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2018年11月12日 (月)

性転換倶楽部/ある日突然に II page-12

女性化短編小説集「ある日突然に」より II

page-12  驚いた!  わたしの考えていた性転換手術というものは、人工的な膣や外陰部を作り上げる手 術だ。あくまで見た目や、ある程度のセックスを可能にするだけで、生殖能力のこと は一切考えられていない。  だいたいからして長い間、男として生きてきたのだ。女装や球抜きはしているもの の、子供を産み育てるという思想や概念がまったくなかった。  子供を産むことができるようにはなるかも知れない。しかし、子供を育てるという のは、並み大抵のことではないかと思うのだ。幼児虐待が増えている最近の現状をみ ても、このわたしが子供を育てられるか心配なのだ。果たして母性本能の片鱗でもあ れば……。 「そうだ。完璧な移植手術を施して、子供を産める身体にしてやる。事情が事情なだ けに、手術代はいらん」 「先生の手術の腕前は保証するわよ。実は、私も先生に完全な女性にしてもらったの」 「う、うそ?」 「ほんとよ。移植した内性器はちゃんと機能して、女性特有の毎月の生理は訪れるし、 セックスも愛液がちゃんと分泌されるから潤滑剤なしにスムーズにできるわ。最初の うちはね、性転換した身体という気持ちがあるせいか、精神的にしっくりこなかった んだけど。そのうちに毎月生理がくるようになって、『ああ、本当に女性になったん だな』と確信できたら、自然に女として自覚できるようになったの。男だったという わだかまりは一切なくなったわ」 「そういうわけだ。君も手術すれば、身体的にも精神的にも完全な女性になれるさ。 子供を産む事にも、何のためらいも感じなくなるよ。事実、このマネージャー以外に、 何例も手掛けた性別再判定手術者の中には、結婚して子供を産み幸せに暮らしている 者もいる」 「結婚できるのですか? 女性として?」 「もちろんさ。君は子供を産み育てることに不安を抱いているだろうが、前例をみて もその心配はない。愛情や母性本能は、子供を育てていく過程で自然に生まれ身につ いてくるものなのだ」  医師は、わたしの心の内を見抜いていたようだ。前例があるというのなら少しは安 心する。 「ちゃんとした法の手続きをとって、戸籍の性別や名前を変えてもらえることができ る。昔は、死んだ女性の戸籍を無断拝借することも行っていたけどね」 「どうです。いいお話しでしょ。真の女性になった限りには、このお店も退職しても らいます。ゲイバーにはふさわしくありませんからね。もちろん再就職先も斡旋しま すよ」 「ほんとうですか?」  これまでにも、英二のために性転換手術を受けようかと思った事も何度かあるし、 そのための貯えは十分にある。しかし、ふんぎりがつかないでいた。英二が手術して くれとでも言われれば、していたかも知れないが……。手術しても所詮はまがいもの の身体でしかない。男でもなく女でもない。中途半端な身体。  ところが子供も産める完全な女性にしてくれるという。あまつさえ戸籍まで変更ま で可能だという。  英二と結婚することができる?  夢が正夢になろうとしている。  答えは、一つしかないではないか!  医師の次の言葉が、決断を促した。 「言っておくが、手術を延ばすことはできないからな。手術の準備はすでに整ってい る。後は君に病院に来てもらうだけだ。臓器は生物だ、明日に延ばすことはできない。 今日の日を逃せばもう二度とチャンスはこないだろう」  最後のチャンス……。 「わかりました。お願いします。手術してください」 「うむ。よく言った。私に任せてくれれば、完璧な女性に生まれ変わらせてやる」 「女性として生きるために必要な戸籍などの法的な手続きは任せてね。ちゃんと結婚 できるようにしてあげるわ」 「はい。お願いします」 「今日は店に出なくていいわ。早速入院の準備しましょう。着替えとかもろもろね」 「はい。あ……。でも、英二さんになんて言えばいいのかな」 「そうねえ。二三日すればお店にいらっしゃるだろうから、私の方から説明しておく わ」 「何て?」 「正直に入院したと言うわ。病院名や病名は聞かなかったということでね」 「携帯で連絡してきたら?」 「病院は携帯電話の使用禁止よ」 「あ、そうか。でも公衆電話でなぜ連絡してくれないんだ。といわれそう」 「ベッドから動けなかったからでいいんじゃない。やさしい人なんでしょ。何にして も許してくれるわよ。何たって、彼のために手術を決断したんだから。ね、そうでし ょ?」
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