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2018年9月 2日 (日)

銀河戦記/鳴動編 第二十一章 タルシエン要塞攻防戦 V

第二十一章 タルシエン要塞攻防戦

                V  一方のサラマンダーの方でも驚いていた。 「歪曲場シールド?」  その技術は、戦艦百二十隻分のテクノロジーだった。  あのP-300VX特殊哨戒艇にも搭載されている究極のシステムだ。  アレックスが性能追加させたものだろうが、パトリシアは聞かされていなかった。  その時、スクリーンに映像音声が流れた。 『やあ! 驚いたかな?』  フリード・ケースンだった。 「記録映像です! 次元誘導ミサイルが発射されると、自動的に再生されるようにな っていたようです」  スクリーンのフリードが語る。 『虎の子の貴重な次元誘導ミサイルだからね。撃ち落されないように、歪曲場シール ドを追加搭載してある。提督の指示だ』  やっぱりね……。  パトリシアが頷く。  フリードは歪曲場シールドの開発設計者である。ミサイルに追加搭載することなど 造作もないことであろう。 『ただし、シールド領域を粒子ビームのエネルギー帯域のみに合わせてあるために、 レーザーキャノン砲やプラズマ砲には効果がないし、魚雷などの物理的破壊兵器には 対応していない。まあ、その分安上がりで、戦艦五十隻分で済んでいる』  フリードの解説が続いている。  おそらく性能諸元を秘密にしていたために、それを知らしめるために記録映像を残 していたのであろう。 『ゆえに、そこのところを良く理解して、二発目も間違いなく発射成功させてくれ』 『そうですよ。あ・れ・に乗っていく僕の身になってちゃんとやってくださいね。二 発目が大事なんですからね』  突然、横からレイティーが顔を出した。 『こら、邪魔だぞ』 『先輩、いいじゃないですか。僕にも言わせてくださいよ』 『俺がちゃんと説明するよ』 『自分はあそこに行かないからって、こっちの身にもなってください』 『あ、こら!』  突然、映像が消えて音声だけになった。  何やらどたばた騒ぎが聞こえてくる。  どうやらマイクの奪い合いをしているようだった。  苦笑するパトリシア。その成り行きを聞いているオペレーター達も笑っている。 『パトリシアさん。お願いですよ。ちゃんと成功させてくださいね』  というところで、音声も消えてしまった。 「記録映像終了しました」  唖然とした雰囲気が艦橋内に漂っていた。 「とにかく……。予定通りに、タルシエン要塞に降伏勧告を打診しましょう」  要塞内。  大型ミサイルによって破壊、炎上するレクレーション施設の消火が行われていた。 「早く、火を消すんだ!」  突然飛び込んできた大型ミサイルによる内部爆発と言う前代未聞の出来事に、要塞 内は混乱をきたしていた。  中央コントロールは騒然となっていた。 「第一宇宙国際通信波帯に受電!」  第一宇宙国際通信波帯は、降伏勧告や受諾をする時の、国際的に取り決められた通 信波帯である。 「敵隊より投降を呼び掛けてきております。さもなくば次元誘導ミサイルを持って要 塞内部から破壊するとのことです」 「次元誘導ミサイルだと? なんだそれは」 「只今、同盟軍兵器データを検索中です」 「敵は、次ぎなる目標として動力炉、メインコンピューター、通信統制室などを予告 しています」 「馬鹿な!」 「兵器データ出ました」 「スクリーンに出せ」 「スクリーンに出します」  スクリーンに次元誘導ミサイルの概要説明図が映しだされた。  同盟軍の兵器データを閲覧できること自体が不思議ではあるが、おそらくアレック スが敢えて敵軍に漏洩させたと考えるのが妥当であろう。 「ワープ射程は、最少一・二宇宙キロから最大三十六光秒の間」 「やはり先ほどのミサイルが、次元誘導ミサイルのようです。情報部よりの報告によ れば、次元誘導ミサイルの開発には膨大な予算がかかるため、試作機が数基製作され ただけで、棚上げになったままということになっています」 「うーん、どうかな……。相手はやり手のランドールのこと。誰もが欲しがる攻撃空 母を手放して、駆逐艦や巡洋艦主体の高速遊撃部隊を編成したり、戦艦百二十隻分の 予算がかかる高性能哨戒艇を多数配備したりしているからな。この日のために、戦艦 を削ってでも製作させていたとも考えられる」 「開発責任者の技術将校フリード・ケイスン少佐がランドールの第十七艦隊に技術主 任として配属されていることを考えますと有り得ない話しではありませんね」 「次元誘導ミサイルの性能からすれば、十基もあれば十分要塞の機能を破壊できま す」 「ワープして内部から破壊されては守備艦隊も堅固な要塞もまったく無意味というわ けか」 「反物質転換炉や貯蔵システムに一発食らったらひとたまりもありませんね。解き放 たれた反物質による対消滅エネルギーで木っ端微塵です。もっとも敵の目的が要塞の 奪取である以上、攻撃目標から外すのは当然でしょうが」  要塞には防衛の要として、陽子・反陽子対消滅エネルギー砲(通称・ダイバリオン 粒子砲)という究極の主力兵器が搭載されており、反物質転換炉と貯蔵システムはそ の一部構成施設である。反物質が反応しないようにレーザーによる光子圧力によって 宙に浮かした状態で密封保存されている。また緊急時には、レーザー出力を切ること によって、解放された反物質による要塞の自爆も可能である。 「敵が再度、投降を呼び掛けています」 「馬鹿が。投降などできるわけがないじゃないか。『タルシエンの橋』の出口を守る この要塞を奪われれば、同盟への足掛かりを失うばかりか、同盟に逆侵攻の機会を与 えることになる」 「投降するよりも要塞を破壊してしまったほうがいいということですね」 「そうだ」 「どうなされますか?」 「無論、投降などできるわけがない。守備艦隊を前進させろ! 敵艦隊と要塞の間に 壁を作って次元誘導ミサイルとやらを発射できないようにしつつ、撃滅するのだ」
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