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2018年11月14日 (水)

性転換倶楽部/ある日突然に II page-13

女性化短編小説集「ある日突然に」より II

page-13  そして夕刻。  その医師の執刀による性別再判定手術が無事終了した。  翌朝。麻酔から覚めたベッドサイドに医師が立っていた。 「手術は成功したのですか?」 「もちろんだ。どうだい、新しい身体の感想は?」 「何か変な気持ちです。身体の中に異物が入っている感じです」 「だろう。今まで何もなかった所に新しい臓器が入ったのだからな。たぶんその感覚 は、膀胱に乗りかかるような位置に子宮があるからだよ。子宮の重みで膀胱が圧迫さ れてそんな感覚になる。最初はそれが異物感となるが、いずれ慣れてしまえば感じな くなるよ。例えば女性ホルモンで胸が膨らみはじめたころは、取ってつけたような感 覚があったはずだ。ブラジャーをしててもしっくりとこない。しかし今はどうだろう か、大きく膨らんで邪魔なくらいだろうけど、すっかり馴染んでしまっているはずだ」 「そうですね」 「ともかく、手術したばかりだ。しばらくじっとしていて身体を動かさないでくれ。 特に身体をよじる動作は厳禁だ。そうしないと移植したばかりの内性器が、正常な位 置からずれてしまうかも知れないんだ。子宮を体腔内に固定している靱帯の縫合箇所 が切れたら、また開腹手術しなきゃならん。だいたい二週間くらいすれば、臓器の再 配置が落ち着いて、縫合した箇所も癒える。新しい性器を見たいだろうし触りたいだ ろうが、ぐっと堪えて我慢してくれないか。何かしたいことがあったら何でも看護婦 に言ってくれ。完全看護体制になっている」  それからさらに数週間。  ベッドに釘付け状態の日々が続いた。内臓に負担の掛からないように、起き上がっ たり、身体をよじったりすることを厳禁され、食事も排泄もベッドの上で看護婦の介 護のもとに行われた。汗や垢に汚れた身体は水拭きできれいにしてくれる。 「よく頑張ったね。そろそろ起き上がっても大丈夫だよ」  というわけで、やっとのことで起き上がることを許され、移植した外性器を見せて くれることになった。  ベッドの縁に腰掛けて、看護婦が鏡を持って、股間が良く見えるようにしてくれた。  そこには、かつてぶら下がっていたものは影も形もなくなって、代わってピンク色 の割れ目があった。まさしく性体験のない初々しいものであった。 「傷口はきれいに治っている。しばらくはしっくりとこないかも知れないが、いずれ 馴染んでくるさ。生理もはじまるから、女性になったことを実感できるようになる。 どれ少し説明してあげよう」  というと、その割れ目を指で広げながら各部の説明をはじめた。 「この小さな突起がクリトリスだよ。女性の一番の性感帯だな。そのすぐ下には、ち ょっと判りにくいが、小水の用をたす尿道口が開いている。さらにその下、この孔が、 女性のもっとも女性らしい部分ともいうべき膣だ。男性を受け入れ、その結果である 子供を生み出すところだ。そしてそれらの大切な部分を覆い隠しているのが、この大 陰唇と小陰唇というわけだ」 「これが女性の性器なんですね」  女性の性器など写真や図解でしか見た事がなかった。しかし目の前にあるものは本 物の女性の性器なのだ。それが今、自分の股間についている。 「ああ、そうだよ。君は完全な女性になったんだ」 「ありがとうございました」  さらに数週間が経った。  身体を動かした時の腹部の痛みも失せて、異物感もほとんどなくなっていた。  とうとう退院の日が来たのだ。  そして今、医師の父親が経営する産婦人科病院の前に、医師とマネージャーと共に 立っている。 「先生。ありがとうございました」 「うん。今日からは一人前の女性として、清く正しく生きてくれたまえ」 「はい」 「戸籍変更の手続きはもう少し掛かりそうよ、間違いなく許可されると思います。そ うすれば『渡部由香里』という女性が誕生するわけです」  戸籍関係の法的手続きはマネージャーがやってくれていた。 「お手数掛けました」 「ふむ。それから君の就職先の紹介状だ。この病院と取引のある製薬会社だ。今日、 その足で面接を受けたまえ」  退院に際し、マネージャーが、面接にふさわしいスーツを用意してくれていた。  ぴったりと身体にフィットしたミニのタイトスカートのスーツ。 「わかりました」 「相手も忙しい身でね、今日しか面接できないそうだ」 「もし何かあったら、いつでもわたしのところにいらっしゃい。何でも相談にのって あげますからね」 「はい、ありがとうございます」 「英二はどうしているかな……」  手術のことはまだ話していなかった。  黙っていて、驚かそうと思ったから。  電話しようかなとも思ったけど、まだ仕事中だよね。 「メールならいいかな」  英二さん、お元気してますか?  由香里はやっと退院できました。  また会いましょうね。  では。  メールを送ってすぐだった。  トゥルルル、トゥルルル、トゥルルル。  いきなり電話が鳴ったのだ。  液晶画面には英二の名前が出ている。 「うそー! まだ仕事中じゃない」  あわててフックボタンを押す。 『メールもらったよ。退院したって本当? いったい今までどうして連絡くれなかっ たんだよ。いったいどんな病気だったの? あの店も辞めちゃったというし、心配し てたんだぞ』  矢継ぎ早に質問を浴びせてくる英二。 「ま、待って。そんなにいっぺんに聞かれても。今度会ったら説明しますから。今、 お仕事中なんでしょ」 『ああ、そうだな。じゃあ、また後で連絡するよ』 「はい。待ってます」  ふう!  思わずため息をついてしまう。  心底から心配している口調が、電話を通して伝わってくるのが嬉しかった。  やっぱり事前に相談すれば良かったかな。でも時間がなかったし……。
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