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2020年1月 8日 (水)

あっと!ヴィーナス!!第二部 第一章 part-5

あっと! ヴィーナス!!第二部
第一章 part-5

 数日後。
 ファミレスのバイトを始めた二人。
「ありがとうございました」
 バイトの仕事にも慣れて、そつなくこなしている。

「いらっしゃいませ!」
 客が入店してくる。
 その客の姿を見て、ヒソヒソと店員たちが耳打ちしている。
 それもそのはずで、来店客は黒眼鏡に頭から足まで黒ずくめの衣服を着ていたからだ。
「なにあれ。少年探偵コナンのコスプレ?」
 客が席に着いて、テーブル担当の店員が注文を取りにいく。
「これとこれと、それからこれ」
 と注文した品は、調理に時間のかかるものばかりだった。
「これとこれと、それからこれ、でよろしいですね」
「ああ、たのむ」
「かしこまりました」
 一礼して、オーダーを出しに厨房へ伝えに行く店員。
「オーダー入りました!これとこれと、それからこれ、です!」
 客は、お冷を一口飲むと、ポケットから何かを取り出した。
 写真のようだった。
 それをジッと見つめたかと思うと、店員と見比べている。
「何、あの客。うちらのこと見つめたりして、気色悪いわあ」
「もしかしたら、興信所の人?」
「ええ?じゃあ、誰かを調べているの?」
「よく観ると、新人の方を見ているみたいよ」
 確かに客は、新人である弘美と愛の動きを追っていた。
 やがて注文した料理が届くと、一口入れては観察、一口入れては観察。
 咀嚼の間中は二人を交互に観察していた。

 そうこうする内に、二人の勤務時間の終了となる。
「お疲れ様でした!」
 更衣室で制服から、自分の服に着替えて、店を出る二人。
「ふうっ!疲れたあ」
 大きく伸びをする愛。
「それにしても……あの人、なんだろうね」
「例の客?まだ食べているのかな」
「ううん……どうかな。もう食べ終わってるんじゃない?」
 談笑しながら帰り道を歩く二人。

 その時、一陣の風が吹いた。
 スカートの裾が舞い上がり、慌てて両手で抑える。
「酷い風ねえ」
 砂が目に入ったのか、目を擦っている弘美。
「きゃあ!」
 悲鳴を上げる愛。
 目を開けると、愛を抱えて走り去る黒尽くめの男。
「ああ、あの変な客だ!」
 なんて言ってる暇は無い。
 黒尽くめを追いかける弘美。
「待ちなさい!愛をどこへ連れていくの!!」
 人一人抱えて走りづらいはずなのに、黒服は軽々と走り続ける。
 じりじりと差を詰めていく弘美。
 あと一歩!
 手を伸ばした瞬間だった。
 ふわりと黒服が宙に浮かんだのだった。
 見ると黒服の背中から真っ白な羽根が生えている。
 その羽根をバサバサと羽ばたかせて、空高く舞い上がってゆく。
「天使!?」
 羽根の生えた黒服は、すでに空の彼方に消え去っていた。
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