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2019年6月 7日 (金)

妖奇退魔夜行/胞衣壺(えなつぼ)の怪 其の伍

陰陽退魔士・逢坂蘭子/胞衣壺(えなつぼ)の怪

其の伍 神田美咲  時を少し遡った、小雨降る夜。  解体作業現場を、折しも通りがかった女子高生。  整地された一角がぼんやりと輝いているのに気が付いた。  なんだろう?  と、歩み寄ってみると、土くれの付いた古い壺が顔を出していた。 「壺?」  壺が怪しく輝いて少女の顔を照らす。  やがて壺を取り上げると、何事もなかったように、現場を立ち去っていった。  とある一軒家  門柱に「神田」という文字が彫られた表札が掛かっている。  壺を抱えたまま、その家に入る少女。  少女の名前は、神田美咲。  阿倍野女子高等学校の生徒である。 「お帰りなさい、美咲」  という母親の声にも応答せずに、無言で二階へと上がり自分の部屋へ。  大事そうに抱えていた壺を、そっと机の上に置いた。  そして蓋に手を掛けるとすんなりと壺は開いた。  建設現場ではどうしても開かなかったのに。  中にはキラリと輝く刀子(小刀)が入っていた。  普通なら錆び付いていただろうが、密閉した容器の中で胎盤などの腐敗(好気性菌に よる)が先に進んで、中の酸素を消費してしまって、刀子の酸化が妨げられたのであろ う。  刀子は不気味に輝いており、じっと見つめる美咲の顔を照らす。  やおら刀子を取り出し、刃先を左手首に当てると、躊躇なく切り刻んだ。  ボトボトと流れ出る血を受け止めて、壺はさらに輝きを増してゆく。  やがて壺の中から正体を現わした怪しげな影は、しばらく美咲の周りを回っていたが、 スッと美咲の身体の中に消え行った。  最初の殺人事件が発生したのは、それから三時間後であった。  数日後の夜。  巫女衣装に身を包んだ蘭子が歩いている。  怪しげな気配を感じ取って出てきたというわけだ。  その胸元には御守懐剣「長曾祢虎徹」が収まっており、臨戦態勢万全というところだ。  時折警戒に当たっている刑事に出会うが、 「巫女衣装を着た人物の邪魔をするな」  という井上課長のお達しが出ているらしく、軽く敬礼すると黙って離れてゆく。 *参考 血の契約  突然、胸元の虎徹が微かに震えた。 「つまり魔のものということね」  魔人が封じ込められている虎徹は、魔物に対してのみ感応する。 『蘇我入鹿の怨霊事件』のように、魔人が怨霊を招き寄せる場合もあるし、人に取りつ く場合もある。  魔と霊と人、それぞれに対処できるように体制を整えておかなければならない。  魔には虎徹。  霊には呪符や呪文。  人には合気道などの武道で、自らが戦う。  虎徹を胸元から取り出して手前に捧げ持って、一種の魔物探知レーダーを働かせた。  よく画家が鉛筆を持って片目を瞑り、キャンバスと鉛筆を見比べる仕草を取るアレで ある。  その態勢で、ゆっくりと周囲を探索しながら、反応の強い方角へと歩いていく。
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