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2018年11月 9日 (金)

性転換倶楽部/ある日突然に II page-11

女性化短編小説集「ある日突然に」より II

page-11  二年ほどの年月が過ぎた。  以前のアパート家賃、消費者ローンなど、借金のすべてを完済していた。  従業員寮を出て、アパート暮らしを始めていた。  表札には渡部由香里という名前が記されている。マネージャーが保証人になってく れて、由香里という名前を付けてくれた。「ひとみ」はあくまで店で使う源氏名だ。  女性としての生活にも慣れて、近所の人々はまさか男性とは気づくはずもなく、お だやかな日々が過ぎていく。  黒沢英二とのデートも回数を重ねていた。  普通の恋人達のように、普通のデートコースを選んでの日々が過ぎていく。  いつしか彼の事を「英二さん」と呼び、彼も「由香里」と呼び会う仲になっていた。  明らかに黒沢英二を好きになっていた。  自分でも信じられないが、純然たる事実だ。  それにしても、どうしてこんな事になってしまったのだろう。  去勢されて女性ホルモンを投与し続けたから?  いや。それだけで簡単に男性を好きになるはずがない。  もっと大きな要素があるのではないか。  マネージャーの話しから、店の主治医が言ったという、 「この子は、女として生きるのがもっともふさわしい」  という言葉が思い出された。  さらには英二の言葉もある。 「しかしピアノのお稽古とは……もしかしたらお母さん、君の性格を見抜いていたの かもな」 「小さい頃からピアノを習わせるくらい、おとなしくてやさしい性格じゃなかったの かな。やんちゃ坊主だったら、とても無理なことだからね」  高校時代にも女装されたりはしたが、ちっとも嫌がっていなかったような気がする。 却って女装を楽しんでいたように思う。  去勢された時も、結局流されるままに今日までに至っている。  何事にも従順で、物事を素直に受け止めてしまう女性的な性格。  本当の女性になりたいと思った。  人工的な造膣術を施しただけの、偽者ではない真の女性にである。  そうでなければ英二だって納得しないだろうと思う。 「目が覚めたら女の子になってたなんて、漫画とかでは良くあるんだけどな……」  そんなことありえないとは思いつつも、夢見る毎日であった。  そんなある日。 「ひろみさん。ちょっと来てください」  マネージャーに呼ばれて事務室を訪れると、見知らぬ恰幅の良い中年男性が立って いた。 「紹介するわ。こちらの男性は、とある製薬会社の社長さんで、医師の資格も持って らっしゃいます」 「医師?」  まさかという嫌な予感がした。 「気がつかれたと思いますが、あなたの手術をしたのが、この方なのです」 「あなたが?」  やはりと思った。 「今日はあなたに素敵なお話しをお持ちしたのです」 「素敵な話し?」 「あなた、本当の女性になりたいと思ったことはありませんか?」 「本当の女性ですか……。ありますよ。今の姿は見せかけのものです。どんなにきれ いに着飾っても所詮は、男でもなく女でもない中途半端な姿ですからね」 「先生は、性別再判定手術の権威なのです。あなた次第で、手術をしても良いとおっ しゃってます」 「手術! 性転換手術ですか?」 「その通りです」  主治医が口を開いた。 「私がやる性別再判定手術は、陰茎を取り去った皮を使って人口の膣を形成するとい う普通の性転換手術とは違う。本物の女性の内外性器、子宮や膣そして卵巣や外陰部 などのすべてを移植して、男性との性交はもちろんのこと、妊娠し出産することので きる、真の女性に性転換する手術だ。中途半端は嫌いだからな」 「移植?」 「もちろん臓器を移植するには、拒絶反応の問題があるから、誰でも簡単にできると いうわけにはいかない。免疫型の一致したもの同士でしか移植は成功しないからだ。 君の睾丸摘出の際にも、免疫型を調べて移植できる臓器があれば、同時に性転換手術 までするつもりだったのだ。が、残念ながら適合する臓器はなかった。取り敢えず睾 丸摘出だけに留めて、適合する臓器が見つかるのを、今日までずっと待っていたのだ」 「じゃあ、見つかったのですか?」 「その通り。君が望みさえすれば、明日にでも完全な女性の身体になれるということ だ」 「しかし臓器が見つかったって言いましたが、臓器移植ネットでもあるのですか?」 「ふふ……これは組織に関わることなので、くわしくは言えないが、まあいいだろう。 少し教えてあげよう。闇の臓器密売組織というものがあるんだ」 「臓器密売?」 「裏組織では、毎日のようにたくさんの人間が死んでいる。自殺、殺人……遺体は裏 から闇へと、新聞ざたにならないように処理されている。もちろん臓器は摘出されて、 臓器移植を望んでいる患者の元へ運ばれているというわけだよ」 「ひどい……じゃあ、わたしに移植されるというのも」 「誘拐殺人でこの世を去った十八歳の女性のものだよ。なんとバージンだよ。ものは 考えようだよ。死んだ人間は生き返らない。しかし臓器は他人を生かす役に立つのな ら、死しても生きるというものじゃないのかな。特に今回のように女性の内性器を移 植する場合は、その女性の子供を産み育てることができるというわけだ。その女性も 浮かばれるというものじゃないか。どうかな、若くして逝ったその女性の為に、子供 を産んであげようとは思わないか」 「子供をですか?」
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