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2020年7月

2020年7月25日 (土)

銀河戦記/鳴動編 第二部 第八章 トランター解放 II

第八章 トランター解放
II

 戦艦サジタリウムの艦橋内。
 正面スクリーンには、アレクサンダー皇太子率いる帝国・解放軍連合艦隊が迫っている
姿が投影されている。
「帝国軍、停止しました」
「敵艦隊より降伏勧告が打電され続けています」
 通信士のその言葉には、早く結論を出してくれという悲哀にも似た感情が込められてい
た。
 目の前にいる艦隊は、総督軍二百五十万隻を打ち破った艦隊である。
 しかも、あの共和国同盟の英雄と称えられているアレックス・ランドール提督が率いて
いるのだ。
 誰が考えても勝てる見込みはないと思えるだろう。
 そう……。
 司令官でさえ、そう思っているのだから。
 それを踏み留めさせているのは、連邦軍から派遣されて同乗している監察官の存在があ
るからである。
「司令官殿。判っておいでですよね」
 彼の名は、ユリウス・マーカス大佐。
 その手には拳銃が握り締められている。
 武器の持込が禁じられている艦橋において、監察官だけは武器の所持が許されている。
 そして今、その武器を構えて司令官に徹底抗戦を指図しているのだ。
 監察官の任務として、トランター総督府統帥本部からの指令を忠実に守ろうとしている。
 連邦軍三十万隻の将兵達は、本国において革命が起きた以上、ここを死守しなければ帰
る場所はない。
 しかし旧共和国同盟軍の将兵達にとっては、銀河帝国は友好通商条約国であり、ラン
ドール艦隊は同胞である。
 できれば戦わずに済めば良いと考えるのは至極当然のことであろう。
「私達に、あのランドール提督と戦えと命ずるのですか?」
 司令官のアンディー・レイン少将が念押しする。
「その通りだ」
 マーカス監察官は冷酷に答える。
 彼とて勝算はないことは判りきっていることである。
 ワープゲートを奪取されたと判った時に、奪還のために迎撃に出ることも考えたが、現
れたのは銀河最強のアル・サフリエニ方面軍六十万隻である。残存の百万隻を持ってして
も勝ち目のない相手である。
 そうこうするうちに遠征軍をものの見事に看破して、目の前に押し並べてやってきた。
 もはや逃げも隠れもできない切羽詰った状態である。
 まさか二百五十万隻の艦隊が百五十万隻の艦隊に敗れようとは思わなかったから、留守
居役を任されたとしても、気楽に考えて何の策も講じていなかった。
 結局、ランドールは百二十万隻の隠し玉を用意していて、都合二百七十万隻の艦隊で当
たったのだから勝つのは当たり前。
 残された道は、降伏か玉砕かであるのだが……。
 この際、かつての同胞同士で戦ってもらおうじゃないか。
 はっきり言って、旧共和国同盟がどうなろうと知ったこっちゃないというのが本音であ
ろう。
「どうした? 出撃命令を出さないのか」
 拳銃を握る手先に力をこめるマーカス監察官。
 その時、指揮官パネルが鳴った。
 付帯している通話機に入電である。
 即座に艦隊リモコンコードによる緊急連絡であると気づくレイン少将。
 相手は誰か?
 艦隊リモコンコードによる緊急連絡を行える艦艇は、この付近にはいないはずである。
 同様の艦政システムを搭載していて、アクセスできる相手となると……。
 ランドール提督座乗のサラマンダーしかない。
 おもむろに送受器を取るレイン少将。
「わたしだ」
 あくまでも艦内連絡かのように振舞うレイン少将。
 この連絡手段を知らないであろうマーカス監察官に気取られないためである。
『解放軍司令のランドールです』
 感が当たった。
「ああ、君か。今忙しいのだ。用件は手短にしてくれないか」
『なるほど。そばに監察官がいるのですね。それも連邦軍で、徹底抗戦を?』
「そのとおりだ」
『まさか同胞同士で戦うつもりはないでしょう?』
「確かにそう願いたいものだよ」
『では、こうしませんか。こちらから艦隊リモコンコードを送信します。それを全艦隊に
再送信して同調させてはくれませんか』
「するとなにか、君は徹底抗戦を進言すると言うのだな。勝てる見込みがあるというの
か」
『おまかせください』
「判った。そうしよう」
『では、艦隊リモコンコードを送信します』
 レイン少将は指揮パネルを受信にセットした。
 ややあってコードは受信完了した。
 そしてマーカス監察官に向かって言った。
「部下の一人から意見具申がありました」
「で?」
「帝国軍は遠征軍と一戦交えた後で、兵士達も疲弊しているはず。しかもランドール提督
にとっては、同胞同士の戦いは避けたいと考えるのが常識。そこが付け目で、十分互角に
戦えるはずとね」
「ふん」
「というわけで、あなたのご意向通りに戦闘開始することにしました」
「そう願いたいものだな」
 マーカス監察官は、レイン少将とランドール提督との密約に気づいていない。
 これから起こることに目をむくことになるだろう。
 その後逆上した監察官が取りうる行動は予想だに難しくないが、将兵達の命を救うため
にも、自らを犠牲にするもやぶさかではない。
「全艦戦闘配備! これより送信する艦隊リモコンコードに同調させよ」


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銀河戦記/鳴動編 第二部 第八章 トランター解放 I


第八章 トランター解放

 

 決戦場を離脱してから、敵艦隊の攻撃を受けることもなく首都星トランターへと近づき
つつあった。
「メビウスとは連絡が取れないか?」
「はい。ジャミングがひどくて」
「そうか……まあ、便りのないのは良い便りというからな」
 例え通信手段が妨害されていたとしても、いくらでも連絡手段はある。
 何せ彼らは、ネットワークを自由に渡り歩くことのできる連中なのだ。
 通常通信による交互通話はできなくても、情報網を撹乱・操作して、いくらでも連絡を
取ることができるはず。
 それをしないのは、計画が予定どおり順調にはかどっていて、連絡の必要性がないから
である。
 その綿密なる計画は、アレックスが絶大なる信頼を預けている、レイチェル・ウィング
大佐の脳裏の中にある。
 敵の只中に送り込んで、のっぴきならぬ背水の陣を任せたのも、その信頼の証。
 万が一、寝返ったとしても恨みはしない。
 それだけの覚悟があった。
「提督、何をお考えになっているのですか?」
 パトリシアが怪訝そうに尋ねた。
 どうやら深刻そうな表情になっていたらしい。
 今回の作戦にはパトリシアは、作戦参謀として参画していない。
 心苦しい判断ではあったがいたし方のないこと。
「今頃、彼らはどうしているだろうかと思っていたのさ」
 当たり障りのない返答をするアレックス。
「そうですね。フランソワも大役を任されて奮闘しているでしょうね」
「ああ、そうだな……」
 遠きそらから願うだけである。

 

「前方に艦影! トランター守備艦隊かと思われます」
 正面スクリーンに投影される敵艦隊の艦影。
「艦数、およそ百万!」
 こちらの勢力は、アル・サフリエニ方面軍が抜けて百二十万隻である。
 艦数ではほぼ互角とはいえ、総督軍と一戦交えたばかりで、将兵達も疲弊していると思
われる。
 敗勢を逆転勝利したことで、士気は高まっているだろうが、無理強いはしたくない。
「無駄な戦いはしたくないな……。交渉を呼びかけてみよ」
 守備艦隊は、旧共和国同盟軍が七割以上を占めていた。
 同胞同士の戦いは、敵味方共々避けたいと考えるのが尋常であろう。
 交渉次第では、無血停戦も可能。
 問題は三割の連邦軍であろうが、旧共和国同盟軍が味方についてくれれば何のこともな
い。
「応答ありません」
「艦隊の動きも見られません。首都星トランターの前面に布陣したままです」
「そうか……。参謀達の間で論議紛糾して、結論が出せないでいるのかも知れないな」
「あるいは連邦軍の監察官が張り付いているのかも知れませんよ」
「監察官か……」
 艦隊司令官には、統合参謀本部からの指令無視や反乱を防ぎ監視するための監察官が同
行することになっていた。
 以前にも第十七艦隊司令官になったアレックスに同行していた監察官が、ニールセン中
将の密偵として抹殺しようとしたことがあった。
*第一部 第十八章 監察官  同様に旧共和国同盟軍の司令官にも、連邦軍の監察官が張り付いていて、総督軍の命令
を遵守するように働きかけているだろうことは、想像だに難しくない。
「しばらく様子を見よう。全艦停止だ」
「戦闘態勢は?」
「必要ない。それより、同盟軍側の総指揮艦を割り出してくれ」
「三分ほどお待ちください」
 アレックスの乗艦するサラマンダーは、共和国同盟軍の朋友艦であり、艦体を動かす艦
政システムコンピューターはまったく同じものを搭載している。
 トランター滅亡後に艦政システムの改造が行われていない限り、何らかのアクセスが可
能なはずである。
「艦体リモコンコードですね」
 パトリシアは気づいているようであった。
 数百万隻もの艦隊が整然と行軍するには、個々に判断して行動していては、列が乱れた
り最悪接触事故を起こしかねない。
 そこで重要なものが【艦隊リモコンコード】と呼ばれるものである。
 旗艦より発信されるこのリモコンコードに同調させることによって、個々の艦隻同士の
相対距離を自動的に調整して衝突を回避すると共に理路整然と行進が可能になる。いざと
いう時には旗艦に呼応して効率の良い戦闘を行うことができる。
「指揮艦が判りました。旧第一艦隊第十八部隊の旗艦、戦艦サジタリウム。司令はアンデ
ィー・レイン少将」
 共和国同盟軍には定員二十七名の准将と九名の少将がいたが、知らない名前だった。
 同盟壊滅後の総督軍への編入によって昇進したものと思われる。
 将軍の名前は全員覚えているが、定員のない佐官クラスまでは覚えきれない。
「しかし少将か。前職は大佐級以下のはずだよな。戦死してもいないのに、二階級特進と
はね」
 将兵達を手なずけるための特別昇進が実施されたのだろうが、その給与体系はどうなっ
ているのかと心配したりもする。
 ただでさえ、ベラケルス星域決戦において壊滅した三百万隻の艦隊に従軍して戦死した
六千万人に及ぶ将兵達の遺族年金だけでも莫大な金額になるはずである。
 共和国同盟軍の給与規定や年金条例に従うならば、とても賄い切れない財政負担を強い
られるはずである。
「ともかく連絡を取ってみるか。アクセスコードが変更されてなければ良いが」
 アレックスは、指揮パネルを操作して、サジタリウムへのアクセスを試みた。

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2020年7月11日 (土)

銀河戦記/鳴動編 第二部 第七章 反抗作戦始動 XⅢ

第七章 反抗作戦始動
XⅢ

 銀河帝国首都星アルデラン。
 アルタミラ宮殿内皇室議会議場。
 正面スクリーンには、決戦の場に従軍した報道機関が放映している番組が映し出されて
いた。
『帝国の皆様、大変長らくお待たせいたしました。これより皇太子殿下率いる遠征軍の模
様を放映再開いたします』
 実は、戦闘中は敵艦隊に情報を漏洩させるとして、アレックスは報道管制を布いていた
のである。
 総督軍との戦闘が終了したことを受けて、報道管制を解禁して再び報道番組を放映する
ことを許可されたのである。
『皇太子殿下は、アル・サフリエニ方面を守備する艦隊全軍を援軍として差し向けるとい
う、ほとんど暴挙とも言える作戦を敢行なされました。バーナード星系連邦がその隙を突
いて、タルシエンの橋を渡ってタルシエン要塞やシャイニング基地などの拠点陣地を奪還
するという危険性もあったのです。もしそうなれば侵略のための前線基地を連邦に与える
こととなり元の木阿弥(もとのもくあみ)、たとえトリスタニア共和国を解放しても、開
戦当初の勢力状況に戻るだけだけだったのです』
『報道管制を敷かれて放映の禁止を命じられていましたが、戦闘の録画だけは許されてお
りました。これより総督軍との戦闘を開戦当初より再生してご覧いただきましょう』
 銀河帝国国民に向けて、帝国軍艦隊と総督軍艦隊との決戦の模様が録画中継で放映され
はじめた。
 そして、決戦場での戦闘シーンが終了し、【首都星トランターへ、いざ出陣!】という
ところで、再び報道管制が入って放映中断となった。
 暴動鎮圧や敵艦隊迎撃に向かった防衛艦隊が引き返してきているだろう。
 こちらの情報を教えるわけにはいかないからだ。

 従軍報道陣からの録画中継を食い入るように見つめていた皇室議会議員達。
 深いため息をついて感嘆している表情が手に取るように判る。
「さすが共和国同盟の英雄と称えられる殿下殿。巧妙にして計算されつくした作戦だ」
 議員の一人が感服の言葉をもらした。
 それに賛同するように頷くものが多かった。
 さて、こうなると前回に残した議題が問題に上がってくる。

 【皇太子擁立問題は、第一皇子の総督軍との決戦を見届けてから再審議しよう】
 というものである。

 見事なまでに総督軍を破り、その軍事的才能はもはや疑いのないものとなった。
 トリスタニア共和国同盟を解放に導くことも、おそらくは実現可能な情勢となっている。
 解放に成功すれば、暫定政権を興してその首班の地位に着くことも可能であろう。
 三大強国の一つである共和国同盟を掌握し、さらに銀河帝国の皇帝となれば、その地位
は揺るぎないものとなり、銀河宇宙の平和をもたらすだろうことも……。
 結論はすでに出ていると言えた。
 しかしながら……。
「ジョージ親王殿下はすでに次代皇太子として認証されているのだ。今更ながらにしてア
レクサンダー殿下を皇帝とするのも……」
 と、相変わらず煮え切らない摂政派の議員達。
 自分でもアレクサンダー殿下を推す事には反対はしないが、ロベスピエール公爵の意向
にも逆らえないという板ばさみ。
 いわゆる中間管理職の悲哀というべきものだろう。
「しかし、アレクサンダー殿下には皇位継承権第一位という権利を有し、亡き皇后さまよ
り授けられた皇位継承の証がある。この事実は動かすことができまい。皇室典範に照らし
合わせて、先の皇室議会の決定に従ってジョージ親王殿下が即位した場合でも、そのお子
はお世継ぎとなれない一代限りの暫定的なものだ。その次の皇帝は、アレクサンダー殿下
か、そのお子様に皇位継承権が与えられる」
 悲喜交々、堂々巡りの議場に新しい風が舞い込んできた。
 突然ドアが開いて従者が一人入ってきた。
「お知らせいたします。アレクサンダー殿下率いる艦隊が首都星トランターに居残る総督
軍を打ち破ったとの報告が入りました」
「なに!」
「それは真か?」
「は、間違いございません。殿下はさらに艦隊を進め、まもなく首都星トランターを包囲
せんとする位置に展開中とのことです」

 しばしの沈黙があった。
「共和国同盟の解放は、もはや疑いのないものとなった」
 一人が重厚な響きをもった言葉を口にした。
「アレクサンダー殿下は、共和国同盟にたいして最高指導者として国政を自由に操る地位
につかれたことになる」
「その通り。現在の同盟諸国は連邦の占領下にあって無政府状態に近いから、臨時政府を
興し首長となることが可能というわけだな」
「アレクサンダー殿下が皇帝となられれば、場合によっては銀河帝国に吸収合併し、帝国
の領土を二倍に広げより強大な国家を築くことも可能になる。となれば連邦側とてもはや
手出しできなくなるだろう」
「いや逆に連邦に宣戦し、これを撃滅し銀河統一を果たすことも」
「可能だ!」
「銀河統一か……」
「それを可能にするお方は、アレクサンダー殿下をおいて他にはない」
「これで決まりましたね」
「そのようですな」
 一同にしばしの沈黙がながれた。
「しかし……ジョージ親王殿下には、いかにお話しすればいいのだ」
「ともかく最終的な結論はエリザベス皇女様にご判断を仰ぐしかないが……」

 謁見の間
 皇室議会の議員達が、つい先ほどまとまった結論を報告していた。
「皇室議会では、アレクサンダー殿下がもっともふさわしいと判断したのですね」
「はい。ジョージ親王殿下には遺憾ともしがたいのですが……」
「よろしい。よくぞ申してくれた。公爵とジョージには私から説得する」
「では……」
「皇位はアレクサンダー殿下に」
「はっ。早速全国民におふれを出します」


 こうして、アレックス・ランドールすなわちアレクサンダー第一皇子の皇太子擁立が正
式に決定し、銀河帝国全土に知らし召された。


 第七章 了


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2020年7月 4日 (土)

銀河戦記/鳴動編 第二部 第七章 反抗作戦始動 XⅡ

第七章 反抗作戦始動
XⅡ

 サラマンダー艦橋。
 通信士が報告する。
「敵艦隊より、降伏勧告を受諾するとの返信がありました」
「敵艦隊、全艦機関停止して戦闘中止したもよう。間違いありません」
 艦内に歓声が沸き起こる。
「勝ったんだ!」
「我々の勝利だ」
 口々に叫んで喜びを一杯に表していた。
 それも当然だろう。
 戦いの前は、艦隊数で完全に負けていた。
 それをひっくり返して勝利したのだから。
「よし。全艦戦闘中止せよ」
「全艦、戦闘中止」
 深いため息をついて、椅子に座りなおすアレックス。
「おめでとうございます」
「見事な作戦指揮でした」
 オペレーター達が立ち上がって賞賛の拍手で、アレックスを褒め称えた。
「戦艦フェニックスのガードナー提督より入電です」
「繋いでくれ」
 正面スクリーンにフランク・ガードナー少将の姿が投影された。
『おめでとう。君なら勝てると思っていたよ』
「ありがとうございます。それもこれも先輩のおかげです」
『君が銀河帝国軍を率いて総督軍との決戦に赴いたことは報道などで知っていた。遠き空
の彼方から応援するしかないと思っていたが、意外にも援軍要請の特秘暗号通信をもらっ
て驚いたよ。まさかタルシエン要塞を空っぽにすることになるのだからな』
「確かにその通りなのですが、タルシエンの橋の先のバーナード星系連邦は革命が起きた
ばかりで、要塞を空にしても攻略にはこれないだろうと判断しました」
『しかし、そうそう空にしておくわけにはいかないだろう。この後我々は、タルシエン要
塞に引き返す。共和国同盟の解放は君に任せることにする』
「任せておいてください。共和国同盟の解放は私の使命ですから」
『そうだな……。それでは短い挨拶だが、これで失礼するよ』
「お気をつけて」
『うむ』
 こうしてガードナー提督との通信が終わった。
 その後、ゴードンやカインズそしてジェシカなどの腹心達との交信が行われた。
 やがてアル・サフリエニ方面軍艦隊はタルシエン要塞へと引き返していった。
 銀河帝国軍と総督軍の決戦において、アル・サフリエニ方面軍が自陣を空にして援軍に
向かったという情報は、バーナード星系連邦側にも流れているだろうから。
 バーナード星系連邦が革命途上にあるとはいえ、一個艦隊なりをタルシエンの橋を渡っ
てやってくることは十分ありうる。
 一時も早くタルシエン要塞に戻って防御を固めねばならないことは必然のことだった。


 ここに銀河帝国軍と総督軍との決戦は幕を閉じることとなった。
 しかし休む間もなく次の戦いがはじまる。
 共和国同盟の解放が成し遂げられたのではない。
「戦後処理は第四艦隊と第五艦隊に任せて、我々はトランターへ向かう」
 投降してきた総督軍の対処に構っている暇はない。
 第四艦隊と第五艦隊は後方支援としてやってきたのだ。彼らに任せるのは利に叶ってい
る。
「総督軍の総司令のマック・カーサー提督は、自室で自害されたとの連絡がありました」
 通信士が報告する。
「そうか……。共和国解放戦線最高司令官の名で、弔意を表す電文を送っておいてくれ」
「かしこまりました」
 アレックスは一息深呼吸すると、新たなる命令を発令した。
「全艦全速前進。トランターへ向かえ!」
 熾烈なる戦いのあった宙域より離脱して、共和国同盟の解放のためにトランターへと目
指す。
 懐かしき故郷の地へと。


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