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2018年9月22日 (土)

妖奇退魔夜行/蘇我入鹿の怨霊 其の拾

陰陽退魔士・逢坂蘭子/蘇我入鹿の怨霊 其の拾(土曜劇場)

(拾)四天王寺  土御門神社を訪れる意外な人物があった。  摂津陰陽師の総帥である土御門春代を頼ってのことだった。  蘭子とも顔なじみの四天王寺の住職であった。  四天王寺は、蘭子の幼少期の遊び場であり、悪戯したりして住職からちょくちょく叱 られていたものだった。 「蘭子ちゃん、大きくなったねえ」  と、頭をなでなでされそうになるが、丁重にお断りした。 「で、四天王寺の住職が何用かな」  春代が要件を切り出す。 「実は、四天王寺の七星剣が盗まれたのです」 「七星剣?」 「そうです」 「それって、東京国立博物館に寄託されているのでは?」 「表の七星剣は……です」 「表……?では、裏があったということですか?それが盗まれたと」 「その通りです。家や車の鍵は必ず二個作成されますよね。それと同じで、祭祀を執り 行うに不可欠な神器も、万が一の紛失や破損に備えて予備を作ったとしても不思議では ないでしょう」 「なるほど……」  ここでちょっと四天王寺についておさらいをしておこう。  仏教では、六道(地獄界・餓鬼界・畜生界・修羅界・人間界・天上界)という世界観 があり、地獄界から人間界を欲望渦巻く欲界という。  その上位である天上界にも(竹自在天・化楽天・兜率天・夜魔天・とう利天・四大王 衆天)という六欲天がある。織田信長が自称したといわれる「六欲天の魔王」、その六 欲天である。  とう利天、須弥山頂上に住む帝釈天に使え、八部鬼衆(天龍八部衆とは違う)を所属 支配し、その中腹で伴に仏法を守護するのが四天王(持国天・増長天・広目天・多聞 天)である。   *とう利天のとう(Unicode U+5FC9)は、りっしんべん+刀と書く。  『日本書紀』によれば仏教をめぐっておこされた蘇我馬子と物部守屋との戦いに参戦 した聖徳太子は、四天王に祈願して勝利を得たことに感謝して摂津国玉造(大阪市天王 寺区)に四天王寺(四天王大護国寺)を建立したとされる。(後、荒陵の現在地に移 転。)  四天王寺は度々の戦乱・災害で焼失しその度に再建されている。織田信長の石山本願 寺合戦、大阪冬の陣、直近では大阪大空襲。落雷や台風などの被害も多かった。  四天王寺の東側にある宝物館。  ここには一般公開されていない、住職だけが知っている秘密の地下宝物庫があった。  住職に案内されて、その扉の前に立つ土御門春代と蘭子。  その扉が呪法の結界によって封印されていることが、二人には一目で分かる。  一般人には、そこに扉があることなど分からないように、巧妙に隠されている。 「秘密の宝物庫です」 「なるほど」  住職が封印解除を行い、その重い扉を開く。 「この扉の封印が何者かによって解かれていることに気づきました」 「陰陽師か、それとも妖魔の仕業?」 「それは分かりませんが……その日境内の防犯設備の電源が切られてしまったのです」 「防犯設備がですか?」 「はい。電源を操作した者と、宝物庫に侵入した者は別人かと思われます」 「複数の人間による盗難事件というわけですか?」 「そうでなければ、こうも簡単に宝物が奪われるわけがありません」  永年もの間閉ざされていた宝物庫の空気は、重苦しく淀んでいた。  薄暗い照明の中を進んで行くとガラスで隔たれた飾り台があり、紫色のビロードが敷 かれた上に太刀掛け台が置かれていた。 「ここに七星剣が飾られていました」  太刀掛け台には剥がされたと思しき呪符の切れ端が残っていた。
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