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2019年3月23日 (土)

銀河戦記/鳴動編 第二部 第二章 ミスト艦隊 VIII

第二章 ミスト艦隊

                VIII

 ミスト艦隊旗艦の作戦室。
 アレックスは各艦の艦長と部署の責任者を招集して、作戦会議を開いていた。
 アレックスが育て鍛えた艦隊の士官達なら、一つのことを伝えれば十のことを理解し
てくれていた。これまでのアレックス流の戦闘のありかたを知り尽くしていたので、こ
まごまとした残りの九割の部分は、言わずとも確実に伝わったのである。
 今回の戦闘に勝利するには、意思伝達を緊密に図っておかなければ、勝てるものも勝
てなくなる。
「艦隊の半数を別働隊として、このラグランジュ点に待機させて、側面攻撃をかけま
す」
「別働隊ですか? ただでさえ、こちらの艦数が少ないというのに、別働隊を無視して
本隊に急襲をかけられれば持ちこたえられません」
「そうかも知れませんが、我々に勝つ方法があるとすれば、これしか考えられません。
側面から攻撃を掛けられたら、回頭して相手にするか、やり過ごして加速し本隊を急襲
するかでしょう。そこに勝算が生まれます」
 会議に参加する者には、アレックスの真意が伝わらないようであった。自分が育てた
艦隊ではないから致し方のないことであろう。
「詳しく解説してください」
「判りました」
 アレックスは苦々しく思った。
 パトリシアがいれば……。
 サラマンダーに残してきた作戦参謀。身近にその存在がないというのは、痛切なほど
に身に沁みた。
 最高速・高性能のCPUを持っていたとしても、ディスプレイなどの表示装置や通信
機器などの周辺機器が接続されていなければ、無用の長物と化してしまうのは必至であ
る。
 敵に確実に打ち勝つには、綿密なる作戦立案が必要である。それはアレックスの頭の
中でまとまってはいるのだが、何も知らない一兵卒に至るまで周知させるのは並大抵の
ことではない。
 早い話が口下手といって良いかも知れない。
 作戦会議から三時間が経過した。
 ミスト艦隊の本隊から離れていく別働隊。
 その指揮を執るのは、ミスト艦隊司令のフランドール・キャニスターである。
「司令、どうして別働隊の指揮を買って出たのですか?」
 副官が改めて聞きなおした。
 本来ならよそ者のアレックスが率いるべきはずである。
「別働隊は陽動とし、敵の攻撃を直接受け止めるのが本隊と考えるのが普通なのだが、
提督はこちらが主力だと言った。それがゆえに半数の艦隊を割いたのだと」
「それが判りません。一応説明はされたのですが、どうしても納得できません」
「納得するしかないだろう。これまでの提督の作戦は、当初には誰にも受け入れられな
いことが多かったじゃないか。しかし、最終的には劇的な戦果を挙げて昇進してきた」
「それはそうですけどね」
「ともかくだ……。我々の総意で提督に指揮を委ねたのだから、最後まで信じて戦うよ
りないだろう」
「判りました」

 ミスト旗艦。
 その指揮官席に陣取るアレックス。
 正面のスクリーンには、本隊から離れていく別働隊が映し出されていた。
「別働隊。予定のコースに入りました」
「よろしい。敵艦隊との遭遇推定時刻は?」
「およそ五時間後です」
「そいじゃ、お出迎えするとしますか。全艦微速前進!」
「全艦微速前進」
 アレックスの補佐を勤める役になった副司令のコーマック・ジェイソンが命令を全艦
に発令する。
 艦橋にいるすべての者が、これから繰り広げられることになる連邦軍との戦闘に胸を
ときめかせていた。
 何せ、共和国同盟の英雄と称えられる名将が、自分達の艦隊の指揮を執るのである。
 たとえ相手の艦数が数倍に勝り、歴戦の勇士達だったとしても、誰一人として不安を
抱く者はいなかった。
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