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2018年11月 2日 (金)

性転換倶楽部/ある日突然に II page-8

女性化短編小説集「ある日突然に」より II

page-8  今日は金曜日、休養日である。  店に出れば、どうしても酒を多量に飲まなければならなくなる。肝臓に負担が掛か るので、土日火木を出勤し月(定休日)水金は休肝日にして休むことにしている。  休みの日は、商店街に出てウィンドウショッピングなどして、時間を潰すことにし ている。時にはデパートなどの化粧品売り場に立ち寄って、いくらかの化粧品を買う こともある。ついでに最近流行の化粧のポイントを教えてもらったりもする。  始めて化粧品売り場を訪れた時は、ばれないかと冷や冷やものだった。何せすぐ間 近眼前三十センチメートル以内までに顔を近づけてくるのだから。  美容師を兼任している管理人も、 「素敵なお顔していますね。男性とばれることはないでしょう」  と保証してくれていたものだったが、男性相手の化粧ばかりしていて、女性の相手 をしたことがない、というのではいまいち信憑性に欠けていた。  しかし余計な心配だった。  店員は女装していることに全然気づかないようで、普段通り女性に対するように、 化粧の仕方を教えてくれた。ボイストレーニングの効果で、女性の声を出せるように なっていたのも幸いしている。  以来、安心して化粧品売り場を訪れるようになった。  一度でも女性として応接し顔を覚えてもらうと後は楽である。刷り込み現象で女性 と思い込んでしまうと、後は一切疑うことはしないものだ。だからこの店をいつも利 用していて、その店員とは顔馴染になっていた。 「今年の流行として……」  その店員は、親切丁寧に化粧を施しながら、ポイントを教えてくれている。 「お化粧もだいぶお上手になられましたね。はじめてお会いした時は、ちょっと濃い かなと思いましたが、今はお肌の調子に合わせて適切にお化粧されてらっしゃいます」 「うふふ。あなたに親切丁寧に教えてもらったおかげですよ。感謝してます」 「恐縮いたします」  ただ化粧品を売るだけでなく、しっかりとした化粧術を教えてくれるので、本当に 感謝しているのだ。管理人の施す化粧は、お店に出る時の夜の化粧術だったのだ。  素人の化粧は、雑誌の化粧記事や写真を見ただけでは覚えられるものではない。完 璧な化粧をするには、プロの美容師に直接、実際に化粧品や道具を使いながら、教え て貰わないとなかなか身につかないものだ。 「毎度ありがとうございます。しめて五万三千円になります」  化粧してもらった後で、今回使った化粧品を購入する。ブランド物の化粧品なので、 ちょっとばかり値が張るが、親切丁寧に教えてもらった教習料を含んでいると思えば 安いものだ。その人の髪型・顔の形・肌の具合、そして季節に合った適切な化粧術で ある。 「ひろみさんじゃありませんか?」  後ろから源氏名を呼ぶ声が聞こえた。  思わず振り返れば、店の常連客の、あの女装ルポライターだった。  ここは一階。各ブランドごとに、化粧品や婦人靴売り場がずらりと並んでいる女性 (女装者含む)オンリーのフロアである。  まさかねえ……。 「女装はあの日だけだよ」  とは言っていたが、味をしめて……。  がしかし、よくよく見ればきっちりとした背広を着ており、テナント店員を示す名 札を付けていたのだ。その後ろには同僚と思われる数人の店員もいた。 「あはは、まさか昼間に、こんな所でお会いするなんて奇遇ですね」 「黒沢さんは、ここで働いていたのですか?」  以前に、ルポライターというのは副業で、他に本業があると聞いており、黒沢英二 という名前も教えてくれた。 「いや。ここで働いているというわけじゃないんだ。とある製薬会社に務めていてね。 事業の一つにブランド化粧品があって、それを扱っている直営店舗の視察をして回っ ているところなんだ」 「視察ですか?」 「沢田君。このご婦人と話しがあるんだ。済まないが、後を頼むよ。用が済んだら携 帯に連絡を入れてくれ」  と言いながら、後ろの店員に胸の名札を外して手渡す。 「かしこまりました」
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