あなた、朝ですよ」
 まるで新婚家庭の朝の日常に近いだろう。
「ああ……。おはよう」
 目を擦りながら起きた彼の着替えを、新妻よろしく手伝う。
 そして仲良く卓袱台を囲んで、一緒に朝食を食べるのであった。
 そんな仲睦まじい生活が続いている。
 非番の日には、二人で並んで外を歩いたり、二人が生活するのに必要な品物を一緒
に買い揃えたりした。
 まるで夫婦だった。
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家族の思い出

インターポット

強制退会前の家族オールインの記憶を残します。

退会処理を確認した後に、アップする予定でしたが……。

どうやら続けられそうなので、本日にご開帳です(*^^)v

                                                       
理恵子 長男・しっかり者
家族のまとめ役
長女・優しい娘
妹思いの世話役
次男・食いしん坊
いつも腹を空かせている
次女・甘えん坊
姉といつも一緒
妹ママ 長女・エリカちゃん?
という噂もチラホラ
次女・音楽好き
小学校先生希望
妹夫 おじいちゃん おばあちゃん
プレシオサウルス、織姫、彦星、他大勢
       
部屋1
部屋2

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2018年8月28日 (火)

銀河戦記/鳴動編 第二十一章 タルシエン要塞攻防戦 III

第二十一章 タルシエン要塞攻防戦

                III  その一時間前のサラマンダーでは、ウィンザー少佐が作戦始動を発した。 「大佐、時間になりました。艦隊を前進させてください」 「わかった。パティー、全艦微速前進だ」 「はい。全艦微速前進!」  ゆっくりと前進を開始する第十七艦隊。 「本隊の目的はわざと敵に位置を知らしめすことで、別働隊の動きを隠蔽することで す」  時折、時刻を確認しているパトリシア。  寸秒刻みでの綿密なる計画が動き出したのだ。一秒たりとも時間を間違えてはなら なかった。 「ミサイル巡洋艦を前に出しましょう。ミサイルによる遠距離攻撃を行います。位置 に着いたら全艦発射準備」 「了解」  オペレーターが指令を伝達すると、ゆっくりとミサイル巡航艦が前面に移動を始め た。  艦隊の再配置が完了した頃、敵艦隊が動き出したとの報が入った。  正面スクリーンに投影された要塞を背景にして、敵第十七機動部隊が向かってくる。 「誘いの隙に乗ってきました」  フランソワが嬉しそうに言った。 「輸送艦ノースカロライナとサザンクロスに伝達。ハッチを解放し、係留を解いて積 み荷を降ろしてください」  サラマンダーの両翼に並走していた二隻の輸送艦からゆっくりと積み荷が降ろされ ていく。それは駆逐艦なみの大きさをもつ次元誘導ミサイルだった。チェスター大佐 が大事に護衛してきた代物。  アレックスが少佐となり、独立遊撃部隊の司令官に任命された時、フリードに開発 生産を依頼していた、本作戦の成功の鍵を握る秘密兵器。  極超短距離ワープミサイルだった。  戦艦三十隻分ものテクノロジーの詰まった、一飛び一光年を飛ぶことのできる戦艦 で、ほんの数メートル先にワープするという芸当のできる究極のミサイルだ。 「別働隊から連絡はありませんか?」 「ありません」 「そう……では、作戦は予定通り進行しているということ」  作戦指揮を任されているパトリシア少佐が進言した。 「大佐。次元誘導ミサイル一号機、発射準備です。反物質転換炉や核融合炉などの重 要施設は攻撃目標からはずします」 「わかった。ノースカロライナに伝達。次元誘導ミサイル一号機、発射準備」 「次元誘導ミサイル一号機、目標は要塞上部、レクレーション施設」  艦橋正面のパネルスクリーンに、ノースカロライナの下部ハッチから懸架された、 次元誘導ミサイルが大写しされ、表示された各種のデータが目まぐるしく変化してい る。戦艦三十隻分のテクノロジーが満載された超大型次元誘導ミサイルだ。要塞攻略 の成否の鍵を握る貴重な一発である、発射ミスは許されない。  そして攻撃目標を正確に表示する要塞詳細図面は、連邦の軍事機密をハッカーして 得られたものである。要塞のシステムコンピューターは、完全独立してアクセス不能 ではあるが、要塞を造成した連邦軍事工場のコンピューターに残っていたというわけ である。 「次元誘導ミサイルの最終ロックを解きます」 「慣性誘導装置作動確認。燃料系統異常なし。極超短距離ワープドライブ航法装置へ データ入力」 「攻撃目標、ベクトル座標(α456・β32・γ167)、距離百十三万二千三百五キロ メートル」 「発射カウントダウンを六十秒にセット。三十秒前までは五秒ごとにカウント。その 後は一秒カウント」 「了解。カウントを六十秒にセットしました。三十秒前まで五秒カウント、その後は 一秒カウント」 「ミサイル巡航艦に伝達。次元誘導ミサイル発射十秒前に、全艦ミサイル一斉発射」 「ミサイル巡航艦、全艦発射体制に入りました」 「よし、カウントダウン開始」 「カウントダウン開始します。六十秒前」 「五十五秒前、五十秒前……」 「次元ミサイル、ロケットブースター燃料バルブ解放」 「三十秒前、二十九……二十」 「次元誘導ミサイル、燃料加圧ポンプ正常に作動中」 「十九、十八……十」 「巡航艦、全艦ミサイル発射」  先行するミサイル巡航艦隊から一斉発射されるミサイル群。 「次元誘導ミサイル、最終セーフティロック解除。発射準備完了」 「九・八・七・六・五・四・三・二・一」 「次元誘導ミサイル、発射!」  すさまじい勢いで後方に噴射ガスを吐き出しながら、ゆっくりと加速を始める次元 誘導ミサイル。 「ロケットブースター正常に燃焼・加速中」  加速を続けながら要塞に向って突き進んでいる。 「敵艦隊、さらに接近!」 「後退します。敵艦隊との間合いを保ってください」 「全艦、後退しろ!」  カインズの下令に応じて、ゆっくりと後退をはじめる艦隊。 「それにしても、弾頭は通常弾ですよね。核融合弾を搭載すれば一発で要塞を破壊で きるのに。せっかくの次元誘導ミサイルなのに……何かもったいない気がします」 「要塞を破壊するのが目的ではありませんから。破壊は許されていません」 「判ってはいますけどね」
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2018年8月27日 (月)

性転換倶楽部/ドラキュラ X (五)今後

(五)今後

 眠れぬ夜が明けた。
 いつまでも布団に潜っているわけにもいかない。
 裸のままではいられないので、同僚の箪笥から適当に衣服を探し出して着ることに
する。
 この女性の身体に男性用の衣服を着るのは、いささか抵抗があるが他には着るもの
はない。
 上手い具合にトレーニングウェアがあった。
 これなら女性が着ても大丈夫だろう。
 しかし変な気分だ。
 どうもしっくりこない。
 その原因は男性用の下着であった。
 女性として男性の衣服を着ることに違和感を覚えているのであった。
 いつの間にか女性的な心境になっている自分に驚いている。
 このまま時が経てば、身も心も女性に成りきってしまうのではないだろうか。
 そんな感じがした。

 同僚が戻ってきたのは、その日の午後六時だった。
 本来なら正午前には帰ってこれたはずだが、警察官失踪ということで一悶着があっ
たに違いない。
 やれ報告書だの、失踪した警察官の捜索だのと、てんてこまいだったのだろう。
「ああ、ちゃんといてくれたんだね。もしかしたらどこかへ行っちゃってるかもと心
配してたんだ」
 そりゃあ、着るものがあれば出ていったかも知れないけど……。
 それにどこへ行けばいいというのだ。
 今の自分にどこにも行く宛てはない。
「僕の服を着てたんだ」
「すみません」
「いいんだよ。ああ、これ……。君のために買ってきたんだ」
 と紙袋から取り出したのは……。
 ブラジャーやショーツなどの下着類。
 そしてスカートやらブラウス、そしてワンピース。
 靴や鞄、そして化粧品もあった。
 女性として必要な一揃いのものがあった。

 なんだ。
 帰りが遅かったのはこれを買い揃えていたのか。
 男性が女性用の品々を買うには相当の勇気がいったことであろう。
 買い物客の女性達から奇異な眼差しを受けながら、ブラジャーを手に取りレジに向
かう。
 冷や汗をたらたら流しながら買い物を続ける男が一人。
 そんな情景を思い浮かべて、つい噴出しそうになるわたし。
 わたしのためにこんなにしてくれるなんて……。
 心が動かされた。

「ありがとうございます」
 素直にお礼を述べる。
「い、いや。そのままじゃあ、外にも出られないからね。サイズを聞いてなかったか
ら、ぴったりというわけにはいかないだろうけど、標準的なサイズだから大丈夫だと
思う」
 ご好意に甘えて、さっそくそれらの衣服に着替えることにする。
 違和感のある男性用を着ているわけにはいかない。
「ちょっと煙草でも買ってくるよ」
 と、気を利かせて外へ出て行く同僚。
 女性が着替えをするのに、一緒にはいられないからだろう。
 トレーニングウェアやパンツなどを脱いでいく。
 男性用衣料を脱ぎ去ってほっとするのは、すでにすっかり女性心理になっている証
拠であろう。
 ショーツを手に取る。
 ゆっくり片足ずつ足を通してそれを履く。
 女性であるその部分を覆い隠し、吸い付くようにぴったりとおさまった。
 なんか安堵する自分だった。
 やはりこっちの方がしっくりとした感じがあって気持ちが良かった。
 なぜそう感じるかが不思議であったが……。
 さらにブラジャーを身に着けることにする。
 豊かな乳房をやさしく包む、女性だけが必要とするもの。
 ストラップに腕を通して、カップに乳房を納め、背中のホックを止める。
 これもぴったり合っていた。
 きれいにカップの中に納まり、きれいな胸の谷間を形作っていた。
「まんざらでもないわね」
 実に不思議だった。
 女性衣料を身に着けたせいだろうか、すっかり女の子気分になっていた。
 迷うことなくブラウスを着込み、スカートを履いた。
 ワンピースもあったが、自分の趣味に合っていなかったから、着る気分にはなれな
かったのだ。
 化粧に取り掛かることにする。
 ふんふんふん。
 鼻歌交じりで楽しそうに化粧をするわたし。
 しかも化粧などしたことないはずなのに、手際よく化粧をしている自分に驚いた。
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2018年8月26日 (日)

銀河戦記/鳴動編 第二十一章 タルシエン要塞攻防戦 II

第二十一章 タルシエン要塞攻防戦

                 II  艦橋。  モニターに、アレックス達の乗るミサイルが重爆撃機に取り付けられていく様子が 映し出されている。 「まるで人間魚雷ですね」  副指揮官のリーナ・ロングフェル大尉が感想を述べた。 「まあね、元々は次元誘導ミサイルの筐体だから。総括的な作戦立案は、ウィンザー 少佐でしょうけど、この人間魚雷だけは提督のアイデアということ」 「そうですね。だからこそ提督自ら乗り組んでいるのでしょう。そうでなきゃ誰も志 願などしないでしょう」 「成功すれば特進が約束されているとはいえ……」 「噂では、提督はこの日のために士官学校時代から、ウィンザー少佐と作戦を練られ ていたとか」 「まあね……」  士官学校よりの信頼関係にあるジェシカとて、およその概要の説明を受けていたと はいえ、いつどこで作戦が発動されるかといった詳細はアレックス以外にはパトリシ アとレイチェルしか知らない。  ハード面においては、フリード・ケースンを開発中心として、次元誘導ミサイルの 開発生産、特殊中空ミサイルの製作と綿密周到な射撃訓練。ソフト面では、レイチェ ル・ウィングを連絡係りとして、ジュビロ・カービンとレイティ・コズミックらによ ってコンピューターシステムの乗っ取りが計画された。 「すべては、今日のために仕組まれていたとはいえ……」  それぞれは単独では何ら意味をなさないが、こうして組み合わされてはじめて、そ の意味の真相が明らかとなる。アレックスがパトリシア以外に詳細を明かさなかった のも、作戦立案から発動までに至る間、外部に情報が漏れるのを危惧したせいである。 「ま、夫婦士官で秘密もないだろうからな」 「少佐、時間です」 「ふむ」  艦内放送のマイクを取るジェシカ。 「諸君良く聞け。作戦は、ハリソン少佐率いるセラフィムからの第一次攻撃隊、続い てカーグ少佐率いるセイレーンからの第二次攻撃を敢行する。第一攻撃隊は、要塞手 前 0.8宇宙キロの地点にワープアウトすると同時に、艦載機は全機発進。総攻撃を敢 行する。目標は要塞砲台、ミサイル弾薬を間断なく発射し、一撃離脱でそのまま駆け 抜けて戦線を離脱する。一分一秒足りとも要塞宙域に留まることのないように。  続いて第二次攻撃隊は、提督の乗り込む重爆撃機の護衛しつつ、合図を待て!  敵守備隊は、我等が本隊を迎撃すべく要塞から離れつつある。その間隙をついて攻 撃するのだ」  作戦の概要が確認される。 「全艦発進!」
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2018年8月25日 (土)

妖奇退魔夜行/蘇我入鹿の怨霊 其の陸

陰陽退魔士・逢坂蘭子/蘇我入鹿の怨霊 其の陸(土曜劇場)

(陸)葬式  阿倍野女子高では、自校の生徒が被害にあったことを受けて、父兄を加えた全校集会が 講堂で行われた。  警察からの捜査状況を受けて、父兄や生徒達への注意伝達事項が、壇上の校長から発表 された。  殺人犯が明らかになるまでの間、放課後の即時帰宅とクラブ活動の自粛など。 「うそー!」 「なんでやねん!」  などという女子高生達のブーイングが広がる。 「犯人が見つかっていないんだからしょうがないじゃん」  極力保護者が送り迎えするようにとの要望も加えられた。 「いっそ、休校にしてほしいわね」 「賛成!」  その中にあって、一年三組の生徒達の面持ちは暗かった。  さもありなん、被害者の中にクラスメートの金城聡子が含まれていたからである。しか も犠牲者第一号であった。  数日後。  金城聡子の自宅にて厳かに通夜と告別式が執り行われた。 「ご愁傷さまでした」  お決まりの挨拶が交わされ、淡々と式は進行してゆく。  蘭子達も、高校の制服姿で参列している。  冠婚葬祭いずれにも着用できる、万能な高校制服は便利なものだ。  蘭子にも焼香の順番が回ってくる。  陰陽師という職業柄、何度も死体と出くわし、経験を積み重ねているので、感慨無量と いう観念からは解脱している。  たとえそれが同級生であってもである。  遺体の胸元辺りには、守り刀と呼ばれる模造刀が、足元に刃先を向けるようにして置か れている。  模造刀なのは銃刀法からである。  一般的に仏教では人は死後、四十九日かけてあの世へと到達し、成仏(仏に成る)する とされている。  そして死後から仏に成るまでの存在を「霊」と位置付け、中途半端で迷いの存在と位置 付けられている。  元々仏教には遺体をケガレた(汚れ・気枯れ)存在とする風潮はなかったが、遺体をケ ガレたものとして忌み嫌う神道の影響を受け、中途半端で迷いの存在である霊の期間を、 ケガレた存在と見るようになった。  その為死者のケガレが生者に害を及ぼさないように、或いは死者のケガレが更なる外的 なケガレ(悪鬼・邪気)を呼ばないようする為の手段として、「守刀」が置かれるように なった。  その他にも  ・邪気を払う (特に猫は遺体をまたぐと化け猫になると信じられていた為、光り物を置いて、動物が近 づくのを防いだ。)  というのもある。  ・鉄により死者の肉体に魂を沈める (死者のケガレた魂が生者に乗り移ったり、祟を防ぐ為)  蘭子は思う。  自分自身が死亡し、葬儀の対象となった時は、あの御守懐剣「長曽弥虎徹」を守り刀と されることを祈ろう。  なお浄土真宗においては、人は死後に阿弥陀様のお力により、即座に成仏すると言われ ている(即身成仏)。  その為、あの世までの道中のお守りとしての守刀や、上記のような土着信仰から来るケ ガレがケガレを呼ぶ風習の一切を否定しており、守刀は不要である。  同じ理由で死装束(旅支度)や野膳(道中のご飯)、また会葬者が塩を使って身を清め るなどの行為も不要。
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2018年8月10日 (金)

家族の思い出

インターポット

強制退会前の家族オールインの記憶を残します。

2018年8月 9日 (木)

銀河戦記/鳴動編 第二十章 タルシエン要塞へ III

第二十章 タルシエン要塞へ

                 III  サラマンダー、作戦会議室。  アレックス、ゴードン、パトリシアにジェシカ、そしてレイチェルが集まっている。  タルシエン要塞攻略について最後の詰めを行っているのであった。 「どうだ、例の物の仕上がり具合は、ジェシカ」 「はい。ダミー実験を繰り返して安全性に万全を期するように念入りな微調整が行わ れています」 「うん。乗員の訓練のほうはどうだ。ジェシカ」 「工作員は問題ないとして、一応操艦手としてはジミーとハリソンのうちのどちらか、 射手をジュリーにやらせております」 「射手をジュリーにまかせるのか?」 「射撃の腕はジミーにもひけを取らないですよ彼女は」 「そうか、君がそういうなら」 「ところで提督自らが要塞に侵入されるそうですが、お考えを改めなさいません か?」  ジェシカがパトリシアの方を見つめながら尋ねる。 「私が行かないでどうする」 「生きて帰ってこれないかも知れないんですよ」 「だからこそ私が行かなければならないのだ」 「そうおっしゃってカラカス基地にも突入されましたね」 「どんな状況変化が起きるかもしれない作戦において、迅速かつ正確に事態収拾する ためには、作戦のすべてを知り尽くした私の他に誰が行くというのだ」  パトリシアは俯いている。アレックスの意思が固く、いかにパトリシアでもそれに 異論を唱える立場にないからである。 「判りました。提督がそこまでおっしゃるなら、もはや私達の差し出口を挟む余地は ありませんね」 「うん。いつも済まないと思っているが……」  と、レイチェルの方を見つめながら、 「特に今回は、部外者である天才技術者を一人連れて行く。彼との信頼関係をなくし たくないのだ」 「天才システムエンジニアですよね?」  皆の手前そういうことにしているが、事実はネット犯罪という裏舞台で暗躍する 「闇の帝王」、ジュビロ・カービンその人である。間違っても天才ハッカーなどとは 明かすことはできない。  フリード・ケースンという人物が身近にいるから、他にも天才と呼ばれる者がいて も不思議ではないと思う一同だった。  その本人は、作戦開始までは特別室でくつろいで貰っている。仲間内ではない艦隊 の乗員とは距離を置きたいだろうとの配慮である。  五人委員会にて最後の確認事項が取り交わされた後に、改めて少佐たちを加えた作 戦会議が招集された。 「別働隊として投入する部隊は、第六突撃強襲艦部隊及び第十一攻撃空母部隊。この 私が率いていく」  第六突撃強襲艦部隊はその名の通りに、かつての士官学校時代の模擬戦でも活躍し た強襲艦を主体とした白兵戦部隊である。攻撃よりも防御力と速力に主眼において、 目的の場所に速やかに到達して任務を遂行する。 「それぞれの指揮は、ゴードンとジェシカに任せる」 「了解した」 「判ったわ」 「今回の作戦は、本隊が要塞への攻撃を敢行注意を引きつつ、別働隊の要塞への接近 を容易にすることにある。しかも寸秒刻みの正確さで速やかに作戦を遂行しなければ ならない。そのために別働隊を率いる私に代わって、作戦の詳細を熟知しているパト リシアを総参謀長とし、艦隊の指揮をカインズ大佐に任せる」  ため息をつく一同だった。  パトリシアが解説に立ち上がった。 「タルシエン要塞は、このシャイニング基地に相当する堅固な敵最前線基地です。全 艦挙げての総攻撃とし、シャイニング基地の守備は、基地の自動防衛システムに委ね ます。基地を空にすることになりますが、先の基地攻防戦のことから、敵も容易には 手出しはできないと思われます。タルシエン要塞はバーナード星系連邦と共和国同盟 を繋ぐ橋を守る橋頭堡です。第十七艦隊が攻略に向かったという情報は、すでに向こ うにも流れていると思います。それを知らされれば敵側も要塞の死守に専念するより なく、シャイニング基地攻略の余裕はないでしょう」 「出撃は四十八時間後だ。将兵達には交代で休息を取らせておくように。以上だ、解 散する」

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記憶4

2018年8月 8日 (水)

性転換倶楽部/女性変身!ボディースーツ!!part.2

 女性変身! ボディースーツ!!

part.2 「この乳房は、我が社開発の特殊人工乳房jk-273号を使用しています」 「273号?」  それは乳癌治療のために開発された。  乳癌となれば、転移をも考えて乳腺の全摘出するのが最善であるが、当然として乳 房を失う結果となる。  最近の乳癌治療といえば、乳房の形状を残して一部の癌組織だけを摘出して、抗が ん剤や放射線線治療などを行う温存療法が主流となってきているが、乳腺を残す限り 再出現の可能性は高い。  やはり転移や再出現を考えれば、全摘出が一番である。そこで乳房再構築手術用の プロテーゼとして開発されたのが我が社の特殊人工乳房である。  乳房再建には、大別してプロテーゼ挿入法(生理食塩バック・シリコンバック)と 脂肪注入法とがあるが、あくまで見た目を再建するだけのものである。プロテーゼは 簡易に望むだけの大きさの乳房を形成できるが、時間経過により硬くなってしまうと いう欠点があり、毎日適度に揉み解す必要がある。これは皮膜拘縮と呼ばれていて、 アコヤ貝における人工真珠の製造でもおなじみであるが、生物の拒絶反応の一種とし て、異物に対してそれを覆うようにして皮膜が発生して硬くなってくる現象である。 また脂肪注入法は拒絶反応などはないが、ただの脂肪であるだけに、本来の弾力性 (つまりポヨヨーンと弾んだりする特性)が足りないとか、その形状をなかなか維持 できないという欠点がある。  しかし我が社の人工乳房は、人工皮膚で培った特殊人工蛋白質による乳腺組織を持 った、より本物に近い乳房を作り出すことができる。それも時間の経過と共に自身の 細胞が浸潤繁殖して、やがて本物の乳房となり、妊娠後には授乳さえも可能となる、 夢の人工乳房である。その最新型が「特殊人工乳房開発ナンバー、jk-273号」 である。乳癌全摘出手術と同時に行われる再建手術用のアイテムである。最新素材で あるがゆえに百万円以上はかかる品物だが、乳癌治療としての保険適用の申請をして いるので、それが認められれば誰にでも実施できるようになるだろう。もちろん全額 自費出資すれば、美容外科としての豊胸手術も可能である。 「おまえなあ……。この変身スーツはあくまでお遊びアイテムだろう。それに我が社 のトップシークレットでもある、jk-273号を使うとは……。何を考えておるの だ」 「はあ……」 「お遊びアイテムなら、ラテックスやシリコン素材で十分だろうが。価格のことは考 えたのか? 誰が、お遊びアイテムに数百万の金を出すか? こんな変身アイテムに つぎ込むくらいなら、いっそのこと自分自身に直接豊胸手術した方が良いに決まって いる。そんなことも判らないのか!」 「はあ……。ごもっともで」 「まったく……。研究家というやつは……どうしてこうも、まともな考え方しないん だ。とにかくだ! その変身スーツの商品化は却下だ。判ったな!」 「……判りました」  完全にうなだれてしまった研究員。 「ところで……。これはどうしましょうか?」  と変身スーツを指差す。  体よく言えば、頭の先から足先まで、完全に女性の裸身を模した着ぐるみであった のだが……。
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記憶3

2018年8月 7日 (火)

銀河戦記/鳴動編 第二十章 タルシエンへ II

第二十章 タルシエン要塞へ

                 II  サラマンダー、作戦会議室。  アレックス、ゴードン、パトリシアにジェシカ、そしてレイチェルが集まっている。  タルシエン要塞攻略について最後の詰めを行っているのであった。 「どうだ、例の物の仕上がり具合は、ジェシカ」 「はい。ダミー実験を繰り返して安全性に万全を期するように念入りな微調整が行わ れています」 「うん。乗員の訓練のほうはどうだ。ジェシカ」 「工作員は問題ないとして、一応操艦手としてはジミーとハリソンのうちのどちらか、 射手をジュリーにやらせております」 「射手をジュリーにまかせるのか?」 「射撃の腕はジミーにもひけを取らないですよ彼女は」 「そうか、君がそういうなら」 「ところで提督自らが要塞に侵入されるそうですが、お考えを改めなさいません か?」  ジェシカがパトリシアの方を見つめながら尋ねる。 「私が行かないでどうする」 「生きて帰ってこれないかも知れないんですよ」 「だからこそ私が行かなければならないのだ」 「そうおっしゃってカラカス基地にも突入されましたね」 「どんな状況変化が起きるかもしれない作戦において、迅速かつ正確に事態収拾する ためには、作戦のすべてを知り尽くした私の他に誰が行くというのだ」  パトリシアは俯いている。アレックスの意思が固く、いかにパトリシアでもそれに 異論を唱える立場にないからである。 「判りました。提督がそこまでおっしゃるなら、もはや私達の差し出口を挟む余地は ありませんね」 「うん。いつも済まないと思っているが……」  と、レイチェルの方を見つめながら、 「特に今回は、部外者である天才技術者を一人連れて行く。彼との信頼関係をなくし たくないのだ」 「天才システムエンジニアですよね?」  皆の手前そういうことにしているが、事実はネット犯罪という裏舞台で暗躍する 「闇の帝王」、ジュビロ・カービンその人である。間違っても天才ハッカーなどとは 明かすことはできない。  フリード・ケースンという人物が身近にいるから、他にも天才と呼ばれる者がいて も不思議ではないと思う一同だった。  その本人は、作戦開始までは特別室でくつろいで貰っている。仲間内ではない艦隊 の乗員とは距離を置きたいだろうとの配慮である。  五人委員会にて最後の確認事項が取り交わされた後に、改めて少佐たちを加えた作 戦会議が招集された。 「別働隊として投入する部隊は、第六突撃強襲艦部隊及び第十一攻撃空母部隊。この 私が率いていく」  第六突撃強襲艦部隊はその名の通りに、かつての士官学校時代の模擬戦でも活躍し た強襲艦を主体とした白兵戦部隊である。攻撃よりも防御力と速力に主眼において、 目的の場所に速やかに到達して任務を遂行する。 「それぞれの指揮は、ゴードンとジェシカに任せる」 「了解した」 「判ったわ」 「今回の作戦は、本隊が要塞への攻撃を敢行注意を引きつつ、別働隊の要塞への接近 を容易にすることにある。しかも寸秒刻みの正確さで速やかに作戦を遂行しなければ ならない。そのために別働隊を率いる私に代わって、作戦の詳細を熟知しているパト リシアを総参謀長とし、艦隊の指揮をカインズ大佐に任せる」  ため息をつく一同だった。  パトリシアが解説に立ち上がった。 「タルシエン要塞は、このシャイニング基地に相当する堅固な敵最前線基地です。全 艦挙げての総攻撃とし、シャイニング基地の守備は、基地の自動防衛システムに委ね ます。基地を空にすることになりますが、先の基地攻防戦のことから、敵も容易には 手出しはできないと思われます。タルシエン要塞はバーナード星系連邦と共和国同盟 を繋ぐ橋を守る橋頭堡です。第十七艦隊が攻略に向かったという情報は、すでに向こ うにも流れていると思います。それを知らされれば敵側も要塞の死守に専念するより なく、シャイニング基地攻略の余裕はないでしょう」 「出撃は四十八時間後だ。将兵達には交代で休息を取らせておくように。以上だ、解 散する」
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2018年8月 6日 (月)

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2018年8月 5日 (日)

銀河戦記/鳴動編 第二十章 タルシエンへ I

第二十章 タルシエン要塞へ

                 I  トランター本星軌道上に待機するサラマンダー。  接近する上級士官用シャトルがあった。 「数日しか離れていないというのに、久しぶりって感じだな」  感慨深げな言葉を漏らすアレックス。  軍法会議への出頭には、護送駆逐艦が使われた。一時的な身分の凍結が行われて、 サラマンダーには乗れなかったからである。 「みんなも寂しがっていましたよ」  アレックスが本星に行っている間の、サラマンダーの指揮を委ねられていたフラン ソワが言った。本星でのもろもろの用事を済ませたアレックスが、サラマンダーに戻 るとの報を受けて出迎えに来ていたのである。 「一番寂しかったのは君じゃないのか?」 「もう……提督ったら」  赤くなるフランソワ。  もちろんそれは、パトリシアのことを言っていた。  サラマンダーのシャトル進入口が開いて、静かに帰還するシャトル。 「提督。ご帰還おめでとうございます」  整備員や甲板員などがシャトルの周りに集まってきた。 「一時はどうなることかと思いましたよ」 「これからもよろしくお願いします」 「提督の行かれる所なら、どこへなりともお供いたしますよ」  と、口々にアレックスの帰還を祝福した。 「ありがとうみんな。こちらこそ世話になる」  艦橋へ直通の昇降エレベーターに乗る二人。 「タルシエン要塞攻略を命じられたこと、艦橋のみんなに伝わっています」 「どうせジェシカが喋ったのだろう」 「ええ、まあ……」  手続きで帰還が遅れるアレックスより、一足先にシャイニング基地に戻り、サラマ ンダーを訪れてパトリシアに報告、ついでに艦橋のみんなにも披露したというところ か。  サラマンダー艦橋にアレックスが入室してくる。  すかさず敬礼をほどこしてから、その手を拍手に変えて無事な帰還を祝うオペレー ター達。 「お帰りなさいませ」 「おめでとうございます」 「みんなには心配をかけたな。軍法会議は何とかお咎めなしで解放された。君達のこ とも無罪放免だ。もっとも条件付だがな」  そういうとオペレーター達が笑顔で答える。 「伺ってます。タルシエン要塞攻略を命じられたとか。でもご安心ください。私達ち っとも不服じゃないですから。提督とご一緒ならどこへなりともお供いたします」 「そうか……そう言ってくれるとありがたい。それから……リンダ」 「は、はい!」  元気良く返事をするリンダ。 「君には特に世話になったようだ。感謝する」 「いいえ。どういたしまして。当然のことをしたまでですよ」 「うん。今後とも、その調子で頼む」 「はい!」  ゆっくりと指揮官席に腰を降ろすアレックス。 「やはり、ここが一番落ち着くな」  シャイニング基地やカラカス基地の司令官オフィスではなく、サラマンダー艦橋の 指揮官席。独立遊撃艦隊の創設当時から、指揮を執り続けたこの場所が一番。自分を 信じて付き従ってくれるオペレーター達がいる。目の前のスクリーンには周囲を取り 巻く配下の艦艇群が、自分の指揮命令を待って静かに待機している。  自分を取り巻いている運命に身を委ね、自由な気運に育まれた環境にある。 「ところで監察官はどうなった?」 「本星に連れて行かれたようです」 「そうか……」 「どうせ、ニールセンの奴が手を回して無罪放免されるかも知れませんけどね」 「それとも始末されるかだ」 「ありえますね」
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2018年8月 4日 (土)

妖奇退魔夜行/蘇我入鹿の怨霊 其の弐

8月20日で強制退会になりますが、期限まで投稿続けようと思います。
短い間ですが、お付き合いのほどを……。

妖奇退魔夜行/蘇我入鹿の怨霊 其の弐

(弐)京都文化会館にて  JRと近鉄の「京都駅」から地下鉄で「烏丸御池駅」下車【5】番出口から三条通り を東へ3分。  京都文化博物館の建物の壁には「刀剣乱舞DAY」開催中!という垂れ幕が下がり、玄 関入り口には立看板が立っている。  京都文化博物館は、2・3階総合展示場で一般500円、大学生400円、高校生以 下は無料となっている。  ちなみに、2017年2月25日~4月16日「刀剣乱舞DAY」の目玉である【短刀 銘 吉光 (号 五虎退)】の描き下ろしイラスト公開は年3月1日~5日まで、先着500名にクリア ファイルの配布があった。  現在、2017年10月3日~12月3日まで、4・3階展示室にてウッドワン美術館コレクシ ョンが開催されている入場料は、一般1300円、大高生900円、中小学生400円。  会場入り口付近には刀剣ファンである女子達が、開館時間前から数多く並んでいる。  やがて時間となり、お目当ての刀剣目指して足早に急ぐ。  そんな大勢の観客に混じって、金城聡子の姿もあった。  国宝や重要文化財に指定された貴重な刀剣を、ショーケース越しに眺めながら、熱心 にメモを取っている。  博物館内では、文化財保護のために、展示品やケースに触れないことの他、  ・写真撮影  ・鉛筆以外の筆記用具の使用  ・飲食・喫煙  ・携帯電話の使用  ・ペットを連れての入館  など、禁止されている項目がある。  これらの禁則は、重要文化財を展示している全国各地の博物館などで行われているの で注意が必要である。 「きみ……。刀剣に興味があるのかい?」  と、声を掛けてきた者がいた。  声をした方を振り向くと、優しそうに微笑む若者がいた。 「実は、僕も刀剣それも古代に伝わる伝説級とか妖剣とかいう類のものが興味があるん です」  刀剣の事に関しては、わざわざ大阪から京都にまで鑑賞するために来館した聡子であ る。  館内を廻りながら、それぞれの刀剣についての薀蓄(うんちく)を語る若者。  聡子は、この博学な若者とはすぐに打ち解けてしまった。 「それにしても、いにしえの刀剣って皆京都や奈良に集中していて残念です」 「何をおっしゃいますか。京都だけでなく、あなたのお住まいの大阪にも国宝の刀剣が あるじゃないですか」 「大阪に?」 「四天王寺に【七星剣】と【丙子椒林剣】という国宝剣がありますよ」 「知っています。でも、東京国立博物館に寄託されていて、模造品が飾られていますけ どね」 「ご存知でしたか」 「宝物展とかで重要文化財の仏像とか書物とかは頻繁に名宝展とか開催するけど、七星 剣とかは模造品だからか展示しないのよね」  やがて京都博物館を出た二人は、揃って京都観光を楽しむこととなった。  名所旧跡を巡りながら、会話も弾む二人が急速に懇意になるのは必然だった。

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2018年8月 2日 (木)

銀河戦記/鳴動編 第十九章・シャイニング基地攻防戦 XIV

第十九章 シャイニング基地攻防戦

                 XIV  カインズの次にレイチェルを司令室に呼び寄せたアレックス 「君の配下にすることにした第八占領機甲部隊メビウスのことなのだが、極秘の任務 を与えようと思っている」 「極秘任務ですか?」 「何度も言うようにトランターはいずれ陥落する。その後のためのレジスタンス活動 が任務だ」 「レジスタンスですか? メビウスは当地に残るとして、他の艦隊はいかがなされる のですか」 「もちろん、タルシエン要塞を本拠とする解放軍を組織して、徹底交戦を続けるつも りだ。たとえ連邦に対して敗北し占領されようとも、いずれ反旗を掲げ立ち上がる将 兵や民衆が出て来る。そういった人々を解放軍に吸収しつつ、機が熟するのを待って 持てる全軍を持って反攻作戦にでる」 「そのためにもトランターに残って内部攪乱を引き起こし、占領軍の情報を逸早くと らえて解放軍に伝える。それがメビウスに与えられた任務というわけですか」 「その通り。とりあえずはモビールアーマー隊の強化訓練という名目でトランターに 残り、陥落後のレジスタンス部隊の主力として働いてもらいたい。どうだやってくれ るか」 「一つお伺いしてよろしいですか?」 「どうぞ」 「提督は、あたしをメビウスの司令官に任命し、極秘任務をお与えになる、その真意 をお伺いしたいですわ」 「レジスタンス活動を継続するとなると、補給物資の調達と運搬をはじめとして、隊 員の士気を維持し指導する能力と人望、すべてに困難が伴うのは必定である状況の中 で、それらをすべてクリアーできるのは君しかいない。主計科主任として数々の隊員 達の要望をそつなく処理、その信頼と人気は艦隊随一のものだ。私が信用し全権を委 ねられる人物は他にはいない」 「そこまで信頼されているとなると、お引き受けするしかありませんね」 「そういってくれるとありがたい。早速トランターへ向かってくれないか」 「直ちにですか? タルシエン要塞攻略はいかがなされるおつもりですか」 「いや。タルシエン要塞は、メビウスなしで攻略する」 「例の作戦が発動する時がついにきたというところですか。ジュビロとは?」 「軍法会議のその日に、早速向こうからアクセスがあったよ。作戦発動は伝えておい た」 「どう言ってましたか?」 「わかった。と一言だった」 「あの人らしいわね」 「それともう一つ、トランター本星アスタバ造船所において、新造の機動戦艦が完成 した」 「機動戦艦ですか?」 「水中潜航能力をも備えた究極の対空防衛用戦艦だ。モビールアーマー八機と専用の カタパルト二基を装備、艦載機は三十六機搭載可能だ。主砲には原子レーザー砲の改 良型を装備。最新のCIWS(近接防御武器システム)を搭載し、大気圏戦闘に特化 した究極の戦闘艦だ。開発設計者はフリード・ケイスンだ。推して測ることもないだ ろう」 「そうですね。艦名は?」 「ミネルバだ。いい名前だろう」 「ローマ神話に登場する女神ですね」  ※ギリシャのアテナと同一視される最高の女神。知恵と諸学芸をつかさどる女神で   あるが、戦略の女神でもありしばしな英雄たちに戦術を指示した。さらに機織り   の神でもあり、アテナイ市の守護神で、そこのパルテノン神殿は彼女の聖域とし   て知られる。長いキトーンを着て、頭には兜をかぶり、胸にはメデューサの頭を   飾りとしてつけたアイギスを着ている。手には槍、および勝利の女神ニーケをか   かえている姿が多い。知恵を表すふくろうが聖鳥である。 「まあな。至急アスタバへ赴いてこれを受領したまえ」 「乗組員の手配は?」 「現在、士官学校教習生がミネルバに搭乗して実習訓練を開始しているはずだ。X デーと同時に彼らを繰り上げ卒業というかたちで自動的に実戦配備させることになる。 教習生と熟練者が半々というところかな」 「それって……」 「本来首都星トランターは第一艦隊の守備範囲だ。その内で第十七艦隊が行動を起こ すには、実戦訓練という名目でもない限り許されないことなのだからな」 「仕方ありませんねえ……それで教官はどなたが」 「去年スベリニアン校舎を勇退なされたセキセドル前校長だ。事情を説明して特別に お願いしたところ快く引き受けてくだされた」 「セキセドル教官なら心強いですわね。なにせ士官学校時代の提督を退学させずに辛 抱なされて、模擬戦闘の指揮官に徴用するという先見の明をそなえていらっしゃった お方ですからね。安心して任せられますわ」 「艦長には、フランソワ・クレール大尉を任官させるつもりだ」 「フランソワですか……」 「性格的には問題が多いかもしれないが、作戦指揮能力は人並み以上のものを備えて いるし、彼女にとっては佐官昇進試験も兼ねているのだ」 「どちらにしても当分は眠れない夜が続きそうですね」 「なにはともあれ、Xデー以降のメビウスの全権は、すべて君の判断に委ねる」 「すべてですか?」 「そう、すべてだ」 「わかりました」 第十九章 了

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