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2019年12月

2019年12月30日 (月)

あっと!ヴィーナス!!第五章 part-6

あっと! ヴィーナス!!
第五章 part-6

 ええと……。どれかな……。
 昨日と今日と買ったばかりの新品衣料の中からパジャマを探し出す。昨日着用したもの
はすでに洗濯機の中だ。以前なら二三日は同じのを着ていたりしたが、女の子としては毎
日着替えるようにとの厳命だ。だから洗濯サイクル、乾きにくい雨の日のことをも考慮し
て、最低でも後三着はあるはずだ。
「これかな……」
 可愛い花柄のネグリジェだった。
「ん……。パス!」
 どうも、てるてる坊主のネグリジェは敬遠したい。
 整理好きな母だから、同じ物をあちこちばらばらにしまうことはしない。当然、これの
下が……。
 胸元に華やかなレースが施されたネグリジェだった。
「……。つぎね」
 さらに下を探る。
 肩紐式のストレートなスリップドレスのネグリジェだった。
「肩紐な分、胸の膨らみがくっきりとでそう……パス」
 さらに下を探る。
 透け透けとは言わないが、ピンクのナイロン製のネグリジェだった。
「こいつは暑い夏には着れないね」
 さらに下を探る。
 もうなかった……。
 …………。

 ということは、パジャマが一着にネグリジェが四着というわけか……。
 もろ母の好みで選んでるというところ。
 母はネグリジェ派だった。
 もっとも結婚していて、旦那との夜の相手をするには、ネグリジェの方がなにかと都合
がいいからに違いないが……。

 はあ……

 思わずため息が洩れてしまう。
 シーツがよけいに汚れるからと母がうるさいので、裸で寝るわけにもいかない。
「しようがない……こいつでいいや」
 一番最初に取り出した花柄のネグリジェにした。

「しかし……今日も一日、ほんとに疲れたよ」
 朝目覚めた時から今この時まで、緊張と羞恥心との連続で、ひとときも気の休まること
はなかった。
 ベッドに潜り込み祈る。
 朝目覚めたらすべてが元に戻っていますように。


第一部 完

 引き続き第二部をお楽しみください。
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2019年12月29日 (日)

銀河戦記/機動戦艦ミネルバ 第五章 ターラント基地攻略戦 VⅢ

 機動戦艦ミネルバ/第五章 ターラント基地攻略戦

「ナイジェル中尉はトラップに気づきますかね」
「最初の一発を食らえばいやでも気づかされるだろうが、時すでに手遅れという状況に
追い込んでやればいいのさ」
「どうやって?」
「オーガス曹長が考えていた手を使わせてもらうさ」
「湿地帯を?」
「いや、山岳地帯を登っていく。途中に開けた場所があって、狙撃には格好の場所だ。
隊を二手に分ける。私のチームが山岳地帯へ向かう。カリーニ少尉は、トラップ地帯か
ら抜け出してきた機体を迎え撃て」
「判りました」
「上手くいけば、こちらは損害を被ることなく全滅させることができるだろう」
「そう願いたいですね」
「第一から第三小隊は私に続け、残る第四から第六小隊はカリーニ少尉と共にここでト
ラップから抜け出てきた敵を攻撃」
「了解!」
「総員機体に乗車!」
 サブリナとカリーニが率いる二隊が分かれて、それぞれの作戦に向かう。

 山岳地帯へと向かう傾斜を登るサブリナ隊。
 やがて開けた場所に出た。
「ここなら眼下を進撃するオーガスらを狙撃することができるな」
 双眼鏡で監視するサブリナ。

 数時間後、ナイジェル中尉率いるB班が登場した。
「B班が森林地帯に入る瞬間を狙うのだ」
「ブービートラップに追い込むのですね」
「ん?ナイジェルめ、気が付きよったな」

 覗く双眼鏡のレンズを通して、同じように双眼鏡でこちらを眺めているナイジェルが
いた。
 と同時に、部下の一人が対戦車用擲弾発射機(ロケットランチャー)を撃ってきた。
 慌てて退避し、難を逃れるナイジェル。
「どうやら、見透かされていたようだ」
 砲弾は至近距離に着弾したものの、砲弾に炸薬は入っていないペイント弾なので人体
被害は免れた。とは言っても、部下三名がペイントを浴びて戦線離脱となった。

 さてどうするか?

 と考えていると、通信士が叫んだ。
「隊長!敵襲です、ミネルバが敵に発見されました。至急訓練を中止して帰還せよ」
 上空を戦闘機が飛び交いはじめた。
 地上にいる所を発見されると、機銃掃射される危険がある。
「分かった!ナイジェルにも伝えろ。総員退却帰還!」
 これからいいところだったのに、という名残惜しさが漂う中、慌ただしく総員撤収が
はじまった。
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2019年12月28日 (土)

銀河戦記/機動戦艦 第二部 第四章 皇位継承の証 XⅡ

第四章 皇位継承の証
                 XⅡ

 その夜のアレクサンダー皇子を迎えての晩餐会は盛大であった。
 アルビエール候国内の委任統治領の領主達が全員顔を揃えていた。
 彼らの子弟達は統制官大号令によって、将軍の給与をカットされて不満があるはずだろ
うが、今はその事よりも自分の顔を売って、委任統治領の領主たることを安寧にすること
の方が大切だと考えていたのである。
 アレックスのもとには、領主達が入れ替わりで挨拶伺いにきていた。その順番は、爵位
や格式によって決められているようである。
 共和国に生まれ育った者としては、実に面倒くさくて放り出したくなる風習だが、これ
が立憲君主国における貴族達との交流であり、国政をも左右する儀式でもある。これから
彼らを傅かせて帝国を存続させてゆく上で大切なものであった。
「いかがですかな? 楽しんでいらっしゃいますか?」
「はい。堪能させてもらっています」
 貴族達の挨拶には辟易するが、目の前に並べられた料理には感嘆していた。選びに選び
抜かれた極上の品々、舌もとろけそうなほどの美味な一品。どれも見張るばかりの豪勢な
ものばかりだ。
「それは良かった」

「そうそう、この星に来る時に海賊に襲われましてね」
「なんと! それはまことですか?」
「私が幼少の頃にも襲われたようですけどね」
「あの時は、皇后がこちらで出産、育児と静養をしておりましてね。そして帝国へお戻り
になられる時でしたな。船ごと誘拐されまして、皇后はお亡くなりになり、皇子も行方不
明となられました。その実は、共和国同盟でご存命であらせられ、軍人として立派な偉業
を成し遂げていらっしゃった。さすがにソートガイヤー大公様の血を継がれたお方だと感
心している次第であります」
 褒めちぎられて、こそばゆく感じるアレックスだった。
「ともかく、帝国領と自治領との境界や、国境中立地帯付近を通る時は注意した方がよろ
しいでしょう」
「そうですな。気をつけることに致しましょう」
 これらの会話において、ハロルド侯爵の表情の変化を読み取ろうとしていたアレックス
だった。内通者としての疑惑的な態度が現れないかと探っていたのであるが、侯爵の表情
は真剣に心配している様子だった。そもそも、侯爵が皇子を誘拐する理由はどこにもない
し、皇帝と血縁関係にあるものを自ら断ち切るはずもなかった。叔父と甥という関係は、
確実に存在しているようであった。
 一応は念のための確認であった。

 翌日。
 自治領艦隊の一部を護衛に付けると言う侯爵の申し出を丁重に断って、サラマンダー艦
隊にて首都星に戻ったアレックス。
 統合軍作戦本部長を執務室に呼び寄せると、海賊に襲われた経緯を伝えて、国境警備を
厳重にして、海賊が侵入できないようにするように命じた。海賊追撃のために自治領への
越境の許可も与えた。
 次々と戦争に向けての準備を続けているアレックス。
 そんな中、トランターのレイチェルのもとから暗号文がもたらされた。
 総督軍が、二百万隻の艦隊を率いて、銀河帝国への進軍を開始したというものだ。タル
シエン要塞からも、進軍する二百五十万隻の艦隊を確認したという報告が入った。後者の
数字が多いのは、輸送艦隊を含んでのことであろう。
 ついに戦争がはじまる。
 アレックスは身震いした。
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2019年12月27日 (金)

冗談ドラゴンクエストII 冒険の書・3

冗談ドラゴンクエスト II
冒険の書・3

勇者「おい、王子」 王子「なんでしょう?」 勇者「いや、呼んでみただけだ」 王子「はあ……」 勇者「うむ、やはり話し相手がいるというのはいいもんだ」 ナレ「あの……わたしもいますけど」 勇者「おまえは、話し相手じゃないだろ。テレパシーでの会話だし、他人の目には俺がブ ツブツと独りで呟いている危ない奴と思われてるんだぞ」 ナレ「それはどうもです。冒険のストーリーを端折ってサマートリア王子を仲間にするの を急いだのはそのためだったのですね」 王子「あの……。誰と話しているんですか?(ナレとの会話は聞こえていない)」 勇者「ほらな」 ナレ「納得しました」 勇者「もう話しかけないで、解説だけしてろ」 ナレ「判りました」 勇者「ところで王子よ」 王子「なんでしょう?」 勇者「おまえ、なんでレベル1なんだよ」 王子「はあ?」 勇者「だってよ。モンスター徘徊する平原や洞窟を難なくクリアして、あっちの町、こっ ちの城と廻り廻ってきたんだろ?レベルアップしてて当然だろ」 王子「実はですね、一人じゃ怖くて逃げ回ってたんですよ」 勇者「逃げ回ってた?洞窟なんか狭い通路じゃ逃げられないだろ?」 王子「穴掘って隠れたり、水の中に潜ったりして、モンスターが通り過ぎるのを、息をひ そめてました」 勇者「とんでもねえ奴だな。忍者のスキルがあるんじゃないか?」 王子「いやだなあ、ドラクエに忍者なんて職業ないですよ」 勇者「とにかく足手まといにはなるなよ」 王子「わかりました」 勇者「さて、次の行動予定は……『ぎんのカギ』を手に入れることか」 王子「それは、ルリザの北西の湖の洞窟にあると聞きました」 勇者「よし、早速行こう」 王子「その前に、装備を整えましょう」 勇者「おい、武具屋」 武具「へい、らっしゃい!」 勇者「見せてみろや。お勧めは?」 武具「へい。くさりがま330G、くさりかたびら390Gです」 勇者「よし、その二つをくれ」 武具「ありがとうございます。装備されますか」 勇者「おうとも。装備してくれ」 武具「装備しなくてはね。お似合いですよ」 王子「あの……。自分のは?」 勇者「まだ一匹もモンスター倒してないのにか?」 王子「パーティーの面倒を見るのも勇者の勤めではないですか」 勇者「そうはいっても、もう金がねえよ」 王子「外した装備を売ればいんですよ。せいなるナイフくらい買えるじゃないですか」 勇者「しようがねえ、ほれ、せいなるナイフだ」 王子「ありがとうございます」 勇者「じゃあな武具屋」 武具「またのおこしを」 勇者「おい、そこの禿げてるおっさん、なにしてんだ?」 男 「わっ!いきなり話しかけないでくれ!おしっこが足にかかったじゃないかっ」 勇者「なんだ、たちションか」 ナレ「こうして装備を整えた二人は、北西の湖の洞窟へ向かって冒険を開始したのであっ た」
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2019年12月26日 (木)

あっと!ヴィーナス!!第五章 part-5

あっと! ヴィーナス!!
第五章 part-5  というわけで、今一緒に風呂に入っている。  母とはいえ生の女性の裸を目の当たりにするのははじめてだった。そりゃあ、子供の時 は一緒に入っていた記憶があるにはあるが、異性を意識する年頃になってからはまだ一度 もない経験だった。  あたりまえだ!  この歳でまだ母と一緒に入っていたとしたら常識を疑う。  それがいきなり女の子になって、自らの裸をさらすことも重なって、恥ずかしさの極み だった。  とにかく入浴は、裸と裸のぶつかり合い、じゃなくて……ちょっとエロチックな状態に あるといえた。生身の女性の裸体をさらけ出し合って身体を洗いっこしたりして、 「いやーん。そこ、くすぐったい」 「あらん、ここが感じるのね」  とか言いながら……。  ちがう! ちがう!  なに考えてんだよ。  …………。  胸もあそこも隠すわけにはいかないから恥ずかしくて、見られるくらいならずっと湯船 に浸かっていたいくらいだ。  それじゃあ、のぼせちゃうって。  でも母はまるで気にもかけていない。そりゃまあ、これまでにも公共浴場に入ったこと は数知れないだろうし……。身を分けた実の娘だもんな。 「いい? 女の子の肌はソフトに洗わなければいけないの。特にお顔は念入りに専用の洗 顔フォームを使わなくちゃだめよ。普通の石鹸はアルカリ性で肌を傷めちゃうのよ。だか ら中性か弱酸性タイプの洗顔フォームが必要なの。洗うときはよーく泡立ててから使うの よ。泡で汚れを落とすかんじよ」  とにかく一から十まで、噛んで含ませるように丁寧にレクチャーしてくれる。 「ああ……。やっぱり女の子はいいわよねえ。こんなにも色白で柔肌で、もちもちっとし た感触が最高よ。それに何より一緒に入れるのがいいわよね。これからも一緒に入りまし ょうね」  あ、あのねえ……。 「弘美ちゃん、いいわよね?」  なんて目をじっと見つめられて真剣に尋ねられたら、 「う、うん」  と、答えるしかないじゃないか……。  しようがない、お願いを聞いてあげよう。親孝行の一貫ということで、母親だし。 「だめだめ、だめよ!」  風呂から上がって身体を拭っている時だった。 「身体はともかく、お顔はそんなにごしごしやったらだめじゃない。刺激には一番敏感な 肌なのよ。いい? そっとタオルで押さえるようにするの。押さえるようによ」  とにかく、一つ一つの動作にチェックが入る。  なんて面倒なんだ。  さらにはドレッサーの前に座らされて、就寝前のお肌の手入れだった。 「中学生に化粧は必要ないとは言うけれど、お肌を常に最高の状態に保つためには、やは り手入れは絶対よ。アルカリに傾き加減の肌を弱酸性にするためのローション。入浴で失 ったお肌を覆っていた脂肪を補って、水分の蒸発を避けるための乳液。ちゃんと毎晩しっ かりと手入れをしなくちゃ」  もう……うんざり。 「聞いてるの?」 「聞いてるよ」 「はい! これで完璧よ」  母から解放されたのはそれから三十分後だった。  女の子としての在り方のうんちくをさんざん聞かされた。  こんなことが毎日繰り返されるのだと思うと……。  頭が痛い! 「だから、わたしがあなたのそばに付き添っているのよ」  ヴィーナスの声が聞こえたような気がした。  いや、確かに脳裏に語り掛けてきたようだ。  いついかなる時も、ヴィーナスの庇護下にあるようだ。  パジャマに着替えようとタンスを開けてみると。  ない!  以前着ていた男物の衣類が一切なくなっていた。  捨てられた?  学校に行っている間にだろう。  女の子になったからには、もう必要のないものとはいえ、愛着のある服もあった。それ を無断で処分されては気分を害された感じ。 「いつまでもうだうだ言ってんじゃないよ。いい加減あきらめな」  ヴィーナスの声だ。  四六時中監視されているというところかな。  ところで女神も寝るのだろうか?  酒なんか飲んで酔っ払っているところをみると、いかにも人間臭いからやはり寝るんだ ろうな。  しようがねえな……。 ポチッとよろしく! 11

2019年12月25日 (水)

あっと!ヴィーナス!!第五章 part-4

あっと! ヴィーナス!!
第五章 part-4  楽しい夕食のはずだった。  母のお手伝いをして、自分が包丁を入れて料理の下ごしらえをしたのだ。  それはそれでいいとして、問題はここにいる……。 「ヴィーナス! なんでおまえが夕食の席に並んでいるんだよ! それもお父さんの席に 陣取りやがって」 「ん?」  ヴィーナスの前には、酒瓶が並んでいる。  しかもすでにできあがっている。 「いまなんかいったかろー」  酔っ払ってるじゃんか。  人の家に勝手に上がり込んで勝手に酒飲んで酔っ払って、こいつは一体なに考えてんだ か。 「弘美ちゃん、いいのよ。わたし達の願いをかなえてくれたんだもの。これくらいのこと しなくちゃね」 「そうらろ……しなくたいかぬのらろ」  なに言っとるんじゃ。ろれつが回ってない。 「うらうらいってっと、ぶたにしちまうぜよ」  げっ!  豚にされたらたまらん。この酔っぱらい状態じゃ、ほんとにやりかねないぞ。  ここはおとなしく持ち上げていたほうがいいみたいだ。 「はい。ヴィーナスさまには感謝しています。今後ともよろしくお願いします」 「うむ。よろひい!」  と納得して再び酒をのみはじめる。  ほんとにこれでも女神なの?  確かに、女の子にしたり戸籍を改竄したり、関係者を洗脳したりと超人的な能力を持っ てはいるようだけど、人格というか神の資質に問題があるんじゃない?  きっと男女の生み分けの際にも酔っ払ってたとか?  ありうる!  ひとしきり飲んで酒がなくなった後にヴィーナスは帰っていった。  この調子だったら、酒にありつこうと毎晩やってくるんじゃないだろうか。ただでさえ お母さん達は、感謝感激雨霰ってかんじだもんな。 「ねえ、お母さん。大丈夫なの?」 「なにが?」 「酒代だよ」 「心配いらないわよ。弘美ちゃんが女の子でいられるなら、全財産を食い潰されても構わ ないくらいよ」  おいおい。それはないよ。 「それより、今夜は一緒にお風呂に入りましょうね」 「ええ! なんでえ?」 「これから女の子として暮らしていくには、いろいろと避けて通れないこともあるじゃな い。たとえば修学旅行や社会人になれば慰安旅行と、共同浴場に入ることもあるわよね。 当然自分の裸体をさらけ出すことになるし、他人の裸も目に入るわ。そんな時のために今 から経験しておかなければいけないでしょ? お母さんを相手にね」 「そりゃそうだけど……」 「それに女の子の肌や髪はデリケートだから、それなりの身体の洗い方とかも教えてあげ る必要があるの」 「そ、そんなの適当でいいじゃない」 「だめ! ちゃんとできるようになるまで一緒に入るわよ」  言い出したら利かない母の性格だった。 ポチッとよろしく! 11

2019年12月24日 (火)

あっと!ヴィーナス!!第五章 part-3

あっと!ヴィーナス!!
第五章 part-3 「疲れたあーっ!」  家に帰りついて、ソファーに寝そべるようにして、足の疲れを癒す。  とたんに、 「弘美ちゃん、はしたないわよ」  と注意される。 「へい、へい」  起き上がって、腰掛けるように座ると、 「両足は広げずにちゃんと揃えてね」  となる。  女の子としての躾に、一所懸命なのは理解できるけど……。  ああ、女の子ってなんて面倒くさいんだ。  なんて考えていると、 「はい、弘美ちゃん」  何か手渡された。  広げてみると……。 「エプロンじゃない……」 「そ、夕食の支度のお手伝いね」 「な、なんでえ! 今まで、そんなことさせなかったじゃない」 「お料理は、女の子のたしなみよ。お手伝いしてもらいながら、少しずつ教えていくから ね」  そんなの男女不平等だよ。  男が料理したっていいんだから。  女の子だからっている理由だけで……。 「はい、はい。お台所へ行きましょう」  しかし、母さんには通用しないみたい。  ヴィーナスじゃないけど、このあたしを女の子として人前に出しても恥ずかしくないだ けの躾をしようと一所懸命なのだ。  ほとんど強引に台所へ連れていかれて手伝いをさせられるはめになった。  それから包丁を持たされて、下ごしらえとしてにんじんやら肉などのカットをやらされ た。  手伝いをすること小一時間。  そのうちに三々五々家族達が帰ってくる。 「母さんのお手伝いか。弘美ちゃん、えらい!」  そう思うなら兄さんも手伝えよ。  しかしそれっきりリビングに行ってしまった。  母も兄弟達には手伝わせる気はないようだ。 「いいわ。弘美ちゃん、テーブルにお皿を並べて頂戴」 「うん……」  すでにテーブルには皿や茶碗が重ねて置いてある。それを各自の前に並べていく。 「それじゃあ兄さん達を呼んできて」  兄弟は全員帰ってきていた。  母の家庭方針で、食事時間は午後七時と決められていた。  家族はそれまでに帰るか、遅くなるときは必ず連絡することになっていて、全員ちゃん と守っていた。そういった物事のけじめには、幼少の頃から厳しい母だったからである。
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2019年12月23日 (月)

あっと!ヴィーナス!!第五章 part-2

あっと!ヴィーナス!!
第五章 part-2  そこはランジェリーショップだった。  見渡せばそこは……。  可愛らしいブラジャー・ショーツから、殿方を魅了するセクシーベビードールまで。  目を覆いたくなるような女性用のランジェリーが……。  ところでランジェリー{lingerie}とは、フランス語で婦人用下着のことらしい。では 紳士用下着はなんというのだろうか? アンダーウェアでは男女とも使うし英語だもんね。  さて……?  意外と知られていないものですね。  誰か教えてよ。あたしは和仏辞典持ってない。  そもそも女性衣料品は、やたらカタカナ語それもフランス語を使いたがるのよね。それ にくらべて男性衣料品は、下着と漢字かシャツなどの英語が多いと思う。  ええい、そんなことはどうでもいいの!  今の問題は、目の前にあるこのランジェリーだ。 「ねえ、これなんか可愛くていいわよ」  と楽しそうに品選びしている。  本人よりも母の方が夢中というところだ。  自分じゃもう着ることができないとびきり可愛いものを、娘に着せて喜んでいるという 図式。  いい加減にしてほしいなあ……。  しかし……、いかにも楽しそうに娘のランジェリーを選んでいるその横顔を見てふと思 った。  そうか……。  母さんは、ずっと男六人の中でたったひとりの女性として、暮らしてきたんだったっけ ……。  女同士だけの話を共有する相手もなく。ただ一人寂しく息子達を育ててきたんだ。  すこし可哀想に思えてきた。  それだけに女の子ができたということで、これほどまでに嬉しそうな表情を隠しもせず にしているところなど見たこともなかった。  そうだね。  母さんと一緒にいる時くらいは、女の子らしくしていてあげよう。  心底そう思った。  ヴィーナスに対してはしゃくにさわるけど……。 「弘美ちゃん、ありがとう。また一緒にお買い物に行きましょうね」  帰りの車の中で母は言った。  別に母が「ありがとう」という筋合いのものではないが、一緒に楽しく買い物ができた ことへの感謝の気持ちを現したものであろう。 「うん、そうだね」  ごく自然にそう答えてしまう。  まあ、いいさ。  女の子としての躾には、ちょっとうるさいと思うこともあるけど、すべてはあたしのた め。言葉遣いはやさしいしまなざしは温かい。  親孝行も大切だよね。
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2019年12月22日 (日)

銀河戦記/機動戦艦ミネルバ 第五章 ターラント基地攻略戦 Ⅶ

 機動戦艦ミネルバ/第五章 ターラント基地攻略戦
                 Ⅶ  湿地帯の中を突き進むオーガス曹長の班。  足を取られながらも前進を続けていた。 「ようし、ここらでいいだろう。上陸するぞ」  向きを変えて、湿地帯から上がろうとするオーガス班。  およそ三分の一ほどが上陸した時だった。  森林の奥からミサイルが飛んできて、一機に命中した。  ペイント弾が破裂して、機体を真っ青に染め上げる。 『ガラン上級上等兵、命中です。行動不能に陥りました。隊より離脱して帰還してくだ さい』  通信機から指示が入った。  戦闘シュミレーションによって、攻撃を受けた場合の損傷状態が計算され、戦闘不能 と判断されて帰還命令が出されたのである。 「りょ、了解。帰還します」  隊を離脱して帰還の途につくガラン上級上等兵。  奇襲攻撃にたじろぐ兵士たち。 「な、なんだ? どうしたんだ」  オーガス曹長も例外ではなかった。 「奇襲です。森の奥から攻撃を受けています」 「森の奥からだと?」  攻撃は続いていた。  次々と撃破されて離脱する機体が続出していた。 「一時後退だ。湿地帯へ戻れ」  湿地帯へと避難するオーガス班の機体。  だが、違う方角からの攻撃が加わった。 「後方よりミサイル多数接近!」 「ミサイル?」 「対岸より発射されたもよう」 「対岸というと、サブリナ中尉か!」 「挟み撃ちです」  進むもならず、退くもならず。  進退窮まって全滅の道を急転直下のごとくに陥るオーガス班だった。  全滅だった。 「こんなのありか……? 二班から同時攻撃を受けるなんて」 「おそらく共同戦線を張られたのかと思いますが」 「共同戦線だと?」 「はい。作戦概要の禁止条項を確認しましたところ、ルール違反にはならないようで す」 「サブリナ中尉の策略か」 「そのようですね」  通信機が鳴った。 『オーガス曹長の班は、総員帰還せよ』  ミネルバからの連絡は、冷徹な響きとなってオーガスの耳に届いた。 「了解。帰還する」  ペイントまみれの機体が続々と帰還をはじめた。 「オーガス班、全滅です。総員、帰還の途に着きました」 「ふふん。天狗になっているから、こういうことになるのさ」 「これから、どうしますか?」 「共同戦線はここまでだからな。この勢いに乗ってハイネの班へ殴り込みをかけたいと ころだ」 「C班ですね」 「まあ、ハイネは個人としての戦闘能力はずば抜けて高いが、所詮はただの下士官だ。 作戦を立て、隊を指揮するなどという頭脳プレーは経験がない。ちょっとかき回してや れば、隊は混乱に陥り、士気は乱れて自滅する」 「サブリナ中尉の指揮下にあってこそのものということですね」 「その通りだ。ハイネ上級曹長、恐れるに足りずだ」  数時間後、ナイジェル中尉率いるB班と、ハイネ上級曹長率いるC班が、戦闘の火蓋 を切った。  ナイジェル中尉の予想通り、ハイネ上級曹長率いるC班は、緒戦こそ善戦したが、ナ イジェルが放った陽動作戦に見事に引っかかって、善戦むなしく敗退した。  奮戦むなしく帰還するC班を見送るナイジェル中尉。 「ようし続いて、残るD班との決戦だ。その前に補給だ。しっかり燃料弾薬を積み込ん でおけ」  負け組みが帰還した後に残された陣地は、勝ち組が自由に使っていいことになってい た。 ポチッとよろしく!
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2019年12月21日 (土)

銀河戦記/鳴動編 第二部 第四章 皇位継承の証 XI

第四章 皇位継承の証
                 XI  首都星アルデランを出立する二百隻ほどの艦隊。  アレックスを乗せたソレント行の一団である。  アルデランを出立して六時間が経過した頃、艦のレーダーにほぼ同数の艦隊が映し出さ れた。 「お迎えがきたようだ」  それはサラマンダー艦隊であった。  旗艦ヘルハウンドに乗り移り、ここまで送ってきた帝国艦隊に帰還を命じた。  それは当初の予定にない行動であった。 「さてと……。奴らが乗ってくるかだな……」  一言呟いて、サラマンダー艦隊に、予定していたコースを進軍させた。  アルビエール候国との領界に差し掛かった時だった。 「右舷三十度前方に、国籍不明の戦艦多数! その数およそ三百隻」  警報が鳴り響き、正面スクリーンには迫り来る敵艦隊が映し出された。 「やはりおいでなすったな。これで帝国内に内通者がいることがはっきりした」  帝国内には、【皇位継承の証】を持つ皇太子に生きていられては困ると考えている連中 がいるということである。彼らはどうやってかは知らぬが、海賊達と連絡を取り合って、 今回と幼少の頃のアレックスを襲って、将来邪魔となる人物であるアレックスを消しに掛 かっているのである。あるいは莫大なる身代金目的の場合もあるだろう。 「戦闘配備! 相手は国籍を隠蔽している海賊だ。徹底的にやっても構わん。しかしリー ダーと思しき艦は足止めするだけにしておけ。捕らえて首謀者を吐かせてやる」  いかに戦闘能力の高い海賊艦とて、サラマンダー艦隊とは比較にもならなかった。瞬く 間に全滅させられ、リーダーらしき数隻がエンジン部を打ち抜かれて漂流していた。  投降を呼びかけるアレックスだったが、リーダー達は無言で自爆の道を選んだ。 「こうなるとは思っていたが……。ま、確認が取れただけでよしとしよう」  海賊艦隊を全滅させて、アルビエール候国へと向かうアレックスだった。  アルビエール候国は、先代皇后の故郷であり、アレックスの故郷でもある。  領主のハロルド侯爵は、自分の甥の来訪を大歓迎した。 「これはこれは、アレクサンダー皇子。よくぞ参られた」 「今日、明日とおせわになります」 「いやいや、二日間だけと言わずに、お好きなだけご滞在なされても結構ですぞ」  血の繋がった叔父と甥という関係なのだから、もっと親しく会話してもよさそうなので あるが、幼少の頃より二十余年もの間音信不通で、形式ばった会話になるのは仕方のない ことだった。 「メグも一緒だと思っていたのですが」  もちろんメグとはマーガレット皇女のことである。 「いや、皇女は謹慎処分が完全に解けていないのです」 「それは残念です。次の機会には兄妹ご一緒にどうぞお越しください」 「ぜひ、そうさせて頂きます」 ポチッとよろしく!
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2019年12月20日 (金)

冗談ドラゴンクエストII 冒険の書・2

冗談ドラゴンクエスト II
冒険の書・2


ナレ「さあ、冒険のはじまりです!」 勇者「そうだな。まずは仲間集めだな」 ナレ「最初の仲間は西にあるサマートリアにいます」 勇者「よし、早速行くぞ」 ナレ「と、どんどん西へ突き進む勇者……って、待ってください。まずは城の近辺でレベ ル上げしましょう」 勇者「かったるいわい!このまま進むぞ」 ナレ「ああ、言ってるそばから……モンスターが現れた。おおかたつむり、ドラクンが現 れた」 勇者「ちょこざいな。それ」 ナレ「勇者の攻撃。ミス!おおかたつむりに、ダメージを与えられない!」 勇者「しまったあ!武器を装備するのを忘れてた」 ナレ「ゆうしゃは、しんでしまった!」 勇者「ちくしょう!」 ナレ「遺体は自動的に城へと運ばれる」 勇者「自動的にって、誰が運んでるんじゃ」 ナレ「ほらほら、王様が復活してくれますよ」 王様「おお、ゆうしゃ!しんでしまうとは、なさけない……。    そなたに、もういちど、きかいをあたえよう。    ふたたびこのようなことがないようにな。では、ゆけ!ゆうしゃよ」 勇者「あのなあ、そんなに言うなら。強力な武器と防具をよこせっつんだよ」 王様「おうじ、ゆうしゃよ。よくぞ、ぶじで、もどってきた。    ゆうしゃがつぎのレベルになるには、あと12ポイントのけいけんが、ひつようじ ゃ。    そなたに ふっかつのじゅもんを おしえよう! なへげ じむお がもよぐ ざれが げじび ゆけわ    そなたが ハーゴンをたおしてくるひを たのしみ まっておるぞ!では またあ おう わがむすこよ」 勇者「ちっ。話しかけたら復活の呪文かよ。モンスターを一匹も倒してないのに、意味ね えじゃん」 ナレ「まあまあ、旅を続けましょう。今度はちゃんと装備して、レベルアップしましょう ね」 勇者「かったるいなあ」 ナレ「そして再び城を出て旅立つ勇者」 勇者「まずは城の近辺でレベルアップだな」 ナレ「そうそう。ほらモンスターが現れましたたわ。スライムが3匹です」 勇者「まかせろ!」 ナレ「次々と襲い掛かるモンスターを倒してゆく勇者」 勇者「これでどうだ!」 ナレ「モンスターを倒した。チャリラリラン♪」 勇者「おお、きたきた。天からの祝福の鐘」 ナレ「ゆうしゃは レベルが 上がった。ちからが2ポイントあがった!すばやさが1あ がった!さいだいHPが 9ポイント ふえた」 勇者「しかし、せこいなあ。この調子だと、ルリザの町に行くのに3日以上かかりそうだ。 メタル系とかでねえのかよ。死ぬかもだけど、倒せば一気にレベルアップできるのによ」 ナレ「無理、言わないでください。メタルスライムが出現するのは、サンブルグ地方に行 かないと」 勇者「サンブルグっていうと、お姫さまのいるところか」 ナレ「そうなりますね」 勇者「で、美人か?」 ナレ「そんな事聞いてどうなさるのですか」 勇者「ブスなら別の仲間を探す」 ナレ「無駄なことです。決められたストーリー、決められたイベント、それがドラクエII のシステムです」 勇者「せめて、ある程度自由のあるⅢの主人公になりたかったよ」 ナレ「諦めてください。さあ、物語を続けましょう」 勇者「しょうがねえ……。夢遊病者のサマートリア王子に会いにいくか」 ナレ「夢遊病者?」 勇者「物語を端折ると、ルリザの町で情報収集⇒サマートリア城王様面会⇒勇者の沼の洞 窟⇒ルーラシア城王様面会⇒ルリザ宿屋、と廻ってサマートリア王子と出会ったのであっ た」 ナレ「ちょ、ちょっとお。わたしの仕事を取らないでください」 勇者「とにかくだ。サマートリア王子はじめまして、だな。夜露死苦(キ ̄Д ̄)y─┛~~~」 王子「ええと……何か判りませんが、はじめましてよろしくお願いします」 ナレ「と、というわけで、二人の王子の冒険がはじまったのでした」 ポチッとよろしく!
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2019年12月19日 (木)

あっと!ヴィーナス!!第五章 part-1

あっと! ヴィーナス!!(11)

第五章 part-1 「弘美ちゃん、足を合わせてみて」  ここはシューズフィッターのいる靴屋さんだ。  学校から帰るとすぐに母に連れられてやってきた。  歩くことは毎日の生活と健康の要であり、その足を収める靴はぴったりと合っていなく てはならない。  シューズフィッターに足型を取られたり、見本の靴で店内を歩き回ったして具合を確か めたりしたあげくに、これが最適という靴を示されたのだった。  通学用の黒色の革靴と、私用の可愛いデザインの黒色の革靴、そして可愛いデザインで 明るいパステルカラーの靴との三足。  そろりと足を靴にいれてみる。 「ちょっときついかな……」 「これくらいが丁度よろしいかと思います」 「そうよ。朝と夕では足の大きさが変わるのよ。むくんじゃうのよね」  朝起きた時と夕方では、足のサイズが変わっているということは、シューズフィッター の基本常識だ。 「そうなの?」 「はい。おっしゃるとおりです」 「ちょっと歩いてみなさい」 「またなの?」  靴を選ぶのにさんざ歩いた後だからもううんざり気分だった。 「だめよ。ちゃんと合ってるかどうかを確かめてから買わないと後で後悔することになる んだから」  それから三足それぞれ履いて店内を歩き回って、結局その三足を買うことに決めた。 「通学用は、もう一足はないと困るから、今の靴の様子を見ながら、いずれまた買いまし ょうね」  はいはい。  もう疲れたよ。  だいたいからして、朝から履き慣れない革靴で歩き続けて、棒のようになっていたと言 っても過言ではない。  靴の入った買い物袋片手に、母の運転する車に乗ろうとすると、 「弘美ちゃん、そんな乗り方しちゃだめよ。来るときに注意したでしょ」  と叱られた。  車に足から入ったからだった。  女の子が車に乗るときは、まず後ろ向きに足を揃えながら、スカートが皺にならないよ うに注意しながら(つまり手を添えて)、お尻からシートに座って、おもむろに両足を車 の中へ運び入れる。  誰も見てなきゃどうでもいいじゃないかと思うのだけどね。 「だめだめ、身だしなみというものは、常日頃からしっかり身につけていないと、いざ素 敵な男性にドライブに誘われた時に、墓穴を掘ることになっちゃうわよ」  あのねえ……。  なんでいきなりそんな話しになるんだよ。十年早いよ。  一旦降りてから、もう一度女の子らしい乗り方をする。そうしないと乗せてくれないの よね。もう……。 「ええと……。まだ時間があるわね」  腕時計を見ながらあたしを見つめた。  な、なに? なにかあるの……。 「ついでだから、もう一件回りましょうか」  と言って車を走らせた。 「どこ行くの?」  尋ねてみると、 「行けば判るわよ」  答えてくれない。にこにこと微笑みながら鼻歌まじり。
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2019年12月18日 (水)

あっと!ヴィーナス!!第四章 part-3

あっと! ヴィーナス!!

第四章 part-3  さて音楽と言えば、リコーダーと歌。  リコーダーはまあいいとして、問題は歌だよね。  自分の声を出さなければならないから恥ずかしいな。  自分自身の声というものは、人の耳にどのように聞こえているか、自分では理解できる ものではない。  例えばテープレコーダーなどに録音した自分の声を聞いて、『この声、ほんとに自 分?』と、感じたことのある人は多いだろう。しかし他人がその録音を聞けば、間違いな くその人の声だと言う。  みんなは可愛い声だという。  でも自分じゃ判らないんだよね。  MDプレーヤーがあるから、今度録音して聞いてみようっと。  ぞろぞろと女の子が連れ立って音楽室へ移動する。  女の子というものは、何事にも仲良しグループで行動することが多い。  そのメンバーは、双葉愛、西条明美、新川美奈、そして弘美の四人。  これがヴィーナスの選んだ仲良しグループというところだろう。  他愛のない話をしながら廊下を歩いて音楽室へ。  でもって現われた音楽教師がこれまたヴィーナスだった。  いい加減にしろよ。  と言いたくなった。  しかしながらもピアノ伴奏する腕前は、本物だった。  意外だな……。 (神に不可能はないの)  意識を操作してそう思わせてるだけじゃないか? (ピアノは女神の必修科目なの)  嘘付くなよ。幼稚園か小学校の教諭じゃあるまいし。 (いい加減にしなさいよ)  はん! 「それでは相川弘美さん。歌っていただきましょうか」  え? 「弘美がんばってね」 「弘美の素敵な声を聴かせてね」  ちきしょう……横暴女神め。  とはいえ、今は音楽の授業時間だ。個人として歌わせるのは教師の授業采配の一つだ。 歌わなければ授業成績に響くというものだ。  ピアノ伴奏がはじまる。 「♪♪なじーかはしーらねーど……♪♪」  みんな静かに歌を聴いている。  うーん。自分の歌声がどんなものか……聴いてみたい気分。  歌い終わったと同時に拍手喝采だった。  あ、どもども。  ちがーう。 「弘美さん。素敵な歌声をありがとう」  へい、へい。 「それじゃあ、次は……」  音楽の授業が終わった。  ホームルームへ戻りながら愛ちゃん達がさっきの歌について誉めてくれた。 「弘美、相変わらず奇麗な声だったわよ」 「そうそう、ほんとうらやましいわ」 「顔も可愛いけど、声も可愛いのよね」  そ、そうか……。  て、てれちゃうなあ。 「そんなことないよ。愛ちゃんも可愛い声してたし……」  そんなこんな話をしながら、廊下を歩いて行く。  女の子同士、他愛のない話。  それにしても女の子はどうしてグループを組みたがるのだろうかと思いながら……。
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2019年12月17日 (火)

あっと!ヴィーナス!!第四章 part-2

あっと! ヴィーナス!!

第四章 part-2 「あなたの魂胆なんかみえみえですよ。わたしを誰と思ってますの。女神なんですから ね」 「心を読んだな」 「何かをやらかしそうな感じがしましたからね。それにそんな事しても無駄です。また記 憶を消せばいいことですから」 「どうして時間を止めた?」 「あなたにいいようにさせないためです」 「おまえにそんな能力があったのか?」 「わたしには時間を操ることはできません。時間を管理しているのは時間管理局のディア ナです」 「なのになぜ?」 「ディアナから授かったこのイヤリングのおかげです。これが時間を一時的に止めるスイ ッチになっています」 「そのイヤリングを使えば、あたしにも時間を止められるのか?」 「それは不可能です。女神の持つアイテムを使用するには、女神エナジーが必要なのです。 盗んでもしかたありませんよ」  ちぇっ、見透かされたか……。 「それにしても何で教師になってまで、どうして俺に付きまとう? 女の子に戻したらそ れでいいじゃないか」  弘美はあえて男言葉で詰問した。 「それはあなたの心です」 「こころ?」 「今しがた男の子のように振る舞った、そういう態度を改心させるためにここにいるので す」 「どういうことだ?」 「身体の方は女の子に戻しましたが、心の中までは女の子にすることができません。です からあなたが間違った方向、つまりわざと男の子のふりをするような事のないように監視 しているのです」 「余計なおせわじゃないのか?」 「わたしは、あなたを身も心も美しい真の女性に生まれ変わらせるためなら、天空の狭間 の虚無の世界に落ちてもいいわ」  ほんとかよ! 「じゃあ、落ちろよ。真の女性になってやるから」 「うそよ」  あのなあ……。  女神が嘘をついていいのかよ。 「いいに決まっているじゃない」  心を読むなよ。 「勝手でしょ」 「あーっ! もう、うっとおしい」 「どうしたの? 弘美ったら大きな声をだして……」  え?  愛ちゃんが心配そうに覗きこんでいる。  あれ? いつの間に戻ったの。  ヴィーナスもいないし。 「ホームルーム中ずっと居眠りしているなんて度胸がいいわね」 「居眠りしてた?」 「女神先生、可哀想だから寝かせておいてあげましょう、っておっしゃってさあ。やさし い先生だよね」  どこがじゃ……。  それにしても……。  もしかしたら、時間を止めたのではなくて、眠らせて意識に直接語り掛けていたのでは ないだろうか。 「弘美に愛。一時限目は、音楽だよ。そろそろ教室移動しなくちゃ遅れちゃうよ」 「わかった、弘美行こう」  と手を引く愛ちゃん。 「待ってよ。教科書と笛……」  まあ、なんにせよ……。  クラス全員は、あたしを女の子として認知していることが判った。  この時点で相川弘美は、栄進中学の女子生徒として、学校生活には何不自由しないこと が理解できた。まずは一安心だ。
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2019年12月16日 (月)

あっと!ヴィーナス!!第四章 part-1

あっと! ヴィーナス!!

第四章 part-1 「さて、みなさん。恒例というか自己紹介をお願いしますね。出席番号順にしましょう」  と言いながら出席簿を広げた。  出席順だったら、弘美は相川だからいつも一番に呼ばれるはずだった。  しかし……。 「相田康平君」 「はい」  と呼ばれて立ち上がる相田君。  はーっ……、とため息をつく弘美。  どうやら男子から女子の欄に出席を移行してあるみたい。  ヴィーナスに手抜かりなしか。  やがて男子が終わって、女子の番となった。 「相川弘美さん」  やっぱりね……。  ちょっと悪戯してみたくなった。 「俺の名前は相川弘美だ。つい昨日の朝まで男をやっていた。こんなことになったのはそ こにいる女神奇麗とか言う教師のせいだ。実は信じられないだろうが、ヴィーナスという 女神で男から女の子にされてしまった……」  とここまで言いかけて異様な雰囲気を感じて、言葉を飲み込んだ。  自分の声以外何も聞こえないのだ。  生徒達のざわめき、運動場からの体育の掛け声、窓際に茂っている木々の風にそよぐ音。  一切が消えていた。  しかも教室を見回してみると、生徒達さえも動きを止めていたのだ。  鼻くそをほじくっている生徒。  背中がかゆいのかシャツの襟から手を突っ込んでいる生徒。  髪の毛の手入れに余念がない生徒。  あくびをして大きく口を開け、手で隠している生徒。  みんな固まったまま微塵も動かない。  自分のまわりだけが時間が止まっていた。  すべてヴィーナスのせいか?
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2019年12月15日 (日)

機動戦艦ミネルバ 第五章 ターラント基地攻略戦 VI

 機動戦艦ミネルバ/第五章 ターラント基地攻略戦
                 VI  A班は、リーダーのオーガス曹長を中心にして、地図を広げながら作戦会議を行って いた。 「ポイントは密林の中央に広がる湿地帯だな。これをいかに利用するかに、作戦成功の 鍵が秘められていると言っても過言ではないだろう」 「敵を湿地帯の中へ誘い込むのですか?」 「そういう手もあるが、俺は逆のことを考えている」 「逆といいますと?」 「例えば、脳細胞の単純なナイジェル中尉などは、猪突猛進で真っ直ぐ俺たちの班に向 かってくると思う」 「まあ、それは言えてるかも知れませんね」 「そこでだ。我々はわざと湿地帯の中を通って、ナイジェル中尉の背後に回り込んで奇 襲を掛けることができるだろう」 「つまり最初のターゲットはナイジェル中尉というわけですね」 「その通りだ。性格も良く判っているし、どう動くかも予想がつき易い」 「ところでサブリナ中尉は、どちらに動きますかね?」 「判らんが、心配しても仕様がないだろうし、こちらが湿地帯を突き進んでいることま では想像もしていないだろうし、空になったベースキャンプで地団太踏むだけさ」 「ハイネ上級曹長の班は?」 「対角線上側にいる相手は、とりあえず考えなくてもいいんじゃないかな。我々がハイ ネ上級曹長と一戦交えるのは、ナイジェル中尉を片付けてからだ」  という具合に作戦会議に余念がない。  それに対して他の班は、武器や機体のチェックに余念がない。  A班が作戦に固執しているのに対して、他の班は直接戦闘に関わることを考えている ようだった。  ミネルバの艦橋のスクリーンには、そんな各班の動きがモニターされて投影されてい た。 「A班は余裕ですね」 「まあ、考えは人それぞれですから」 「艦長。時間です」  オペレーターが戦闘開始時刻を告げた。 「はじめてください」  フランソワのその一言によって、戦闘開始の狼煙があがる。 「AからD班、戦闘開始せよ」  通信を入れるオペレーター。  勇躍として密林へと繰り出していく各班のモビルスーツ隊。  オーガス曹長のA班と、ナイジェル中尉のB班が、互いに接近するように進撃してい た。そして、中間点に差し掛かる頃、作戦通りに湿地帯に迂回するA班だった。B班の 背後に回り込む作戦を実行していた。  その頃、ハイネ上級曹長はまったく動かずに、何やら工作活動らしきことをやってい た。  そしてサブリナ中尉はというと……。 「ナイジェル中尉、聞こえるか?」 『何か用か?』  B班のナイジェル中尉と通信回線を開いて交信中だった。 「提案があるのだが」 『提案?』 「ここは一つ共同戦線といかないか?」 『共同戦線だと?』 「そうだ、四班入り乱れての戦闘は何が起こるか判らない」 『まあ、そうだろうな』 「そこでだ。我々二班が共同でオーガスかハイネのどちらかを叩く。数の上で二倍にな るから勝利は確実だ」 『ルール違反にならないか?』 「いや、この戦闘訓練の作戦概要の禁止条項には含まれていない」 『いいだろう、共同戦線といこう。で、どちらから仕掛ける?』 「オーガス曹長の班を先に叩く」 『ふん。それもいいかも知れないな。こしゃまな口を塞いでくれるわ』 「奴は、湿地帯の中を通って、B班の後背に回り込む作戦だ」 『湿地帯だと? なるほど奴の考えそうなことだな』 「湿地帯から上陸する出鼻を森に潜んで集中攻撃すればひとたまりもないだろう。私は、 湿地帯の中にいるものや、逃げ込んでくるのを攻撃する」 『なるほど、いい作戦だ』 「そちらの攻撃開始を合図に、こちらも攻撃を開始する」 『わかった。多少こちらに分が悪いが、奴の動きを教えてくれたことでおあいことしよ う』 「ハイネ上級曹長の動きが見られないのが気になる。慎重を期したほうがいいだろう」 『ハイネか。無口な奴だからな。何を考えているのか判らん』 「まあな……。それじゃあ、武運を祈る」 『そちらこそな』  通信を切断して、腕組みをして考え込むサブリナ。  やがて腕組みを解いて再び通信機を操作する。 「カリーニ少尉!」  副隊長のカリーニを呼び出す。 『はっ! カリーニです』 「進行状況はどうなってるか」 『はい。遠距離攻撃用のミサイルへの換装は終了しております。残るブラスター砲の調 整もまもなくです』 「まもなく戦闘開始だ。急いでくれ」 『わかりました』  その頃、ナイジェル中尉の班は湿地帯から攻めてくるはずのオーガス曹長の班に対す る迎撃体制を整えていた。 「中尉。湿地帯の方角にエネルギー反応です」 「来たか。十分引き付けてから攻撃を開始する。上陸するその時を狙うのだ」 「了解!」  通信を終えて、 「さすが作戦巧者のサブリナ中尉だ。鋭い読みをする」  と、しきりに頷いていた。  いずれ戦わなければならないとは知りつつも、今は目前の敵に集中すべきだと、意識 をオーガス曹長との戦いに専念することにした。 ポチッとよろしく!
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2019年12月14日 (土)

銀河戦記/鳴動編 第二部 第四章 皇位継承の証 X

第四章 皇位継承の証
                 X  宮殿謁見の間。 「アレックス、だいぶ活躍しているようですね」  エリザベスは、統制官大号令によって貴族達の反感が高まってきているのを知っていた。 貴族達からの陳情もあったが、あえて是正はしなかった。  ひたひたと押し寄せてくる外敵からの脅威に備えなければならないのは、ジュリエッタ が襲われたことからしても、身に沁みて感じていたからである。 「はい。総督軍なり連邦軍との戦争が間近に控えているというのに、平和的ムードに浸っ ている人々があまりにも多いので、致し方なくはっぱを掛けております」  すると大臣の一人が意見を求めた。 「統制官殿は戦争が間近だとおっしゃられたが、連邦・共和国双方とは友好通商条約を締 結しており、戦争の危惧はないはずですぞ」  大臣達は、貴族達の代弁者でもある。何かにつけて統制官たるアレックスのやることに 異論を訴えていた。 「条約はいずれ破られるものです。過去の歴史をみれば判るでしょう。ジュリエッタ皇女 が襲われたことは知らぬとおっしゃられるか?」 「いや、あれは海賊の仕業だということだが……」 「連邦軍ですよ。連邦艦を偽装して海賊に見せかけてはいるが、内装やシステムは紛れも なく連邦のものです。搾取した艦艇を調べて判明しました。総督軍は着々と侵略に向けて の準備を進めています」  さらに大臣達に脅しをかけるように強い口調で言った。 「もし仮に帝国軍が敗れるようなことになれば、貴族達のすべてが爵位を剥奪され、領地 や土地を没収されてしまいます。よろしいのですか?」  さすがに反論はできないようであった。 「私は、共和国同盟において連邦軍と戦い、同盟が滅んだ今もなお解放戦線を組織して戦 い続けています。解放戦線の情報部からは、リアルタイムで連邦軍や総督軍の動きが、逐 一報告されてきているのです。総督軍の帝国侵略近しとね」  実際に戦い続けてきた解放戦線最高司令官としての発言は、重厚な響きを持っていた。  静まり返る謁見の間。  統制官執務室に戻ったアレックス。  窓辺に佇みながら、眼下の宮殿参りの貴族達の行列を眺めている。 「戦争が間近に迫っているというのに、呆れた連中だな。己の保身のことばかり考えてい る。貢物を献上するくらいなら、民衆にほどこしをするなり、税金を下げるなりしないの だ。賄賂が横行し腐敗政治となっている委任統治領も少なくないという。いっそのこと統 治領を輪番制にして、三年なり四年の任期で、どんどん頭を挿げ替えればいいのかも知れ ないな」 「それは軍部統制官の職務からはずれます」  そばに控えていた次官が忠告した。 「判っている。言ってみただけだ」  軍部統制官の仕事だけで、問題が山積みとなっているのである。 「国政のことを考えている暇はありません」  とでも言いたげな次官の表情である。 「国政に関しましては、皇太子におなりになられた時に、改めてお考えになってくださ い」 「ああ、そうだな……」  それがいつになるかは判らないが……。 「さてと……。明日、明後日は故郷へ里帰りだ。留守の間のことは、予定通りに進めてお いてくれ」 「かしこまりました」  故郷とは、アレックスが生まれ育った土地である。アルビエール候国ハロルド侯爵の領 地、惑星ソレントである。  アレックスがこの大切な時期に、ソレントへの渡郷を決断したのには理由がある。  あることを確認しようと考えたからである。
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2019年12月13日 (金)

冗談ドラゴンクエストII 冒険の書・1

冗談ドラゴンクエスト II
冒険の書・1


 電源スイッチを入れる。  ENIXSO PRESENTS から、スタートとコンティニュー及び MESSAGE SPEED 選択画面。  スタートを押せば、名前入力画面だ。  もちろん、勇者だぜい!  ひらがな入力しかできないけど……。  入力が終われば物語のはじまりだ! ナレ「ある日、ルーラシア王国に一人の傷ついた兵士がたどり着きました」 兵士「ルーラシアの王様!大神官パーゴンの軍団が我がサンブルグのお城を!大神官パー ゴンは、まがまがしい神を呼び出し世界を破滅させる気です!王様、何とぞご対策を…… ぐふっ(行き倒れる)」 国王「王子、勇者よ。話は聞いたな?そなたもまた勇者ロトの血を引きしもの。その力を 試される時がきたのだ!旅立つ覚悟が出来たならついてまいれ」 ナレ「と言って、階段のところへ行き、勇者を待っている」 勇者「なんだ、ドラクエII(FC版)の冒頭じゃないか」 ナレ「と言いながら、耳をかっぽじっている」 勇者「どうでもいいぞ」 ナレ「とにかく近くの者に話しかけるのが、RPGの原則です」 勇者「おい、そこのじじい」 じい「勇者王子!じいは、王子と離れるのがつろうございますぞ!」 勇者「おい、そこの衛兵」 衛兵「旅のご無事を祈っております。勇者王子さま」 ナレ「で、何度も話しかけても、壊れたレコードのように決まり文句を繰り返すだけ」 勇者「どっか、遊びに行くか」 ナレ「しかし、たった一つの出入り口である階段は王様が塞いでいます」 勇者「非常口とかねえのかよ。消防法違反だぞ。しようがねえなあ、おい王様とやら」 ナレ「話しかけようと近づくと、スッと階段下へと消えてしまいます」 勇者「逃げるなよ!」 ナレ「追いかけて階段下に降りると」 王様「さあ、その宝箱を開け、旅の支度を整えるがよい。サマートリアとサンブルグには、 同じロトの血を分けた仲間がいるはず。その者たちと力を合わせ邪悪なるものを滅ぼして まいれ!」」 ナレ「階段脇には、これぞとばかりの宝箱が置いてあった」 勇者「おい!ナレーション、聞いているか?」 ナレ「な、なんでございましょうか」 勇者「冒頭シーンを一度で書きとめられたか?」 ナレ「え、いや。台詞がどんどん流れてしまうもので、何度もリセットして最初からやり 直して書き留めました」 勇者「だろうな。だがよ、取扱説明書にストーリーとしてちゃんと書いてあるんだぜ。無 駄な苦労したな」 ナレ「はあ……後で気が付きました(ゞ(´Д`q汗)+・.」 勇者「ところで聞くが、ファミコン持ってるのか?」 ナレ「はい。スーパーファミコンも持ってます」 勇者「物持ちだな。ソフトは?」 ナレ「はあ、ドラクエとFFのシリーズばかりですが……他のが数本」 勇者「わかった。で、俺はこれからどうすればよい?」 ナレ「と、申されましても……まずはそこの宝箱を開けて」 勇者「宝箱を開けなくとも知っているぞ。どうのつるぎ1本と50ゴールドしか入ってな いじゃんか」 ナレ「町の人々から情報を得るのがRPGの常道ですが」 勇者「どうせ娘に、『セックスしようぜ』とか話しかけても、『ああ、勇者王子さま、行 ってしまわれるのですね……わたしはせつのうございます』としか言わないからな」 ナレ「と申されましても……」 勇者「まあいいや。この宝箱は一応貰っとくか」 ナレ「と、宝箱を抱える勇者?ちょっと宝箱ごと持っていくのですか?」 勇者「だってよ。宝箱開けても、宝箱は消えるじゃないか。つまり宝箱ごと持ち去ったと いうことだろ?中身だけ取ったら宝箱は残るはずじゃないか」 ナレ「そ、それはそうですが」 勇者「まあ、何にせよ。この城内にある宝箱は全部鍵の掛かった部屋の中だからな、もう 城には用がないということだ」 ナレ「と、城下町に繰り出すのだった」 勇者「おいこら、城下町っつたって、道具屋と宿屋、そして犬がいるだけじゃないか」 ナレ「まあ、そんなこと言わずに」 勇者「まったく……。おい、そこの道具屋」 道具屋「ここは、どうぐやです。どんなごようでしょうか?」 勇者「やくそうをくれ!」 道具屋「すいません。それをかうにはおかねがたりませんが……」 勇者「おっと、まだ宝箱の中から金を取り出してなかったな。いや、待て!俺は、王子だ ぞ。王子から金を取るのか?」 道具屋「15Gになります」 勇者「ただでくれ!」 道具屋「すいません。それをかうにはおかねがたりませんが……」 勇者「しようがねえ」 道具屋「では、またのおこしをおまちしています」 勇者「そこの宿屋!」 宿屋「たびびとのやどにようこそ。ひとばん4ゴールドですが、おとまりになりますか?」 勇者「もういい!そこの犬!」 犬 「わん わん わん!」 勇者「まったく。世界を救えといいながら、ろくな武器も金もくれねえ上に、王子から金 を巻き上げようとするとは。仲間が死んだら死んだで、また金とるんだよな」 ナレ「まあまあ、そう言わずに。これがドラクエの世界観なんですから」 勇者「うるせえ!俺は勝手にやらせて貰うぜ」 ナレ「と、大手を振って城の外へと歩みだしたのであった」
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全身性エリテマトーデスとは?

自分が患った【全身性エリテマトーデス】とはなんぞや?
というわけで、病名判定基準を見てみましょうか。


全身性エリテマトーデス

① 顔面紅斑
② 円板状皮疹
③ 光線過敏症
④ 口腔内潰瘍(無痛性で口腔あるいは鼻咽腔に出現)
⑤ 関節炎(2関節以上で非破壊性)
⑥ 漿膜炎(胸膜炎あるいは心膜炎)
⑦ 腎病変(0.5g/日以上の持続的蛋白尿か細胞性円柱の出現)
⑧ 神経学的病変(痙攣発作あるいは精神障害)
⑨ 血液学的異常(溶血性貧血又は4,000/mm3 以下の白血球減少又は1,500/mm3 以下の
リンパ球減少又は10 万/mm3 以下の血小板減少)
⑩ 免疫学的異常(抗2本鎖DNA 抗体陽性,抗Sm 抗体陽性又は抗リン脂質抗体陽性(抗
カルジオリピン抗体、ループスアンチコアグラント、梅毒反応偽陽
性)
⑪ 抗核抗体が陽性

[診断の決定]
上記項目のうち4項目以上を満たす場合,全身性エリテマトーデスと診断する。
提供:難病情報センター

 ということなのですが、私の場合1・4・5・6・9・10・11とほとんどの症例が該当
しました。
①では、もう恥ずかしいくらいに、頬から鼻にかけて赤い発疹ができていました。
④では、口腔内潰瘍で咀嚼が難しくて、本来全飯のところをお粥に変えてもらいました。
⑤では、腕を肩から上に上げられないし、膝の関節が異常に腫れていました。筋無力症
で起き上がれなかったり、歩けなかったりしてこれで入院。
⑥では、肺炎と胸膜炎で入院しました。X線写真を見ましたが、蜘蛛の巣状の白い影が
肺の全面を覆い尽くしていました。
⑨では「よく生きていたね」と医者に言われるくらい白血球などが極端に減少していた
らしい。
⑩では、もう一つの難病である抗リン脂質抗体症候群に掛かっています。血液が固まり
やすくなって、血栓症などに掛かりやすくなります。
⑪では、完璧な陽性。抗ds-DNA抗体、補体など血液検査では、もうめちゃくちゃだ
ったらしい。自己免疫疾患である膠原病の有力な指針である。


 というわけでめでたく? 全身性エリテマトーデスという診断が下ったのでした。

 次回から、そんな診断が下る前の、悲惨な病気遍歴を紹介します。

2019年12月12日 (木)

あっと!ヴィーナス!!第三章 part-5

第三章 part-5

「あ! 沢渡君よ」
 と、明美が指差す先には、校内随一いや川越市で一番の暴れん坊の沢渡慎二が歩いてい
た。高校生だって恐れおおのく、二つ名で「鬼の沢渡」と呼ばれる荒くれ男だ。彼に睨ま
れたら、骨の二三本も折れれば恩の字で即病院送りは確実。見てみろよ、男達は彼が通れ
ば道を開けてびくびくしている。
「沢渡君、おはよう!」
 美奈が挨拶する。
 おいおい!
 関りになりたくない。
「ああ……おはよう」
 ぼそりと答えて行ってしまう。
 あれ?
 あれが鬼の沢渡と恐れられている男か?
 あ、そうか……思い出した。
 男相手には容赦のない彼だが、女の子にはよほどのことがない限り手を挙げないことで
も有名だった。それどころか、女の子が男達に絡まれているのを見掛けると、その男達を
叩きのめし、女の子を救い出して名も告げずに去っていく。
 男達は震撼するが、女の子達には救世主なのだった。
 今の弘美は女の子だから……安心していられるわけだ。
「近寄りがたいけど、女の子にはやさしいからね……」

 きーんこーんかーんこーん♪

 学園内に予鈴が鳴り渡った。
 まもなくホームルームがはじまる。
 それぞれの教室へと入っていく生徒達。遅刻しそうになり駆けている者もいる。
 3年A組。
 それが弘美のクラスだった。
 教室に入り、いつもの席に座る弘美。いつもと言っても以前までは男として座っていた
場所だ。しかし身長が低くなった分、机がちょっと高すぎるように感じる。
 教室の廊下側の窓に、すらりとした女性のシルエットが映った。
 からりと乾いた音とともに扉が開いて入ってきたのは……。
「ああ! ヴィーナス!!」
 なんでこんなところに?
「起立!」
 クラス委員長で、生徒会会長でもある鶴田公平が号令を掛けた。
 一斉に立ち上がる生徒達。
「礼!」
「着席!」
 いつものホームルームの情景だ。しかし肝心の教師が違う。
 ヴィーナスは、チョークを手に取り、黒板に向かって文字を書きはじめた。どうやら名
前らしい。

 女神奇麗

 と書き綴った。
 おい!
 いくら何でも、その名前はないだろう。
「新任の担任の女神奇麗です。めがみ・きれいと読みます。先日寿退職した先任の先生に
変わって担任となりました」
 ちょっと待て!
 なんでヴィーナスが教師なんだよ、それも担任……。
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2019年12月11日 (水)

あっと!ヴィーナス!!第三章 part-4

第三章 part-4

「弘美、おはよう!」
 と背後から聞き覚えのある声がした。
 げっ! その声は……?
 振り返って見れば……。

 双葉愛ちゃん!

 幼馴染みの愛ちゃんじゃないかーっ。
 やばいよ、やばいよ。
 この姿、見られっちゃったよお。
「おはよう、弘美」
 あれ?
 おかしいな。
「どうしたの? 変な顔して」
「ねえ、あたしの姿見てどう思う?」
「どういうこと?」
「男の子に見えるか、女の子に見えるか」
「なに言ってるのよ。弘美は女の子でしょ」
 どうやらヴィーナスの言った通り、弘美に関係している人間の記憶を入れ替えたという
のは本当らしい。
 少し安心した。
 二人並んで教室へと歩きだす。
「弘美、おはよう」
「おっはー。ひろみぃ」
 と声を掛けてきたのは、クラスメートの西条明美と新川美奈だ。
 男の子だった時は、挨拶を交わす程度だったが、なぜか親しく寄り添ってきた。
「おはよう! 弘美」
 と次々と声掛けが続いた。
 声を掛けていくのはみんな女の子だった。

 な、なんで女の子ばかりなの?

 って、ヴィーナスが記憶操作したからだよね。
 女の子になったから、親しい友達もそれにふさわしいものにしちゃったんだと思う。
 うーん。さすがに女神を名乗るだけあるな。
 ちがーう!
 誉めてどうするんだよ。
 けなしてこそすれ、誉める対象ではなーい!
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2019年12月10日 (火)

アッと!ヴィーナス!! 第三章 part-3

あっと! ヴィーナス!!(9)

第三章 part-3  朝食を終えて学校へ行くため玄関へ。  玄関のシューズボックスを探したが、履いていくべき靴が見当たらなかった。 「おい、早くしろよ」  先に準備を済ませた武司兄さんが戸口で急かしている。 「待ってよ。ねえ、お母さん。靴は?」  以前の靴はあったが、今の女の子になって小さくなった足には合わない。26cmセンチか ら23cmになってしまった。とてもじゃないが履けたものではない。 「ああ、ごめんなさい。買ったばかりでまだ出してなかったわ。ちょっと待っててね。今 持ってくるわ」  母が持ってきた靴は、ローヒールの革靴だった。 「買ったばかりだし、あなたの足に直接合わせて買った訳じゃないからね。まだ足に馴染 んでいないから気を付けて歩くのよ。そんなに歩き回らない方がいいわね。学校から帰っ たらシューズフィッターのいる靴屋さんに行って、足に合った靴を買いましょうね。だか ら早く帰ってらっしゃい」 「わかった」  靴は一応サイズは合っているみたいだった。しかし革靴というものは、しばらく歩いて みてみないことには、真に合ってるかどうかは判らない。  ともかく玄関を出て、外へでる。  さあ、いざ出陣だ!  という感じだよな。  なにせはじめての女装外出だもんな……。それも女子制服。  違うな、今は女の子なんだから女装という言葉は合っていないよ。  家を出て、武司は黙々と先を歩いていた。 「兄さん、もっとゆっくり歩いてよ」  兄とはまるで歩幅が違っているから歩くスピードについていけず小走りになっていた。 ずっとその状態が続いたら疲れてしまう。 「おまえが、遅いんだよ」 「だってえ……」 「たけしーっ。おはよう」  突然声をかけられて立ち止まる武司。  同い年くらいの二人の女の子が笑顔で近づいてくる。  どうやら武司のクラスメートらしい。 「あらあ! その女の子はだーれ?」 「可愛いわねえ、武司君の彼女かな?」  と弘美に注目する二人。 「ち、違うよ。い、妹だよ」 「うそお、男ばかりの五人兄弟って、言ってなかったかしら」  恥ずかしくて武司の影に隠れる弘美。 「そ、そうだったかな……。とにかく妹だよ」 「ふうん……妹さんの名前は?」 「弘美だよ」 「弘美ちゃんか……。おはよう、弘美ちゃん」 「はじめましてだよね、弘美ちゃん」  と、背の低い弘美に合わせるように少し屈み込み、やさしく微笑みながら話し掛ける二 人。 「お、おはよう」 「きゃあー。かわいい!」  弘美の声を聞いて黄色い声をあげる二人。  そんな……声聞いただけで感激しないでよ。 「たけし、こんな可愛い子がいるのを黙ってるなんて、隅におけないぞ」 「そうそう、水臭いぞ」 「そ、そういうわけではないんだけど……」 「制服からすると栄進中学ね。何年生かな?」 「三年生……」 「じゃあ、来年は栄進高校に進学ね。一緒の学校になれるわね。楽しみだわ」  栄進中学が見えてきた。  校門前で立ち止まっての会話。 「弘美ちゃん。今度一緒に遊びに行こうね」 「それいいわねえ。こんな可愛い子と一緒なら楽しいでしょうね」 「二人とも行くぞ」  武司兄さんがお姉さん達を急かして、先に歩きだした。 「じゃあね、弘美ちゃん」 「弘美ちゃん、またね。ばいばい」 「さよなら」 「もう! 待ってよ」 「相変わらず冷たいのね」  二人のお姉さんは武司兄さんの後を追った。  もしかして、武司兄さん。結構人気者なんじゃないだろか……。
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