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2019年3月16日 (土)

銀河戦記/鳴動編 第二部 第二章 VII

第二章 ミスト艦隊

                VII  サラマンダー艦橋では、アレックスからの連絡を今か今かと待ちわびていた。 「あれからだいぶ経ちますが、いまだに連絡がありません。提督はご無事なのでしょう か?」 「提督は十分な熟慮の上に行動なされたのです。心配することはないでしょう」  アレックスとの付き合いが最も長く、その人となりを知り尽くしているスザンナが平 然と答えた。  いっかいの旗艦艦長から旗艦艦隊司令へと大抜擢され、アレックスからの信望厚い人 物の発言である。その言葉を疑うものはいなかった。 「それよりも敵艦隊の動静に変わりはないか?」 「はい。侵攻ルート及び速度共に変化ありません」 「よろしい。こちらは戦闘態勢を維持、進路そのまま」  アレックスからは戦闘態勢の発令があったものの、その後の指示はいっこうに出され ていなかった。  巨大惑星による重力ターンの実行中であり、進路を変えて迎撃に向かうことは不可能 だった。  仮に進路転換しようものなら、強力な重力によって失速し、巨大惑星に飲み込まれる のは必至だった。そのことは、スザンナが一番良く知っていることである。 「提督より入電です」  一同がいっせいに通信士の方を振り向く。 「映像を正面スクリーンに映せ」  敵艦隊の進撃推定コースの投影されていた正面スクリーンがアレックスの映像に切り 替わった。SPとして同行しているコレットも側に待機している。 「提督、何かありましたか?」  スザンナが尋ねる。 「ああ……。このわたしがミスト艦隊を臨時に指揮することになった」 「提督がミスト艦隊の指揮を?」  スザンナに驚いた表情は見受けられなかった。もちろん通信を聞いている他の者も同 様であった。  敵艦隊の来襲となれば、英雄と称えられる提督に指揮を依頼することは、誰にも納得 できる。 「そういうわけだ。君達は、そのまま予定通りに動いてくれ。こちらのことが済めば、 後を追いかける」 「お一人で大丈夫ですか} 「我々は部外者だ。ミストのことに関しては、君達の手を借りることはできないだろ う? ああ、戦闘態勢を解除して、警戒態勢に変更しておいてくれ。やつらが追撃して くることは不可能だろうからな」 「判りました。警戒態勢に移行し、このままのコースを予定通りに進みます」 「よろしくな」  通信が切れ、敵艦隊の侵攻ルートの映像に切り替わった。  アレックスらしく簡潔明瞭な短い通信だった。 「ということだけど、パトリシアはどう思っているの?」  艦橋の後部で通信を聞いていたジェシカが隣にいるパトリシアに囁く。 「成り行き上で、そういうことになったのでしょうけど……。心配する必要はないと思 いますよ」 「その根拠はどこから?」 「提督は、勝算のない戦いはなさりませんから」 「なるほど……。提督はミスト艦隊を指揮して、敵艦隊との戦いに勝利できると考えて いるわけね? それも三倍の敵艦隊と……」 「はい」 「そっか……。あなたがそう思っているのなら、確かなものでしょうね」  パトリシアに限らず、艦橋にいる者のほとんどが、アレックスが負けるとは誰も思っ ていなかった。  たとえ一度も指揮をとったことのない、未知数の多い艦隊としてもである。 「スザンナ。提督は後から追いかけられるとのことですから、その足となる高速艦艇を 残しておかなければ」 「はい。すでに手配済みです」  スザンナが答えた通りに、旗艦艦隊から護衛艦を含めた十二隻の小隊が、列から離れ て惑星ミストへと向かっていた。  もちろん重力ターンの最中なので、巨大惑星の重力に逆らわないように遠回りではあ るが、いったん惑星をぐるりと周回するようなコースを取らなければいけない。 「旗艦艦隊が中立地帯に到着するのが早いか、提督がこの場を早々に片付けて、追いつ いてくるのが早いか……。ぎりぎりかしらね」 「そうですね……」  敵艦隊の本体である連邦の先遣隊の動きが気になっていた。  第三皇女を拉致しようとして、中立地帯へと向かっているはずである。  もう一つの競争が存在していたのである。  ランドール提督が追いついてくるのが早いか、連邦が中立地帯から帝国領内へ侵入し て第三皇女が拉致されるのが早いか。  時間との戦いでもあった。
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