銀河戦記/鳴動編 第十一章 帝国反乱 Ⅲ
第十一章 帝国反乱
Ⅲ
正面パネルスクリーンには、アレックス・ランドールが出ていた。
「やあ、驚いたかね?」
スクリーン上のアレックスが語り掛ける。
「これは、どういうことですか?」
「簡単なことだよ。ウィンディーネ艦隊を指揮できるのは君しかいないからだよ」
「しかし、自分は……」
「いろいろと誤解はあったが、水に流そうじゃないか」
「誤解……で済まされるのですか?」
反乱という言葉を使わないアレックス。
「そう、誤解だよ。それ以上でも以下でもない」
それでも納得できないゴードンだった。
本来なら免職の上、禁固刑が言い渡されてもいいくらいであるのだから。
「君に任務を与える」
アレックスが姿勢を正して命令を下す。
「はっ!」
直立不動になって命令を受ける体制を取るゴードン。
両拳を握りしめて微かに震えている。
「ウィンディーネ艦隊を率いて、銀河帝国アルビエール侯国に来たまえ」
「了解しました!」
「事の詳細は、シェリーに聞いてくれ」
通信が途絶えた。
「さあ、一刻も早く馳せ参じましょう。詳細は道々お話しします」
「ガードナー少将が出ておられます」
「繋いでくれ」
映像がガードナーに変わった。
「アレックスは、君に捲土重来(けんどちょうらい)の機会を与えるつもりのよう
だな」
「ありがとうございます」
「まあ、頑張りたまえ」
ガードナーは軽く微笑むと通信を切った。
「ちょっと考え事がある」
といって、一時司令官室へと籠った。
心配になって付いてくるシェリー。
「ちきしょう!」
突然、扉を通して中から叫び声が聞こえた。
そして何かを打ち付ける鈍い連続音。
シェリーは感じていた。
自虐行為で頭を壁にぶつけているのだと。
「閣下……」
やがて音はしなくなり静かになった。
しばらくして、ゴードンが額から血を流しながら出てくる。
「閣下!お手当を」
「構わん。私の判断で血を流した部下の傷を考えれば大したことじゃない」
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